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10万円の価値がある金貨は2種類ある?
額面的に10万円の価値がある金貨は以下の2種類です。
・天皇陛下御在位60年記念10万円金貨
・天皇陛下御即位記念10万円金貨
では、この2種類の金貨について詳しく確認していきましょう。
天皇陛下御在位60年記念10万円金貨
天皇陛下御在位60年記念10万円金貨は、現金として使用できる貨幣でもあります。ここでは、天皇陛下御在位60年記念10万円金貨の基本情報や、額面と市場価値の違いなどをご紹介します。
基本情報
天皇陛下御在位60年記念10万円金貨は、昭和天皇陛下の御在位60年を記念して発行された記念硬貨です。また、額面が初めて1万円を超えた貨幣でもあります。以下の基本情報も併せて確認してみましょう。
名称 | 天皇陛下御在位60年記念10万円金貨 |
発行元 | 日本造幣局 |
質量 | 20g |
発行年 | 昭和61年・昭和62年 |
発行枚数 | 1,100万枚 |
品位 | K24 |
現金として利用できる
天皇陛下御在位60年記念10万円金貨は、財務省によって現行貨幣として認められているため、通常のお金として使用できます。額面通りの金額がそのまま使えるため、10万円分の現金として利用することができます。
現金に換金できる
天皇陛下御在位60年記念10万円金貨を現金に換金するには、主に2つの方法があります。それは、銀行で額面通りの10万円に両替する方法と、売却して換金する方法です。
基本的には後者をおすすめします。なぜなら、銀行で両替する場合は10万円ですが、売却すればそれ以上の価値がつく可能性が高いからです。
現在の価値・買取価格
天皇陛下御在位60年記念10万円金貨は、2024年8月8日時点での参考買取価格が22万6,000円です。
古銭市場での価値は貨幣の額面の倍以上の価格になることがあります。そのため、硬貨として使ったり、銀行で両替するよりも、買取専門店に売却するほうが利益も大きくなる可能性があります。
これは、近年の金価格の大幅な高騰が要因の1つと考えられます。
天皇陛下御即位記念10万円金貨
天皇陛下御即位記念10万円金貨は、通常の金貨やプルーフ金貨に加えて、500円白銅貨セットも発行されています。ここでは、天皇陛下御即位記念10万円金貨の種類や価値についてご紹介します。
天皇陛下御即位記念10万円金貨の種類
天皇陛下御即位記念10万円金貨には、「通常の金貨」「プルーフ加工された金貨」「500円白銅貨のセット」の3種類があります。
通常の金貨と比べると、500円白銅貨は特別な価値がつくわけではありませんが、額面が500円ほど高くなることはあります。一方、プルーフ加工された金貨も万単位で価値が上がることはありませんが、買取価格が少し上がる場合があります。
プルーフ金貨は買取価格が少し上がる
購入時の状態を保たれているプルーフ金貨であれば、通常のご即位10万円金貨よりも若干の買取価格アップが期待できます。これは、プルーフ加工により表面が鏡のように磨かれ、模様部分が浮かび上がるため、見栄えが良くなるからです。
特に、NGCなどの国際的鑑定機関によって最高グレードが付けられている金貨は、世界基準で証明・保証されています。そのため、買取価格が少しだけ高くなる可能性があります。
現在の価値・買取価格
天皇陛下御即位記念10万円金貨は、2024年8月8日時点での参考買取価格が34万9,000円です。法定通貨としての価値は10万円ですが、買取市場ではその3倍以上の価値がついています。
これは、金価格の高騰が大きな要因として考えられます。
この金貨が発行された当時と比較しても、金の価値は驚くほど上昇しています。特に純金製であるため、天皇陛下御即位記念10万円金貨の価格は金の相場に大きく影響されます。こういった背景により、価格高騰が起こっていると考えられます。
2種類の10万円金貨の違い
2種類の10万円金貨を比較すると、以下のような違いがあります。
・価値の違い
・見た目の違い
似たような金貨ですが、このような違いがあることから、簡単に判別することができます。では、詳しく確認していきましょう。
価値の違い
2種類の10万円金貨は、法定通貨としての額面は同じく10万円です。しかし、買取専門店に査定依頼を出すと、以下のように約12万円程度の差があります。
名称 | 金額 |
