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相場の推移
金の相場に関して、為替や株のように毎日変動するものになっております。理由としては、金やプラチナなどは毎日世界中の市場で取り扱われており、各国の情勢や供給のバランスを受ける為となります。
2016~2020年における金価格の相場推移を確認しておきましょう。
2016年…4,396円/グラム
2017年…4,576円/グラム
2018年…4543円/グラム
2019年…4918円/グラム
2020年…6122円/グラム
上記で分かるように、2020年までの5年間で金は高騰しているのが分かります。特に2020年は過去最高の相場になっております。
金の相場が徐々に右肩上がりの理由
金価格が年々右肩上がりに上昇しているのには、大きく2つの理由があります。1つは「金の需要が高まったため」、そしてもう1つは「金が投資商品として投資の対象となったため」です。
もともと、金の購入は資産として所有することが主たる目的でした。しかし近年では、スマホやパソコン、精密機械などの素材として工業利用されるケースが増え、さまざまな分野で金の需要が高まっています。
そして、為替市場や先物市場などのシステムが整備されたこともあり、金価格は為替や先物取引とリンクして変動するようになっています。
2020年の金相場の高騰は新型コロナウイルス感染症が背景にある
近年で一番新しい世界情勢の悪化の理由として、新型コロナウイルスの発生が挙げられます。2020年以降、金の価格は強い上昇傾向を見せました。見えない敵である未知のウイルス「新型コロナウイルス」の猛威により、世界が不安の渦に巻き込まれまたからです。
外出を控えることで消費は落ち込み、経済は悪化する動きへ。政府や各国の中央銀行は、経済的な落ち込みを避けるために大胆な金融緩和を実施しました。金融緩和により、ある程度は財政を保つものの、投資家の紙幣に対する不満は高まり、資産は金へ流れたのです。
このように先行きが不透明な状況が起こると金の需要は高まるため、結果的に金相場は上昇します。金相場が高騰するタイミングで売却するなら、このようなタイミングがおすすめです。
金が急落する条件
投資対象としての金とどのように向き合っていくべきかを知るためにも、「急落の可能性」について考慮しておくことが重要です。
では具体的に、金の相場はどのような条件が重なったときに急落する可能性が高いのでしょうか。5つの条件をまとめます。
・金の供給量が増える
・金の需要が減少する
・世界経済が安定し、金以外の投資対象の魅力度が上がる
・テロや戦争など、地政学的リスクが極めて低い
・世界的な富豪や投資家たちが、金の買い占めを行わない
金だけにとどまらず、市場に出回っている量が潤沢で、なおかつ多くの人に求められない商品は、価値を下げていきます。
さらに金ならではの特徴として、「様々なリスクに対応できる一方で、所有しているだけでは何も生み出さない」というものがあります。
戦争やテロ、そしてあらゆる経済リスクが低く、順調に経済成長を遂げているような場合には、「金」よりも「株」などの持つことで利益を生むものに投資をした方がはるかにもうかるでしょう。
対して、反対の事実も当てはまります。株など一般的な投資対象のリスクが懸念されているタイミングでは、金に信頼が集まる傾向があるようです。
特に以下の3点に関する状況に変化があれば、金相場の動きも変化すると考えられています。
2022年はウクライナショックによる金の高騰
今ウクライナショックで金の価格が高騰しています。それは、端的にいうとウクライナショックにより紙幣や株価に対する信用が下がったため、不変資産である金への投資に投資家の意識が向いているからです。
ここではウクライナショックで金が高騰している背景を説明します。金は世界中にある絶対量が決まっており、株のような成長資産と異なり、不変資産です。また、株価の暴落と同時にロシアのルーブルなどの貨幣価値も暴落することが予想されています。
不変資産でない資産に対する資産価値減少の恐れから、現在投資家の意識が金に向いています。金は1980年のオイルショック時に1グラム6,495円という高値をつけましたが、その時と同様に、今のウクライナショックにおいても同様の動きが見られているのです。
金はインフレ懸念が高まると高騰する傾向にあります。さまざまな要因で金価格が上がると言われていますが、実際にはインフレ懸念の一つの理由しかありません。というのは、インフレになるという不安要素があると不変資産への投機意識が高まるからです。とはいえ、金はリスクの高い投資対象であるともいえます。
つまり、デフレになると金が暴落する可能性があります。したがって、安易に金への投資に手を出すのはリスクが高いと言えるでしょう。
2022年以降の動向について
2011年のリーマンショック後9年ぶりに、金相場はコロナショックにより高騰しました。2021年には米長期金利が上昇し、金利が付かない金の相対的な魅力を低減させたため多少下落したものの、それほどの下落傾向ではありませんでした。
また、コロナ危機から市場に対する不安感が増し、金相場の上昇傾向は続くでしょう。米国で利上げが行われる見込みがあるため、実質金利が上昇して金離れ傾向があるにもかかわらず、中間選挙に対する不安感から安定した金への投資傾向は続くだろうと思われます。
コロナウイルスのオミクロン株が出現して世界各地で感染拡大したことで、不安の高まりにより金が買い傾向になりました。とはいえ、オミクロン株は比較的軽症で済むことや、ワクチンが開発されたことで、金の売り材料となりました。
またイングランド銀行が政策金利を引き上げ、欧州中央銀がPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の22年3月終了を決定したことでドル安が進んで金が売られたものの、オミクロンの更なる感染拡大とインフレ懸念により金相場はそれほど下がりませんでした。
長期的に見れば急落の可能性は低い
資対象としての金の評価は今後も揺らぎそうにありません。
近年は、電子機器などの部品素材として工業利用するケースも目立ってきています。
多くの方がスマートフォンやタブレットなどの携帯端末を所持していることを考えますと、金を工業利用する例は今後も増えていきそうです。
こうした人類の歩みをチェックしてみますと、金を必要としない生活を送っていくのは、非常に難しいことだといえるでしょう。
新興国の発展とともに、金の需要は今後も高まり、長期的にみれば急落の可能性はとても低いのではないかと考えられています。2000年代に入り、大きく上昇した金相場ですが、専門家の中には「まだまだ安い」と捉えている方も多くいます。
自身の資産を守るために、一定割合を金に換えておこうとする投資家も少なくありません。
現在、コロナ感染症の状況がいつ収束するかわからないことに加え、ウクライナ戦争の状況も不安定です。したがって、さまざまな先行き不安から今後も金相場は高めの傾向にあることが考えられます。とはいえ、現金を一時的に確保する目的から金が売られ、相場が下落することも予想されます。
また、コロナ感染症が収束したら、急速に経済が安定して金相場が一気に下落することは考えられます。しかしながら、ウクライナ戦争だけでなく、米中対立などの政情不安も未だ存在することから金相場が高めの傾向である状況は続くと考えられます。
【まとめ】
今後、長期的に見れば急落する事は少ないと思われる金とはいえ、金は保有していたからといって、現在の懐事情を潤してくれるわけではありません。
また売却タイミングによっては損をする可能性も十分にありますから、長期保有を前提とした、余裕資金での買い増しがオススメです。