金の保管方法その①:自主保管
最もシンプルで手軽な方法です。少量の金であれば自宅などで保管するのが手間も手数料もかからないので、現実的かもしれません。防犯性を考えると、ホームセキュリティや金庫を導入して保管するのが望ましいでしょう。
金の保管方法その②銀行などの貸金庫
自分で持っているのは防犯上やっぱり不安……という方は銀行の貸金庫や、後述の金取扱業者の保管サービスを利用するのがよいでしょう。セキュリティ上の心配はなくなりますが、預け入れや引き出しに際しての手数料や、保管料がかかります。すでに銀行口座をもっている人への優遇や手数料カットなどのキャンペーンを行っているところもあるので、そういった特典をうまく活用するのもうまく保管する方法の一つですね。また、換金などがスムーズに行えるというのも貸金庫のメリットです。
金の保管方法その③保管サービス
三菱マテリアルなどの純金取扱業者は、金の保管サービスを提供しています。金取扱大手の三菱マテリアルのサービスを例にとると、保管サービスには大きく2つに分けられて一つは「消費寄託」というサービス、もう一つは「混蔵寄託」というサービスです。
消費寄託:預けた時点で所有権が三菱マテリアルに移り、三菱マテリアルが預った地金を運用します。地金を引き出すときは三菱マテリアルに返還請求するという形で、メリットとしては保管料がかからないという点です。
混蔵寄託:前項の貸金庫のように預けても所有権は持ち主に帰属しつづけます。一方で保管料がかかります。
金の保管方法その④金による投資
金の所有にこだわりがなければ、純金積立や金を活用した投資信託などの運用しながら保管する方法もあります。
純金積立
純金積立は純金による積み立て投資です。数千円ほどの小額から始められる手軽さ、一定の金額で購入することで、金値上がり時は少なく、金値下がり時は多めに金を購入することになり、結果的に投資コストを安定させることができるというメリットがあり、投資初心者にも人気の高い金投資方法です。さらに金は「有事の金」とも呼ばれ、不景気やインフレ、世界情勢の不安定などに値が上がる傾向があるので、リスク回避のための安定資産として、金の性質をうまく活用できるメリットのある投資方法です。
金の投資信託
投資信託を金投資と結びつけて行うこともできます。投資信託とは、証券会社などの販売業者が複数の投資家から資金を募り、大きな資金として、この資金をプロの資産運用家(ファンドマネージャー)が運用し、得られた利益を再分配するという仕組みです。純金積立同様、小額から始められることや、プロが資産運用してくれるため投資の初心者でも始めやすいことがメリットですが、投資なので、元割れのリスクも当然ながらあります。
また、金ETFという投資信託の一種もあります。これはETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)というTOPIX(東証株価指数)などの指数に連動する、上場している銘柄による投資信託で、これを金価格に連動させたものです。ETFは複数の上場銘柄から構成されているため、分散投資となるためリスクを分散することができます。また上場しているためリアルタイム取引ができ、値動きもわかりやすいという特徴があります。
銀行は金の保管サービスから始まった?
実は銀行というシステムは金の保管から始まったとも言えます。世界で初めて銀行券に準ずるものを発券し、金の保管を担ったのは金細工職人でした。中世の金細工職人は商工業組合であるギルドを形成しました。イギリスでは銀の品位がスターリングシルバーとして早くから統一されたり、その品位を保証するホールマーク制度が確立されるなど、金銀細工のシステム化がなされていました。金細工職人(ゴールドスミス)は原料の金を安全に保管する保管庫を所有していたため、今でいう貸金庫のような金の保管業を、しばしば兼ねていました。
この時に金と引き換えに発行された預かり証・約束手形は、「ゴールドスミス・ノート」と呼ばれ、金の引き出しを保証するものでしたが、これが人々の間で行き交いするようになり、現在の紙幣=銀行券のような役割を持ちました。ゴールドスミスのほうも預かった金を貸し出したりして運用するようになり、まさに銀行のような流通システムが出来上がっていきました。17世紀末に設立されたイングランド銀行はこのゴールドスミス・ノートをベースにして銀行券を発行し、のちに資本主義経済の発展を促す金本位制を確立します。
まとめ
様々な金の保管方法を紹介しました。金の保管方法にはシンプルに金を保管したり預けたりという方法もありますが、金を保有しつつ更なる投資を行う投資信託などの活用方法も場合によっては有効かもしれませんね。