金鉱株とは
金鉱株とは、金を採掘や精錬を事業とする会社の株式です。金は貴金属で世界的に価値があり、投資対象として注目されています。
金鉱株の特徴
株の価値は金そのものの価格と同じように動くということが特徴です。金と株が同じ動きをする理由は、金鉱脈自体を所有していたり採掘に関わっていたりする会社があるため、金と株の価値が金の価値に直結するためです。
つまり、世界的に金の価値が高まると株の価値も上がり、金の価値が低下すれば株の価値は下がります。しかし、株式は金とは異なる方法で取引されるため、その価格変動は金よりもはるかに大きいでしょう。
インゴット(金地金)が作られる過程
金地金を生成するためには鉱山から金が含まれている鉱石を取り出します。鉱石の金の含有量は少量で鉱石1トンにつき数グラムの割合です。
貯蔵庫に集められた鉱石はベルトコンベアで精錬工程に送られます。鉱石には金のほか、銅や鉄といった金属も含まれているため、これらを取り除く必要があります。
精錬では炉で鉱石を溶かすほか、電気で分解します。複数の工程を踏み鉱石から金粉を取り出し、金の粉を地金の形に鋳造し、番号やマーク、純度を刻印して完成です。
金鉱株のメリット
最大のメリットは世界中で注目されるような景気の変化や有事が起きたときに大きな利益を得られる可能性があることです。
「有事の時の金」といわれるように景気変動やテロが起きると金関連企業の株価も大きく上がります。
そのため、金そのものは資産を守るための投資対象ではありますが、より多くの利益を得る目的で金鉱株ファンドに投資する方の割合が高いといえます。
金鉱株のデメリット
景気変動や全世界を巻き込むテロなど市場では何が起きても不思議ではありません。そのため、金に関係する会社に投資をして損失を被る可能性があります。
また、金そのものに投資するのとは違い金に関連するさまざまな企業に投資することになるため、リスクが高い投資対象であるといえるでしょう。
金関連の投資商品
金に投資する場合、いくつかの投資方法が考えられます。
種類 | 特徴 | ||
---|---|---|---|
金貨・金地金 | 現物に投資 | ||
純金積立 | 少額で積立投資 | ||
金ETF、投資信託 | 金価格に関連する金融商品に投資 | ||
金鉱株、金鉱株ETF | 金鉱企業の株式や株価に関連する金融商品に投資 |
投資商品は異なりますが、いずれも金の価格変動を利用した投資方法です。それぞれの投資商品について特徴を紹介します。
金貨・金地金
金そのものに直接投資したい場合、最も一般的な方法は金貨や地金の現物を保有することです。
この投資法は好きな時に好きなだけの金を買って保有するもので「スポット購入」ともいわれます。
純金積立
毎月一定額を現物の金に投資し続ける方法です。毎月投資する金額を決めて一定額で行う方法と「毎月1g」など一定量の金を決めて買う方法に分かれます。
純金積立のメリットは少額から長期的に金への投資を積み重ねることができることです。
金ETF・投資信託|金鉱株(ETF)
金の現物を保有するだけではなく、証券会社などを通じて金融商品に投資する方法もあります。
金価格に直接関連する「ETF」や「投信」、金採掘に関わる会社への投資など、金融商品という形であれば個人でも始めやすいというメリットがあります。
金鉱株が注目されている理由
金鉱株は金の価格上昇や会社の業績などが影響し注目を集めています。ここでは、なぜ金鉱株が注目されるのかについて2つのポイントを紹介します。
金の価格が上昇しているため
景気が悪化したり世界情勢が不安定になったりする状況では「有事の金」として金が買われやすくなります。
アメリカの大幅な利上げで景気が悪くなることが懸念され、経済が安定しないため安全資産である金価格が上昇しています。
金価格の上昇で金鉱関連会社の業績がいいため
金価格が高くなると金鉱山に携わる会社の事業がよくなり金埋蔵量、生産量、1株当たりに入ってくるお金が増加します。金価格が上下しても金の採掘コストは大幅に増えるわけではなく、利益率が高まるためです。
つまり、金価格が高くなると会社の利益も高くなり、金価格が低くなると会社の利益も低くなります。
金鉱株投資はおすすめ?
