金相場に強い影響を与える海外市場とは？日本と海外の金相場の関連性を解説

金の買取価格相場

まずは金の買取価格相場から見ていきましょう。本日の金の買取価格相場は以下の表の通りです。

近年の金の買取価格相場は上昇傾向にあります。2021年9月は1gあたり6,000円台だった金の買取価格相場は、翌年9月には8,000円代まで上昇しました。ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、安全資産と言われる金の需要が高まったことも一つの要因として考えられます。そして2023年には金1gあたり10,000円台まで上昇し、2024年7月には12,000円代まで上昇しました。

世界的なインフレの懸念やロシアによるウクライナ侵攻が継続していること、中東情勢の不安などから、金の需要はまだ下落することはないと予想されるでしょう。

金相場に強い影響を与える海外市場

世界各国で取引が行われている金ですが、金相場に特に強い影響を与えていると言われているのがニューヨーク市場とロンドン市場です。それぞれの市場の特徴について詳しく見ていきましょう。

先物取引の金相場に影響をもたらすニューヨーク

主に先物取引を中心としているのが世界最大とも言われる金先物市場であるニューヨーク市場です。

先物取引とは、簡単に言うと将来の指定した日に事前に決めた価格で行われる取引のことです。取引が実際に行われる時の商品価格が契約を交わした時よりも高くなれば、買い手側が利益を得られます。反対に低くなれば売り手側が利益を得られます。

ニューヨーク市場で決定された金先物価格は、日本の金価格にも多大な影響を与えるため毎日チェックする投資家も多いでしょう。また、日本以外の国々でもニューヨーク市場の価格を基準として金先物取引が行われています。

先物取引ではレバレッジをきかせた取引で大きな利益を狙うことができます。そのため、短期的な利益を狙う投資家や金先物取引へ参加するファンドも増えており、ニューヨーク市場の動向が日本の金価格に多大な影響を与えていると言えるでしょう。

現物取引の金相場に影響をもたらすロンドン

金の現物取引において長い歴史を持つのがロンドン市場です。17世紀に誕生して以降、金の現物取引の中心的な市場として知られており、毎日午前と午後の2回公表される金価格が世界の金現物取引の価格に多大な影響を与えています。この価格は、ロンドン貴金属市場協会（LBMA）に所属している「5大貴金属商」が協議の上決定しています。

ロンドン市場での金の受け渡しを行う場合に、1トロイオンスあたりのドル建て価格が「ロコ・ロンドン・ゴールド価格」と呼ばれており、これが取引の基準となります。トロイオンスとは貴金属や宝石の計量に使われる質量の単位で、ロコは金の受け渡し場所を意味します。

長い歴史の中で、ロンドンの銀行がその金の受け渡し場所として機能しており、ロンドン以外の場所で金の受け渡しを行うと運賃や保険料が金価格に上乗せされます。

しかし、金の取引では実際の受け渡し場所がどこであっても、スムーズに取引を行うために「ロコ・ロンドン・ゴールド価格」が使われることもあります。

日本と海外の金相場の関連性

金投資を始める上で金相場についての知識は大切です。金の相場が変動する理由を理解することで価格が下がる兆候を感じ取ることもできるでしょう。ここでは、日本と海外の金相場の関係について詳しく見ていきましょう。

金の相場は世界共通

基本的には金の相場はほとんど世界共通です。日本国内だけ突出して安かったり、海外で極端に高値になるといった状況が起こることはありません。

前述の通り、金の価格相場はニューヨーク市場やロンドン市場の価格を基準に決められるため、国ごとで大きな差が生まれるといったことが起きないのです。

為替の影響で金相場に差が生まれる

為替の影響によって金相場に差が生まれることがあります。特に金の価格に影響を与えると言えるのが「米ドル」です。

金の価格は「1トロイオンスあたり○○米ドル」と発表されるため、日本ではその日の為替相場に合わせて「1gあたり○○円」と換算されます。そのため、円安が進むと日本国内での金の価格は上昇し、円高が進むと日本国内での金の価格は下落します。1日で数十円規模の大きな為替相場の変動が起きることはほとんど考えられませんが、長期的に見ればありえない話ではありません。

