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円高と円安とは?
言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのような状況なのか詳しくわからないという方も多いのではないでしょうか。最初に、円高と円安とは何かを簡単に解説します。
円高の状態とメリット・デメリット
円高とは、ドルといった外貨に比べて円の価値が相対的に高い状態を指し、「円高ドル安」を意味することが一般的です。
円高の状態では外貨建てでモノやサービスを買う際にかかる円が少なくなり、次のメリットがあります。
・輸入品の値段が下がる
・輸入にかかる費用が下がるため会社の収益が増える
・海外旅行にかかる費用が下がる
ただし、円高の状況では同じ額の外貨と交換可能な日本円の量が少なくなり、外国人が日本製品を購入するために必要な資金が増えます。
これは次のようなデメリットにつながるでしょう。
・海外に輸出する日本製品の価格が上昇してしまい売れない
・海外で得た利益を日本円に換算したときの価値が低下
つまり、円高になると日本の経済にいくつもの影響を与えるのです。輸入をメインにする企業には有利ですが、輸出企業にとっては不利です。
円安の状態とメリット・デメリット
円安とは、ドルなどの外貨に比べて円の価値が相対的に低い状態を指します。
日本にとっての円安のメリットは、次のとおりです。
・日本製の価格競争が起こり海外市場で利益が増える
・海外で得た利益を日本円で計算すると収益性が上がる
・訪日外国人旅行が安くなり、インバウンド需要が高まる
一方、円安には輸入品の値段が上がることがデメリットです。輸入コストの上昇や輸入原材料の高騰により、国内生産品の価格も高くなることがあります。
さらに、海外旅行にかかる費用が割高になる可能性もあるでしょう。近年は円安が止まらず、メリットとデメリットを適切に把握し、状況に合わせて対応しなければなりません。
円安になる3つの要因
円安の状況になるにはさまざまな要因があります。ここでは、主な要因を3つ挙げて解説します。
景気
日本経済が好調であれば、消費も増え海外製品を購入するケースも増えるでしょう
海外の商品を買うためには円を購入する場所の通貨に両替しなければなりません。為替によって多くの円が円以外の通貨に交換されると、円の価値は低下します。
他国
円安の要因は日本経済だけではなく他国の経済にもあります。
例えば、アメリカの景気が良いとドルの価値が上がり、ドルの価値が世界的に高いと認識されるとドル以外の通貨の価値は相対的に下がるなどです。結果として、1ドル100円が1ドル130円になり、円安が進みます。
金利
金利とは、お金の貸し借りで発生する利益と費用のことです。金利が日本の政策金利を下回れば、海外投資家は日本に投資する魅力を失います。
円を持っていても金利が低ければ利益が出ないため、たくさんの円が売られるのです。結果、円ではない通貨を買う方が増え、円の価値が低下して円安になります。
円高・円安と金価格の関係性
一般的な円高・円安には、それぞれメリットとデメリットがあります。しかし、金価格とはどのような関係性があるのでしょうか。ここでは為替レートが金価格に与える影響について、最近の世界と日本の金価格の動向とともに解説します。
円高の場合、金価格は下落する
金は世界中で取引されており、取引は基本的にドル建てであるため、国内ではドル建ての金価格を基準に価格が決められています。
なお、多くの方が目にする機会が多い貴金属店の金小売価格は、円に換算した金価格に手数料や費用を上乗せした金額です。
つまり、円高になればドル建て金価格が変わらなくても円建て金価格は下がります。これは、円高になると輸入品の価格が下がるのと同じ理由です。
円安の場合、金価格は上昇する
円安になればドル建て金価格が変わらなくても日本における金価格は上がります。円安で円の価値が低下し、ドル建ての金価格が相対的に上昇するためです。
円安になると輸入品の価格が上がるように、円安になると輸入金の価格も上がります。
円安ドル高は米国の金利が日本より高い状態で発生しやすいです。高い金利で儲けようと、円をドルに変換して投資する傾向があるためです。
最近の金価格と為替相場の関係
三菱UFJ銀行が発表したドル円為替レートによると2022年〜2024年まで長期的に円安傾向が続いています。2022年1月に1ドル115円台だったドル円相場は2023年9月には1ドル14円台までになっていました。