---|---|
天皇陛下御即位記念10万円金貨 | 約35万円 |
天皇陛下御在位60年記念10万円金貨 | 約23万円 |
これは、10万円金貨の原材料となる純金の量の違いによるものであり、それによって価格差が生じることになります。
金は1gでも大きな差になる
2024年8月8日現在の金価格は1gあたり約1万2,000円です。そのため、1gでも違えば大きな差になります。天皇陛下御即位記念10万円金貨は、天皇陛下御在位60年記念10万円金貨よりも10gほど多いことから、約12万円の価格差が生じます。
「御在位60年金貨」のほうが金含有量が少ない理由
天皇陛下御在位60年記念10万円金貨の金の含有量が少ない理由の1つに、政治的な思惑が挙げられています。
それは、当時の政府が財源を確保するために、製造コストを抑えて高い額面で発行したとされているからです。この金貨は1,000万枚製造され、発行総額は1兆円です。
製造費用などをすべて計算しても、原価は額面の半分以下になります。また、ほぼ通貨として流通しないと見込まれ、その差益の約5,500億円が国庫に入る見通しとなりました。
このように、政府が差益を得ようとしたことが、御在位60年記念金貨の金の含有量が少なくなった要因の1つに考えられています。
見た目の違い
2種類の10万円金貨は、デザインが全く異なるため、一目で違いがわかります。以下にそれぞれの特徴をまとめました。
・天皇陛下御在位60年記念10万円金貨
2羽の鳥(鳩)が向かい合っているデザインで、額面は旧字体「拾万円」と記載されています。
・天皇陛下御即位記念10万円金貨
一羽の鳳凰を大きく描いたデザインで、額面は英数字で「10万円」と記載されています。
このように、2種類の金貨はそれぞれ全く異なる見た目をしているため、見ればすぐに判別できるでしょう。
10万円金貨の買取の値段が高い理由
10万円金貨を買取に出すと、額面以上の価格になることは珍しくありません。それには、以下の理由が考えられます。
・金の含有量が多い
・金の価値が高騰し続けている
ここでは、この2点に加え、10万円金貨が金地金として扱われない事情についても解説します。では、詳しく確認していきましょう。
金の含有量が多いため
10万円金貨の価値の高さは、金の含有量の多さにあります。
この2種類の金貨は純度99.9%であり、いずれも金の中で最高品位のK24に値します。純度が高ければそれだけ金の含有率も多いため、当然ながら価値も高くなります。
また、純度99.9%が最高品位と聞いて疑問視する人もいるかもしれません。それは100%の混じりけのない金属を作り出すのが非常に難しいため、最高品位がこの値になっているのです。
金の価値は高騰し続けている
10万円金貨の値段が高い理由の1つには、金価格が高騰し続けていることも挙げられます。
先述したように、この2種類の金貨は純金製であるため、金相場が大きく影響します。これらが発行された昭和末期から平成初期の金価格は、1gあたり約2,000円台~約3,000円台でした。
しかし、2024年8月8日現在の金価格は、1gあたり約1万2,000円です。
単純計算しても、当時の金価格よりも約1万円ほど上昇していますので、それに伴い10万円金貨の価格も高騰しています。
金買取相場よりも実際の買取価格は下がる
10万円金貨の買取価格は、金相場がそのまま反映されるわけではなく、多少下がります。
例えば、2024年8月8日時点で、20gの金の価格は約24万円です。しかし、同日の天皇陛下御在位記念10万円金貨の買取価格は約23万円であり、1万円程度低い価格になっています。
これは、天皇陛下御在位記念10万円金貨は金地金として取引できないからです。金地金するには溶かす必要がありますが、現行の法律上ではそれができないため、どうしても少し価格が下がります。
貨幣損傷等取締法の対象
貨幣損傷等取締法とは、貨幣を損傷または鋳潰すことを禁止する法律です。
「鋳潰す」ことを禁じているため、硬貨を溶かして地金にすることも違法となります。また、溶かさなければ地金として取引しても良いということにもなりません。
それは、地金価格で取引する時点で、溶かすことを前提にしていると判断されるからです。
10万円記念金貨はいずれも、財務省が現行貨幣として認めている硬貨です。そのため、貨幣損傷等取締法の対象になり、溶かすことができません。
天皇陛下御即位記念10万円金貨は偽物が多い?