金鉱株は金と同じ動きをしますが、価格変動の幅は金よりも大きいです。リスクヘッジ目的で金に関係する資産を持っておきたい場合は、金自体に投資する方法が適しているでしょう。ここでは、金鉱株がおすすめできる方の特徴を紹介します。
短期投資がしたい人に向いている
突発的な金融ショックや戦争、紛争などで相場が不安定なときにうまく使えば高い利益が見込めるため、短い期間で投資により利益を出したいと考える方におすすめです。
ただし、短期間で利益を出すということは短期間で大きな損失を被る可能性もあるということであり、ハイリスク・ハイリターンであることを認識しておく必要があります。
金への投資はタイミングが重要
近年でもアメリカのテロやリーマンショック、感染症の拡大による社会全体の影響を受け、金の価値は大きく上昇しました。つまり、テロや経済の変化が起こりそうなときには、あらかじめ金自体や金鉱株に投資しておくのが得策です。
適切なタイミングで事前投資ができれば、社会や経済が安定し世の中が落ち着いたときに金を売却し、他の金融商品に投資することができます。そのため、投資を考えている方は日々様々な情報を収集しベストなタイミングでベストな投資ができるようにしましょう。
人気の金鉱株の投資信託・金鉱株ETFの銘柄
ETFや投信を通じて複数の金関連銘柄に投資する場合、投資銘柄を分けることでリスク分散ができます。自身の投資目的や家計の状況に応じて、投資商品や銘柄を選択することが大切です。ここでは、金鉱株の投資信託・金鉱株ETFを見ていきましょう。
住友金属鉱山(5713)
日本で人気の銘柄のひとつは菱刈鉱山を保有する住友金属鉱山です。菱刈鉱山は鹿児島県北部に位置し、金の生産は1985年に始まりました。商業規模では日本最大の金鉱山です。
バリック・ゴールド(GOLD)
ニューヨーク証券取引所に上場する金鉱株で主に金と銅の生産・販売する金鉱山企業です。アルゼンチン、コンゴ民主共和国、ドミニカ共和国、パプアニューギニア、アメリカなど、世界中に金鉱山を所有しています。
アングロゴールド・アシャンティ(AU)
採掘や硫酸、銀の生産も行っている金事業会社の米国株です。世界10カ国に鉱山を持ち、主に金を生産しています。
アグニコ・イーグル・マインズ(AEM)
フィンランド、カナダ、メキシコで鉱山の運用をする金生産企業です。株価は2019年には金価格に連動して上昇に転じ、2020年後半に80ドルを超えるまでになりました。
ヴァンエック・ベクトル金鉱株ETF(GDX)
主要な金鉱山会社に投資するETFです。
NYSE Arca産金株指数に連動する投資成果を目指すETFでさまざまな金鉱株に投資でき、分散しながらリスクを抑えて投資を行いたい方におすすめです。
ブラックロック・ゴールド・ファンド
南アフリカ、アメリカ、オーストラリア、カナダなどの金鉱株をメインに投資するファンドです。
各社を分析し株価が安いと判断した銘柄に投資します。海外の金鉱株に関する情報を集めて予測をすることは困難ですが、投資信託という形で投資すれば海外の金鉱株に分散投資しやすくなります。
金鉱株投資のポイント
金鉱株投資では事前に戦略を立てて、自分に適した方法を選択することが重要です。そこで、投資をする際の2つのポイントを紹介します。
自分のあった投資戦略を立てる
投資を行う前に自分に適した戦略を考えてみると良いでしょう。1社に投資する場合、金鉱株への投資はハイリスク、ハイリターンとなります。金への投資に比べ価格変動が大きいため、短期投資向きといえるでしょう。
長期・少額積立なら純金積立や金ETF、長期積立投資を行い、金の価格変動を参考に金鉱株で短期投資を行う方法もあります。
リスクを抑えたい場合は金鉱株ETFがおすすめ
金鉱ETFは投資信託のひとつで、金鉱株ETFを買うと幅広い金鉱株に分散投資を行っている状況と同様の効果が期待できます。リスクを抑えながら投資をしたい方におすすめです。
今後の金鉱株の価格予測
各国の金融政策にも注意が必要です。金利を引き上げ資金供給を抑制する国が増えれば、金価格は下落します。金融緩和が続き景気が支えられる状況であれば、金価格が上昇する可能性があります。
金鉱株への投資は、金ETFなどの投資よりも価格変動が大きくなりやすいことが特徴です。積立によって長期間の資産形成ができる金ETFは、金鉱株はより積極的に投資をしたい方に適しています。リスクを許容できるファンドで投資することをおすすめします。
まとめ
金鉱株は大きく儲けることができる反面、ハイリスクな面があるのがデメリットです。投資リスクを抑えたい場合は金地金での投資も検討してみましょう。