2022年1月以降、円安の進行によって円建ての金の小売価格は上昇傾向にあります。一方、ドル建ての金価格は右肩上がりの上昇局面ではなく、同じ水準から下がっていることが特徴です。
つまり、この間の円建て金の小売価格が上がる原因は円安だといえるでしょう。
為替以外に金相場が変動する要因
円安以外の要因も円建て金小売価格の上昇に関連していることがあります。ここでは、為替以外の要因が円建て金小売価格に与える影響を解説します。
需給のバランス
金価格は需要と供給のバランスで変わることが特徴であり、需要が増えれば価格は高くなり需要が減れば価格は下落します。
近年、新興国を中心に各国の中央銀行が外貨準備に占める金の比率が上昇していることもあり、金の需要は拡大しています。
一方で金の埋蔵量には限界があるため、金が採掘される量は長期間変わっていません。金は希少で汎用性の高い貴金属であり、需給バランス上、中・長期的に価格が低下する確率は低いと予想されています。
経済的・地政学的リスク
金は特定の国の経済的・地政学的リスクに関係なく実物資産としての価値を保持するため、世界経済や地政学的リスクが高まる場面で買いを集めます。
近年金価格が高くなっているのはウクライナ情勢が原因の地政学的リスクや米国の銀行破綻に端を発した金融不安による金投資の拡大が主因です。
インフレ対策
インフレとは貨幣価値が下落する一方で商品価格が上昇することです。インフレが進めば、預金や現金などの資産価値が減少します。
反対に、希少性や歴史があることでインフレで金の価値は下がらず、保有したいと考える方が増えるため価格が上がります。そのため、投資家はインフレで価値が下がる資産ではなく金を保有しようとします。
2024年現在、世界のインフレ率はまだ高い水準です。今後は落ち着くことが予想されますが、インフレが続けばインフレ対策として金に投資する流れは弱まらず、金価格の上昇を支え続けるでしょう。
金を高価買取してもらうためのコツ
金の価格は、為替相場など様々な要因で変動します。そこで、金を保有し、高価買取をしてもらうためのコツ・留意点を解説します。
金の相場を確認しておく
金価格は需要と供給のバランスや経済状況、金利といった複数の要因で変わります。そのため、金を保有し高価買取をしてもらうためには金価格の動向や価格変動する原因を把握しなければなりません。
日々のニュースや経済状況を確認するほか、これまでの金価格相場の動きを見てその傾向を把握することも大切です。
円安の時に売却する
日本では円安になると、金の価格が高くなる傾向があります。そのため、金を高価買取してもらいたい方は円安の時が狙い目です。反対に、円安のときに金を買取に出すのはおすすめできません。
刻印で金の価値を把握しておく
金製品には金の純度や重量を示す刻印が押されていることが一般的です。
金の刻印には「K24」「K18」「K14」などがよく見られ、これらの刻印は24金、18金、14金のことであり金の純度を判断できます。
基本的には、純金を指す「24金」「K24」が最も価値が高いです。
綺麗にメンテナンスしておく
傷や擦れがあると製品のツヤが落ち見た目の美しさや質が落ちるため、買取価格も下がってしまいます。汚れを落とす際には柔らかいクロスや専用クロスで金を丁寧に磨きましょう。
金は柔らかいことが特徴で力を入れて磨くと傷がつくことがあるため、丁寧に優しく汚れを落とすことが大切です。
付属品を準備しておく
付属品には金の鑑定書、証明書、製品が入っていた箱や袋などがあります。付属品は本物の金であることや品質を証明する重要なものです。
特に高級品やブランド品の付属品の有無は買取価格に良い影響を与えます。
他の貴金属もまとめて売却する
買取業者はいくつかの貴金属を一括で買取することで効率よく取引ができます。
そのため、貴金属を1つ1つ売却するよりも数個まとめて売却した方が高い買取価格が期待できるでしょう。
まとめ
日本の金価格は世界中で取引されるドル建ての金価格を円に計算し直したものです。つまり、為替相場が円安になれば円建ての金価格は高くなり、円高になれば円建ての金価格は低下します。
短期間の金価格のトレンドを予測することは困難ですが、ドル円為替レートの動きを知ることは長期的な流れを理解するうえでも大切です。
金を保有している方、買取を希望している方は円高・円安に注目しておくと高価買取のタイミングを見極めやすいでしょう。