天皇陛下御即位記念10万円金貨は、残念ながら偽物もたくさん流通しているのが現状です。ここでは、天皇陛下御即位記念10万円金貨の偽物が多い理由と、偽物を見分ける簡単な方法をご紹介します。
金貨フィーバーで大量の偽造金貨が発行された
天皇陛下御在位60年記念10万円金貨は、金貨フィーバーを巻き起こすほどの人気を誇りました。購入するためには抽選券が配布されるほどの盛況ぶりでした。
しかし、1990年には在位60年記念金貨が大量に偽造されていることが発覚しました。その枚数は10万枚を超えていると正式に発表され、被害額は100億円を超える大損失となりました。
国際的な偽造グループの関与も疑われましたが、真相は依然として不明です。
偽物と本物の見分け方
天皇陛下御即位記念10万円金貨は非常に多くの偽物が流通しているため、真贋判定が重要になります。ここでは、手軽にできる偽物と本物の見分け方をご紹介します。
サイズや重量を確認する
天皇陛下御即位記念10万円金貨は、重量とサイズを確認するだけでも本物と偽物の判別が可能です。まず、重量は20gです。純金製であるため、重さにはほぼ誤差がありません。
もし、1g以上の違いがあれば偽物の可能性があります。
また、本物の純金であれば、その密度が非常に高いため、持ったときにずっしりとした感覚があります。このように、手感覚でも本物か偽物かをある程度判断することもできます。
次に、サイズは直径3cmです。貨幣の大きさは正確に製造されているため、少しでも誤差がある場合は偽物の可能性が考えられます。
磁石で確認する
磁石を近づけるだけでも純金かどうかを判別できます。
本物の天皇陛下御在位60年記念10万円金貨は純金製なので磁石にはくっつきません。もし、磁石に近づけて反応するようであれば、鉄など金以外の金属が混ざっていることになります。そのため、純金ではなく、金メッキを施しただけの偽物の可能性があります。
10万円金貨を高く売却するためのコツ
10万円金貨を高く売却するための2つのコツをご紹介します。
・金相場が高い時に売却する
・磨かずに密閉空間で保管する
金製品は、全般的に金の価格に比例して価値が決まるため、売却のタイミングは重要です。そして、保存状態も価値に大きく影響します。では、それぞれ確認していきましょう。
金相場が高い時に売却する
10万円金貨は、金相場が高いときに売却することで、大きな差益を得られる可能性があります。これは、純金製の10万円金貨が金相場と連動しているためです。そのため、金相場が高いときに売却すれば、利益も大きくなります。
また、金の価値は年々上昇傾向にありますが、日々変動しているため、動向を常に確認しながら売却のタイミングを見計らうことが重要です。
まずは、インターネットで見られる無料の金価格のチャートをじっくり観察してみると良いでしょう。
磨かずに密閉空間で保管する
10万円金貨を高額で売却したい場合は、磨かずに密閉空間で保管することが推奨されます。
古銭市場では、金貨を磨くことはあまり良いとされていません。製造時の状態が残っていることが重要視されるため、少しでも汚れていると感じても、磨くのは推奨されていません。
そのため、保存する際には、密閉されたブリスターパックに入れたままにするのがおすすめです。もしパックから出してしまった場合は、できるだけ密封された容器に入れて保管するようにしましょう。
付属品を準備しておく
10万円金貨の売却を考えているなら、必ず付属品も用意しておきましょう。
通常の10万円金貨は、購入時にプラスチック製のブリスターパックに入れられて発行されています。一方、プルーフ加工されたものは、より高級感のあるプラスチック製の丸いケースに収められ、化粧箱に保管されています。
付属品がない場合、買取価格が下がることが多いです。売却時には、必ず付属品とセットで用意して、ケースがあることも買取業者に伝えておきましょう。
10万円金貨を高く売却する方法
10万円金貨を高く売却する方法を2つご紹介します。
・ネットオークションに出品する
・専門買取業者に依頼する
この2つの売却先であれば、高額で買い取ってもらえる可能性が高いです。では、それぞれの方法を確認していきましょう。
ネットオークションに出品する
10万円金貨を高額で売却したいなら、ネットオークションに出品してみるのも1つの方法です。ヤフオク!などでは古銭や金貨の取引が盛んに行われており、注目度の高い商品であれば高額落札も期待できます。
しかし、ネットオークションには時間、手間、手数料がかかるなどのデメリットもあります。
オークションサイトによって異なりますが、落札手数料が意外と高いことが多く、高額商品ほど手数料の損失が大きくなります。そのため、落札された場合でも、手間や手数料を考えると買取業者に売却したほうが得だという意見も多いです。
専門買取業者に依頼する
もう1つの売却方法は、古銭専門の買取業者に依頼することです。
古銭専門の買取業者には、専門の査定士が在籍しており、正確で公平な査定が可能です。また、真贋のチェックも任せられるため、深い知識がなくても安心です。
さらに、ネットオークションのように個人との綿密なやり取りが不要なので、売却時に手間を少しでも減らしたい場合は、買取専門業者の利用が良いでしょう。
まとめ
今回は、2種類の10万円金貨の価値についてご紹介しました。金価格の高騰により、どちらの金貨も価値が上がっています。買取専門店に売却すれば、額面の倍以上の価格がつく可能性もあります。買取価格が気になる方は、まずは査定を依頼してみてはいかがでしょうか。