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純金積立とは?
純金積立は、毎月一定額を積み立てて金を購入する「定額積立」と、一定の数量を購入する「定量積立」の2種類から選べる金投資の一つです。少額から始められ、低コストで続けやすい点が魅力とされています。
購入した純金は運営会社が保管し、引き出しや換金にも対応しています。金投資の中でも安定性が期待でき、定期積立に近い仕組みであるため、初心者にとっても取り組みやすい方法といえるでしょう。
他の実物資産投資との違い
では、他の実物資産投資と比べると、純金積立にはどのような特徴があるのでしょうか。
純金積立は金に投資するため、株式や債券のように発行元の業績や信用によって価値が急落するリスクがほとんどありません。金は世界共通で価値が認められているため、安定した資産として確かな信頼を得ています。
不動産も実物資産に含まれますが、固定資産税や管理費がかかり、売却時の手続きも煩雑です。その点、金は比較的スムーズに売却が可能です。
純金積立のメリット
純金積立のメリットは、少額から始められ、価格変動に強い金に投資できる点です。定期的に積み立てることで、リスクを分散し、長期的に安定した資産形成が可能となります。では、具体的な特徴についてくわしく見ていきましょう。
金は安定した価値がある
金はインフレの影響を受けにくいため、価値が安定しています。インフレとは物価の上昇によってお金の価値が下がる現象ですが、金自体の価値は変動しにくく、安心して保有できます。
また、世界的な情勢が不安定になると、金の価値は上昇する傾向があります。世界共通の価値を持ち、万が一通貨の価値が下がっても、高い価格で現金化が可能だからです。このような特性から、金の需要は増加し、価値がさらに高まることが期待されます。
ドルコスト平均法で価格変動のリスクが小さい
純金積立では、ドルコスト平均法の効果を得ることができます。この方法は、毎月一定の金額を使って購入を続ける「定額買付」で、金価格が高い時は少量、価格が低い時は多く購入するため、長期的に平均購入価格を抑えることができます。
たとえば、毎月1,000円分を1年間積み立てた場合、金額を基準にした定額買付は、金の購入量が市場価格に応じて変動します。これに対し、購入数量が毎回同じ「定量買付」では、購入金額が金価格に合わせて変動するため、平均購入価格が上下します。
積立だけでなくスポット購入もできる
スポット購入とは、金などの商品を「その時点での市場価格」で即時に購入する方法です。スポット取引では、購入した価格がその日の市場価格に基づくため、金価格が安い時に購入することで、より有利に取引ができる可能性があります。
純金積立におけるスポット購入には、以下の2種類があります。
当日スポット
購入 |
その日の金価格で金を購入。
価格が安いタイミングで購入したい場合に利用される。 |
月間スポット
積立購入 |
毎月の決まったタイミングで、設定金額を当月の金価格で購入。
ドルコスト平均法を取り入れて、価格変動のリスクを分散する。 |
保管を自分で行う必要がない
純金積立は現物購入でありながら、自身で保管する必要がありません。金を購入した場合、通常であれば盗難や紛失のリスクが伴い、保管方法にも気を使う必要があります。
しかし、純金積立では運営会社が金の保管を行い、セキュリティ対策がしっかりと施されています。これにより、自宅や銀行に保管する手間やリスクを避け、安心して積立を続けることができます。
また、定期的に保管状況の確認や管理費用が発生しないことも、大きな利点だといえるでしょう。
金貨や金地金でも受け取ることができる
純金積立では、貯まった金を金地金や金貨、現金など、希望する方法で受け取ることができます。たとえば、「今すぐ現金が必要」といった場合には、金銭で受け取ることで、現金化の手間を省くことができます。
ただし、受け取る金の種類やサイズ、金貨の銘柄は運営会社によって異なるため、取引を始める前に確認しておくことが大切です。現物での受け取りができない場合もあるので、しっかりと情報を把握しておきましょう。
少額から投資できる
純金積立は、資産運用初心者や多額の資金が準備できない方でも始めやすい投資方法です。毎月1,000円から少額で積み立てることができ、金地金投資に比べて手軽に始められます。
純金のインゴットを購入する金地金投資では、最小単位5グラムを購入するのに約3万円が必要です。しかも、500グラム未満のインゴットには追加手数料が発生します。また、1キログラム単位の金を購入するには約600万円が必要となり、気軽に投資できる金額ではありません。
純金積立なら、こうした手数料や高額な資金を必要とせず、低コストで積立投資をスタートできます。
長期保有におすすめ
金相場は短期的な大きな変動が少なく、時間をかけて安定的に価値を増す傾向があります。特に、金はインフレや経済の不安定な時期に価値を維持しやすいため、長期的な資産形成に向いています。
純金積立は、少額から投資できるため、まとまった資金がなくても、5年や10年といった長期間にわたりコツコツと積み立てを行うことができます。これにより、時間をかけて資産を着実に増やし、相場の波に左右されずに安定した運用が可能となります。
また、金は現物資産として価値を持ち続けるため、株式や債券などの金融商品と比べてリスクが分散され、安心感を得られる点も長期保有に向いている理由の一つです。
純金積立のデメリット
純金積立には、いくつかのデメリットも存在します。金価格の短期的な変動による損失リスクがあることや、手数料がかかる場合がある点です。また、現物として受け取る際の手続きや保管の手間も考慮しなければなりません。
