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ホワイトゴールドとは?プラチナとの違い
ホワイトゴールドは金(ゴールド)をベースとした金属です。プラチナと似ているため、両者が同じ金属だと思っている方もいますが、別の金属で性質も異なります。ここでは、そんなホワイトゴールドとプラチナの違いについて見ていきましょう。
ホワイトゴールド
ホワイトゴールドは金をベースにして作られた金属で元素記号は「Au」となります。
一般的な黄金色の金に銀やパラジウムといった白色金属を割金(わりがね)として加えて作られた金合金をホワイトゴールドと呼んでいます。割金とは硬さを補強するため他の金属を混ぜ合わせることです。
そもそも純金は柔らかすぎるため、そのままではジュエリーなどで使うには適していません。そのため、強度を補うために他の金属と混ぜて合金化し、硬度を高めているのです。
さらに、ホワイトゴールドの表面にはロジウムという金属でコーティングを施し、鮮やかな白銀色の輝きを引き出しています。ホワイトゴールドの美しい白さはロジウムコーティングによって完成されているのです。
プラチナ
プラチナは白金族に分類される白銀色の金属で元素記号は「Pt」となります。日本では「白金」と呼ばれることもあるため、ホワイトゴールドと間違えてしまうことも多いのでしょう。
プラチナもホワイトゴールド同様柔らかいため、ジュエリーなどに使用する際はパラジウムやルテニウムといった同じ白金族の金属を割金として加え、強度や硬度を補強しています。
ブライダルジュエリーでは、純度95%の「PT950」や90%の「PT900」が一般的です。そのしなやかで強靭な性質により、プラチナは細かな爪でも大切な宝石をしっかりと固定することができ、また耐熱性・耐酸性にも優れています。
ホワイトゴールドの特徴やメリット
ホワイトゴールドにはどのような特徴やメリットがあるのでしょうか。ここではホワイトゴールドの特徴とメリットを3つに絞って紹介します。
耐久性が高い
1つ目に挙げられるのが耐久性が高いという点です。
前述の通り、ホワイトゴールドは銀やパラジウムなど硬度の高い金属を割金として加えることで、傷や変形に対して強く、優れた耐久性を備えています。
純金は柔らかいため傷がつきやすいというデメリットがありますが、ホワイトゴールドの場合は表面にロジウムコーティングがされていることもあり、傷がつきにくく結婚指輪のような日常的に長く身につけるジュエリーにぴったりな金属です。
また、プラチナに比べて軽いのでデコラティブなネックレスなど装飾が多いジュエリーにもおすすめです。
合わせやすい色合い
2つ目に挙げられるのが合わせやすい色合いであることです。
白銀色で日本人の肌にも馴染みやすいホワイトゴールドは、性別や世代を問わず着用しやすい色です。落ち着いた色味のため、ゴールドだと華やかすぎるシーンでも使いやすく、普段のカジュアルファッションにも合わせやすいという点もメリットと言えるでしょう。
割金の配合によって色合いに違いが見られるのもホワイトゴールドの特徴の1つです。銀の配合が多いとクールで深みのある色合いになり、パラジウムが多いと明るく輝くような色味になるので、ジュエリーショップなどで見比べてみるのもおもしろいです。
供給量が多く購入しやすい
3つ目に挙げられるのが供給量が多く購入しやすい点です。
プラチナの場合、地球上における埋蔵量が限られており、その量はゴールドのおよそ1/3と言われています。また、南アフリカやロシアなど産出国も限られているため、非常に希少な金属と言えます。さらに、ジュエリーとして加工する際は高い純度が求められるため、価格が一層高くなります。
対して、ホワイトゴールドは金と他の金属を混ぜた合金であるため、希少価値の高いプラチナに比べると購入しやすい価格になります。実際に多くのジュエリーブランドでは、同じデザインでもプラチナよりホワイトゴールドの方が安価であることが多いです。
予算を抑えたい方や手頃な価格で美しいジュエリーを手に入れたい方にとってはホワイトゴールドは理想的な金属と言えるでしょう。
ホワイトゴールドの注意点やデメリット
ホワイトゴールドの特徴やメリットについて紹介してきましたが、もちろん注意するべき点やデメリットも存在します。どのようなことに注意するべきか詳しく見ていきましょう。
変色や変質の可能性がある
前述の通り、一般的なホワイトゴールドは割金によって金とは異なる金属が加えられた金合金であり、表面にはロジウムコーティングが施されています。
しかし、長い間使用していると次第にコーティングが剥がれ落ち、剥がれて内側の色が見えてしまったり、変色や化学反応によって変質したように見えることがあります。
