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可憐に洗練。ティファニーのオープンハート
オードリー・ヘップバーン主演の往年の名作、「ティファニーで朝食を」などでも知られるティファニーは、1837年にニューヨークに雑貨や文具を扱うお店として創業します。その後、数々の革命で没落したフランスの貴族の装飾品を買取り、販売やリメイクをすることで宝飾店としての地位を固めていきます。こうした宝飾店としての成長は、創業者の一人、チャールズ・ルイス・ティファニーの経営手腕に拠るところが大きく、彼は「ティファニーセッティング」と呼ばれるようなダイヤモンドのセッティング法を考案するなど、豊かなイマジネーションを備えた人物でした。
この「オープンハート」は戦後、ティファニーのジュエリーデザイナーとして活躍したエルサ・ペレッティによってデザインされたものです。エルサはイタリアの富豪を父にもち、箱入り娘のような幼少期を過ごします。そんな生活に嫌気がさした彼女は実家を飛び出し、スペインのバルセロナでモデルとして生計を立てるようになります。その後ニューヨークに移住し、当時隆盛を誇ったホルストンなどのモデルをやりつつ、自身でジュエリーデザインを行うようになります。そんな最中、エルサはティファニーでデザイナーとして採用されました。
「オープンハート」はエルサ・ペレッティの代表作の一つであり、ティファニーのジュエリーの中でも人気の高いアイテムです。「心を開いて」という意味合いの示すとおり、愛の贈り物にされることも少なくありませんが、自分への愛という意味合いで自分へのご褒美に選ぶ人も少なくないそうです。彫刻家ヘンリー・ムーアの作品にインスパイアされた流線形のフォルムは、首元に柔和な印象を与えてくれます。
オープン ハート ペンダント イエローゴールド、7mm
参考価格 89,100円
ブレスレットもいいけど、リングも最高!エルメスのシェーヌダンクル
エルメスは1837年にティエリ・エルメスがパリに構えた馬具工房に始まるブランドです。エルメスの創業当時、馬車はブルジョワのステータスシンボルでもあり交通手段でもあったため馬具の需要は大変なものでしたが、19世紀後半になると、新たな交通手段が登場して馬車の需要が減少したため、エルメスは馬具製造技術を活かして鞄やアクセサリーなどの革製品を展開していきます。アクセサリーもエルメスが早くから販売していた商品の一つで、「フィレドセル」という、鐙(あぶみ)に着想を得たデザインの金具をつけたブレスレットが、エルメス最初期のアクセサリーです。
シェーヌダンクルは4代目のエルメス社長であるロベール・デュマによってデザインされました。ロベール・デュマはもともと建築家で、創意工夫に富んだ人物で、現在にも息づく様々な名作を生み出しました。有名なシルクスカーフの「カレ」や、グレース・ケリーが愛用したことで「ケリー」と呼ばれることになる「サック ア クロア」などをデザインしたのもロベール・デュマです。このシェーヌダンクルは彼がノルマンディーに係留されている船の、錨の鎖(=chaîne d'ancre)に着想を得てデザインしたものです。
王道のシルバー製のブレスレットももちろんカッコいいですが、けっこうハードな印象になりがちで、女性だとスタイルを選ぶ可能性があります(そしてちょっと重い)。そこでおすすめなのがゴールド製のリングバージョンです。イエローゴールドのシェーヌダンクルモチーフはシルバーよりも明るい印象を与えてくれて、指もとに絶妙なアクセントを添えてくれます。なかなか店頭でお目にかかれない代物ですので、中古市場も合わせてチェックするのがベターです。
シェーヌダンクル アンシェネ プティモデル
参考価格 280,000円
繊細なサボテン⁉メレリオ・ディ・メレーのダイヤリング
1613年創業のメレリオ・ディ・メレーは世界最古のジュエラーともいわれます。創業者のジャン・バティスト・メレリオはイタリア出身ですがフランスに移住し、当時のフランス王妃マリー ド メディシスから特許を与えられて外国人ながら自由に商売をすることができたそうです。それはマリー ド メディシスがメディチ家出身のイタリア人であったことに加え、メレリオ家の卓越した宝飾品加工技術が高く評価されていた証であったといえます。早くからヴァンドーム広場につながる、ペ通り(Rue de la Paix)に居を構え、フランス王室やイタリア王室から、王室御用達に任命されます。またジュエラーとしての高い技術を応用して、トロフィーを製作していることでも知られており、フランスの名門ジュエラーを代表する「グランサンク」の一つにも数えられます。
メレリオ・ディ・メレーは精緻でオーセンティックなスタイルが特徴です。そんなメレリオ・ディ・メレーの中でも今回紹介したいのが、プティ カクタス(ミニサボテン)に着想を得たゴールド×ダイヤモンドのリングです。ミニサボテンはメレリオ・ディ・メレーの顧客であったマリー・アントワネットのお気に入りの植物で、ブランドの歴史において重要なモチーフとなっています。ブランドが得意とする繊細な宝飾技術で小さなダイヤモンドを華やかに演出しています。
プティ カクタス ヴァニーユ SMダイヤモンド リング
参考価格 136,400円
ミニマリズムの一つの境地。カルティエのジュストアンクル
カルティエは宝飾師のルイ=フランソワ・カルティエが師匠の工房を受け継ぐ形で1847年にパリで創業したジュエラーです。ナポレオン三世の妃のウジェニーが顧客に名を連ねるなど当初より高い評価を得ていました。創業者の孫にあたるルイ・カルティエの時代になると、世界最初の商品化された腕時計である「サントス」や、今なおカルティエウォッチの代名詞である「タンク」などの名作が生まれ、英国王エドワード7世は「王のジュエラーであり、ジュエラーの王」とカルティエを評し、英国王室御用達とするなど、その名声は世界的なものとなります。
ジュエリーにおいて先駆的にプラチナを採用するなど先取の気質にも富んでいました。1930年代になるとパンテール(豹)の愛称で知られるジャンヌ・トゥーサンがアーティスティック・ディレクターとなり、その類まれなる感性でカルティエのクリエーションを牽引していきます。
今回紹介する「ジュストアンクル」は、1970年代にカルティエ ニューヨークのアトリエでデザインされたものです。そのデザイナーのアルド・チプロは“一本の釘だけ(Juste un clou)”を見事にジュエリーデザインに昇華しました。
なお、彼は貞操帯に着想を得た「LOVEコレクション」をデザインしたことでも知られています。1970年代のコンセプチュアリズムやミニマリズムの風潮を汲み取ったかのような究極にシンプルなデザインは、手首にさりげないアクセントを添えてくれます。釘という尖ったデザインと、ビター&スゥイートな好コントラストを演出してくれるピンクゴールドが特に良いです。
ジュスト アン クル ブレスレット、スモールモデル ピンクゴールド
参考価格 522,500円
まとめ
プレゼントにおすすめしたいゴールドジュエリーを紹介しました。ゴールドジュエリーは一生色あせない美しさがあるので、一生使えるようなデザインと質を兼ね備えたものを紹介しました。大切な方へのプレゼント選びの一助になれば幸いです。