手数料が必要
純金積立は、購入時に手数料が発生します。購入額の一定割合で、通常数パーセント程度です。1回あたりの金額は大きくありませんが、長期間続けると手数料の総額が積み重なり、負担となる可能性があります。
また、運営会社によっては年会費が必要な場合もありますが、これはインターネットサービスを利用することで無料になることがあります。さらに、保管手数料がかかる場合もあるため、いずれにせよ、取引前に確認しておくことが大切です。
リアルタイム取引ができない
金の価格は常に変動しているため、「安くなったタイミングで購入したい」と考える方も多いでしょう。しかし、純金積立はリアルタイムでの取引ができません。購入は運営会社が提示する店頭小売価格に基づいて行われるため、タイミングに注意が必要です。
ただし、定額積立であれば、あまり心配する必要はありません。なぜなら、ドルコスト平均法を活用して購入を行うからです。
価格の変動に関わらず、一定額を定期的に積み立てるため、相場が高いときは購入量が少なく、低いときは多くなり、結果としてリスクを分散できるでしょう。
インカムゲインが得られない
インカムゲイン(Income Gain)は、保有している資産から定期的に得られる収益のことを指します。代表的なものには、株式の配当金や債券の利息、預金の利子などがあります。
純金積立は、株式投資や預金のようにインカムゲインを得ることができません。金の価格が変動する中で価値が上昇すれば、資産が増える可能性はありますが、定期的な収益を期待することはできません。
運用会社が倒産する可能性がある
純金積立のデメリットの一つに、運営会社の倒産リスクがあります。運営会社が倒産した場合、資産の返還が受けられない可能性があります。
保管方法が消費寄託の場合、金の所有権が運営会社にあるため、保管手数料が抑えられるというメリットがありますが、万が一運営会社が倒産すると資産を返還されないリスクも伴います。
安全性を確保するためには、信頼できる運営会社を選ぶことが重要でしょう。
多少なりとも価格変動リスクがある
金は市場の状況に応じて価格が上下するため、積立を続けていても短期的には損失が発生することがあります。特に金相場が低迷している時期には、積み立てた金額が減少するリスクがあります。
しかし、長期的に見て価格が上昇する傾向があるため、時間をかけて運用することでリスクを分散し、安定的な資産形成が期待できます。購入や売却のタイミングを見極めることも大切です。
短期間での利益が出しにくい
金の価格変動は比較的小さいため、短期間で大きな利益を得るのには向いていません。金相場は安定している一方で、急激な値上がりは少なく、短期的に多額の利益を狙うには相当な投資額が必要です。
そのため、短期間で利益を得たい場合には、他の投資方法を検討するべきでしょう。純金積立は、長期的な資産形成に適しているからです。
純金積立が向いている人の特徴
純金積立は、長期的に安定した資産形成を目指す人に向いています。価格変動に左右されず、コツコツと積み立てていくことができるため、リスクを抑えつつ資産を増やしたい方に適しているでしょう。
投資に慣れていない人
純金積立は、初心者でも始めやすい投資方法です。金の価格は比較的安定しており、大きな価格変動が少ないため、安心して取り組むことができます。
しかも、少額から始められるため、投資を学びながら資産を増やしたい人に最適です。積立方式を利用することで、無理なく継続的に投資を行うことができ、投資の習慣を身につけやすい点も魅力です。
分散投資がしたい人
純金積立は、保有する複数の資産や投資商品の組み合わせ、つまりポートフォリオに加えることで、全体のリスクを分散する手段としても適しています。
特に、株式市場や経済が不安定な時期でも金は安定性を保ちやすいため、分散投資の一環として取り入れることで、より安心感を得ることができるでしょう。
購入した金の保管方法
購入した金は、主に「混合寄託」と「消費寄託」の2種類で保管できます。混合寄託は自分の所有権が保たれる一方、消費寄託は運営会社が保管します。それぞれにメリット・デメリットがあるため、熟考して選びましょう。
混合寄託
混合寄託(特定保管)とは、購入した金の所有権が契約者に帰属する契約です。そのため、運営会社が倒産しても、金は契約者に返還されるため安心です。
ただし、金は専用金庫で保管されるため、手数料が発生します。料金は金の量や預ける期間によって異なるため、保管料について留意する必要があります。
消費寄託
消費寄託とは、購入した金の所有権が運営会社に移り、運営会社がその金を管理・運用する契約です。契約者には金の返還を請求する権利がありますが、所有権が運営会社にあります。
万が一会社が倒産した場合、金が戻らないリスクが発生します。一部の運営会社では保管料が無料となる場合もありますが、倒産リスクを考慮し、信頼できる会社を選ぶことが重要です。
純金積立を始める時の注意点
純金積立は少額から始められる投資方法ですが、金融機関によって最低買付価格や購入期間が異なります。毎月一定額で積立を行う際は、各機関の条件を事前に確認しておきましょう。
また、純金積立は預金保険の対象外であり、元本保証もありません。価格変動により、元本が戻らない可能性があります。さらに、利益や損失が出た場合、税務処理が求められることを理解しておくことも大切です。
まとめ
投資を始めたいけれど、どこから手を付けて良いか分からない方には、純金積立は一つの選択肢となるでしょう。少額から始められ、長期的に資産を形成するための手段として適しています。
ただし、元本保証はなく、短期的な利益を狙うのは難しいなど、リスクも理解しておきましょう。