しかし、こういった状態になったとしてもメンテナンスを行い、再度ロジウムコーティングをすることで元の輝きを取り戻すことが可能です。変色や変質が目立つようになったら、購入したショップに相談してみるのがおすすめです。
金属アレルギー反応が出る可能性がある
もう1つの注意点は、金属アレルギー反応に対する懸念です。
ホワイトゴールドは割金によって耐久性が高く手を出しやすい価格である反面、割金として使用されるニッケルやパラジウムなどが汗や皮脂と反応し、アレルギーを引き起こすことがあります。
以前ジュエリーを身につけている場所がかゆくなるなどアレルギー症状が出たことがある方は専門医などに相談して判断をすると良いでしょう。また、プラチナは割金の含有量が少なく、アレルギー反応が起こりにくいとされています。絶対アレルギー反応が起きないとは言えませんが、金属アレルギー反応が出る方にはプラチナの方が身につけやすいでしょう。
ホワイトゴールドが販売中止になりやすい理由
近年、ホワイトゴールドを使用したジュエリーやアイテムの販売中止をよく見かけるようになりました。これにはどういった理由があるのでしょうか。ここでは、ホワイトゴールドが販売中止になりやすい主な理由を3つ紹介します。
金の価値がプラチナより高くなったため
ホワイトゴールドの製造販売が中止になりやすい理由の一つに、金の価格が急騰したことにあります。
そもそも金に比べてプラチナは埋蔵量が非常に少なく、希少性の高い金属です。原産国も限られており、1トンの原石から採掘できるプラチナはわずか3グラムとも言われています。
また、採掘にも時間がかかることから長い間プラチナは金より高値で取引されていました。金の年間産出量は約4,000トンに対し、プラチナは約200トン程度と言われていることからもその希少性がよくわかるでしょう。
しかし、世界的に自動車産業でのプラチナの需要が減少するとともに、プラチナの価格も下落する傾向が見られるようになりました。その一方で、経済不安定や新型コロナウイルスの影響で資産としての金の需要が高まり、金の価格が急騰しています。
2015年には金がプラチナを上回り、2020年にはプラチナ1gの平均価格が約3,000円に対し、金1グラムの平均価格が約6,000円と大きく差がつきました。2024年は金1グラムの平均価格が1万円を超えており、プラチナよりも価値が高くなっているのです。
メッキ加工に時間や手間がかかるため
ホワイトゴールドのメッキ加工に時間や手間がかかることも、販売中止になりやすい理由の一つと言えるでしょう。
ホワイトゴールドは一般的にロジウムという金属によってメッキ加工(コーティング)が施されています。このメッキ加工にはジュエリーを傷や摩擦などから保護する役割があるほか、プラチナに似た明るい白銀色の見た目を作り出す役割も果たします。
もともと、割金によって作られたホワイトゴールドはプラチナよりも黒っぽい色合いをしており、メッキ加工によってプラチナのような白銀色を再現しています。しかし、このメッキ加工は製造過程で剥がれた場合は一度すべてのメッキ加工を取り除いてから再加工する必要があり、非常に手間がかかります。ホワイトゴールドには欠かせないこの工程が供給の妨げにもなっているのです。
加工が難しいため
最後に、ホワイトゴールドは加工が難しいことも販売中止になりやすい理由の一つとして挙げられます。
これはホワイトゴールドだけの問題ではありません。日本人に人気の高いピンクゴールドなども含め、合金はプラチナと比べると加工が難しい金属と言われています。
その中でも特にホワイトゴールドは研磨をする際に「巣穴」と呼ばれる空洞ができやすく、表面に小さな穴が空いてしまうことがよくあります。この巣穴があると、メッキ加工後の錆や変色が発生しやすくなってしまうため、巣穴をできないように加工するには卓越した技術が必要となります。
技術を持った職人が減っていることや巣穴のある製品の返品率が高いこと、再加工には時間やコストがかかることから、ホワイトゴールドの製造を控える業者が増えているのです。
ホワイトゴールドのお手入れ方法
ホワイトゴールドの輝きを長く楽しむためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。簡単な方法でくすみや黒ずみが解消できることもあるので、気になる方はぜひ以下の方法を試してみてください。
皮脂や汗を拭き取る
肌に触れるネックレスや指輪などは、どうしても皮脂や汗が付着しやすくなります。着用した後にそのまま放置すると変色してしまうこともあるため、皮脂や汗をやさしく拭き取りましょう。
拭き取る際は柔らかい布やホワイトゴールド専用のクロスを使い、傷をつけないよう優しく拭くことが大切です。力を入れて擦ったり、硬いブラシを使うとロジウムコーティングが剥がれてしまうこともあるので注意しましょう。
くすみや黒ずみを取る方法