こういった理由から、金投資をする場合は為替の動向を知ることも大切だと言えます。

とはいえ、自然災害や政権交代といった大きなニュースを見て、すぐに金を動かすことはおすすめしません。これは、さまざまな情報が一般公開される前に多くの投資家が取引を行っており、結果的に想定より相場の変動が小さいこともあるからです。あくまでも金相場を想定するための判断材料の一つとして扱い、他の要因なども含めて総合的に判断しましょう。

海外の金相場と連動しないこともある

上述の通り、金相場はほとんどが世界共通とお伝えしましたが、海外の金相場と日本の金相場の関係性は複雑であり、連動しないこともあります。

たとえば2011〜2013年頃の話ですが、2011年前半まで上昇を続けていた金相場が世界的に下落し始めました。通常、日本の金相場も海外同様下落することが予想されますが、実際には逆転現象が起こり、世界的には金相場は下落しているが日本の金相場は上昇するという動きが見られました。

この一番の要因は円高だと言われています。2011〜2012年の米ドル円相場を見ると2011年1月は81円台で始まり、それ以降も下落し続け同年12月には77円台、2012年も上昇と下落をくり返し、同年12月の平均は約84円となっています。2024年の相場からは考えられない数字ですが、米ドル円相場が金相場よりも大きく影響したと言える出来事の一つです。

このような出来事が起こるのはめずらしいですが、こういったこともありえるということを覚えておくと良いでしょう。

海外の金相場が下落傾向の時に購入して大丈夫？

世界的に金の相場が下落傾向が見られると、今が買い時と考える方もいますが、多くの方は損をしないか不安だと考えるでしょう。

日本国内で金相場が安定しているように見えたとしても、実際には米ドル円為替相場の影響があります。「金本来の価値」という観点から考えると、海外の金相場の下落は不安材料になるでしょう。

しかし、金を中長期的な投資先として考えるのであれば、一時的な金相場の下落はそこまで心配しなくても良いでしょう。それは、将来的に金の価格が再度上昇する可能性が高いと考えられるからです。一方、金を短期的に保有して利益を得ようとする場合、非常に難しいと言われており、プロでも短期予測は困難です。

海外や日本の金相場に過度に反応せず、余裕を持って投資できる範囲内で少しずつ金の購入を続けていくと良いでしょう。

近年の金相場の動向

これから金投資を始めようとしている方にとっては、直近の金相場の動向も気になるところです。ここでは、近年の金相場の動向、特に金相場の高騰理由に注目して見ていきましょう。

金相場の高騰理由

近年の金相場は上昇傾向にあります。その背景にはさまざまな要因がありますが、世界的に経済への将来的な不安感やインフレに対する懸念などが考えられます。

一般的に、世界情勢が不安定になると安全資産と言われる金への需要が高まり、金相場が上昇する傾向が見られます。

2020年以降で見ると、新型コロナウイルスの世界的流行やウクライナや中東の情勢不安など経済の先行きに対する不安感を拡大させる出来事が多くありました。このことから、金相場が高騰したと推測されています。

金の売り時は金相場が高いタイミング

金の売却を考えた時に重要なのはタイミングですが、単純に金相場が高いタイミングで売るのが基本です。

金相場は日々変動しており、1ヶ月後も同じ価格である保証はありません。まずは毎日の金相場や変化をしっかりと確認することが大切です。

金相場が高いタイミングで売るというのは単純ではありますが、とても難しいのが現実です。実際に金相場がいつ最高値になるかを正確に掴むことは不可能と言っても良いでしょう。金相場は日々の変動はそこまで大きくないため、中長期的に見て相場が高い時期にあたるのであれば売却のタイミングと判断しても問題ないと言えます。

投資目的で金を保有している方は、購入時の価格をしっかり記録しておくこと、そして売却時の価格差がどのぐらいになるかを考えて判断することが大切でしょう。

まとめ

近年の金の買取価格は上昇傾向にあり、特に世界的なインフレや地政学的な不安定さが影響しています。金相場はニューヨークやロンドン市場が基準となり、為替の影響も大きいです。短期的な変動に過度に反応せず、中長期的な視点で少しずつ購入を続けるのが良いでしょう。売却タイミングは相場が高い時期を見極め、購入時との価格差を考慮して判断することが重要です。