上述の拭き取りではくすみや黒ずみが取り除けない場合、洗剤を使って汚れを落とす方法を試してみましょう。
用意するものはジュエリーが十分入るサイズの容器と中性洗剤もしくはホワイトゴールド専用のクリーナー、柔らかい布やタオルです。
まず、容器に35~40度程度のぬるま湯と中性洗剤または専用クリーナーをいれます。中性洗剤の場合は数滴、専用クリーナーの場合は記載の説明にしたがってください。
その容器にジュエリーを浸けて軽く振り洗いをします。細かい装飾がある場合は、メイクブラシなど毛先が柔らかい道具を使って優しく汚れを落としましょう。
汚れが落ちたら水でしっかりとすすぎ、柔らかい布やタオルで水分を拭き取りましょう。洗剤が残ると変色や変質の原因にもなるため、すすぎは2〜3回繰り返し、しっかり水分を拭き取ったら完了です。
それでも汚れが取れない場合は、貴金属の修理専門店にクリーニングを依頼するか、無償のクリーニングサービスを利用するのがおすすめです。特に結婚指輪の場合はクリーニングサービスを提供しているブランドが多いため、まずは購入したお店に相談してみましょう。
ホワイトゴールドを高価買取してもらうためのコツ
ホワイトゴールドを高価買取してもらうにはコツがあります。ここで紹介する5つのコツをしっかりチェックし、ホワイトゴールドを売却する際にぜひ活用してください。
綺麗な状態で保管しておく
ホワイトゴールドは保管状態が良いほど高額で買取してもらえる可能性が高まります。そのため、査定前には丁寧に汚れを拭き取り、購入時に付属していたケースやジュエリーボックスと合わせて保管しておくのが理想です。
ホワイトゴールドは比較的硬度が高い金属ではありますが、クッションのないプラスチックケースや引き出しなどに他のジュエリーと一緒に保管すると、傷がついてしまう恐れがあります。
保管する際は個別の箱に入れる、仕切り付きのジュエリーボックスを使用するなど気を配りましょう。
変色を防ぐためにメンテナンスしておく
ホワイトゴールドは経年劣化によってロジウムコーティングが剥がれたり、割金が酸化して変色することがあります。
このコーティングの剥がれや変色が買取価格に影響を及ぼすことも少なくありません。ロジウムコーティングは、購入したお店や貴金属の修理専門店で再加工できる場合もありますが、売る前に費用をかけるのはあまり得策ではありません。
売却する前から変色を予防して使うことが大切で、着用した後は放置せずに汚れを拭き取ることです。また、定期的に中性洗剤や専用クリーナーを使用した洗浄を行う、ホワイトゴールドを身に着けたまま入浴や家事をしないという点にも注意しましょう。特に温泉や入浴剤には、ホワイトゴールドが変色する原因となる成分が含まれていることがあるため、入浴時はジュエリーを外すことをおすすめします。
相場を確認してから買取に出す
金の相場は日々変動しており、いつでも同じ価格で売れる訳ではありません。そのため、売却をする前に現在の金の買取価格を確認しておくことが重要です。
2024年9月時点で、金の価格(K24)は1gあたり1万円を超えており、2014年〜2024年の10年間で金の相場価格は上昇傾向にあります。しかし、今後も金の相場価格が上がり続けるかどうかはわかりません。
ホワイトゴールドのアイテムの売却を検討している場合は、まず無料査定を依頼して今現在の買取価格を把握し、タイミングを見計らって売却するのが賢い選択と言えるでしょう。
他の貴金属と一緒に買取に出す
ホワイトゴールドのアイテムを売却するなら、1点だけよりも複数の貴金属のアイテムをまとめて買取に出すと高価買取に繋がりやすくなります。
もちろん他に売却したいアイテムがない場合は1点でも構いません。しかし、複数ある場合はまとめると買取業者も在庫を確保したいので、高額な査定を出してもらえる可能性が高いです。
また、アイテム数によって買取額増加キャンペーンを行っている買取業者もあるので、事前にキャンペーンの有無など確認してから査定に出すのも良いでしょう。
付属品を準備しておく
ホワイトゴールドのアイテムを高価買取してもらうなら、付属品と一緒に査定に出すことも大事なポイントです。ホワイトゴールドのアイテムが入っていたボックスや保証書なども揃っている場合、高価買取に繋がりやすいでしょう。ホワイトゴールドのアイテムを購入したら、売る時のことも考えてボックスや保証書などは捨てずに残しておくことが大切です。
まとめ
ホワイトゴールドは金に銀やパラジウムを加えた金合金で、ロジウムコーティングにより白銀色の輝きを持ちます。耐久性が高く軽量で、手頃な価格が魅力ですが、変色や金属アレルギーのリスクがあります。また、プラチナに比べて加工が難しいため、販売が中止されることもあります。お手入れ次第で長く美しい状態を保て、高価買取の際には状態維持や付属品の保存が重要です。