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海の中は宝の山!?海水に溶け込んでいる金とは。

海の中は宝の山!?海水に溶け込んでいる金とは。

海水の中には多くの希少金属が溶け込んでおり、金も相当な量が含まれていると推測されています。これを抽出できれば大金持ちになれそうなものですが、なぜ現在に至るまで実現していないのでしょうか。今回は海水の中の金について、詳しく解説してきます。

海は資源の宝庫

海から何かを取り出すというと、一般的には「塩」が思い浮かぶのではないでしょうか。実は、海には食塩のもととなる塩化ナトリウム以外にも、マグネシウム、臭素、ウラン、そして金など、77種類もの元素が溶け込んでおり、リチウムやチタン、バナジウムなどのレアメタルも存在します。地球科学分野では「海水の1滴1滴が元素の宝庫」とも言われるほどです。
人々は、紀元前2,200年ごろの中国ですでに、海から食塩を作って有効利用していました。とはいえ、昔から海水中の資源を活用できていたのは、取り出しやすい塩だけでした。21世紀においても、海水中の金属イオンの多様さや希薄さのために、分離回収コストが見合わず、商業利用の最大の障害となっています。

 

海水の中に50億トンの貴金属が?

これまでに人類が採掘した金はおよそ17万トン、そして現在地球上に残された金の埋蔵量はおよそ7万トンです。比較すると、海水に溶け込んだ金は採掘された量の約3万倍、埋蔵量の約7万倍となります。50億トンという量がどれほど莫大なものか、お分かりいただけたのではないでしょうか?
たしかに海水中の金は莫大な量ですが、濃度という観点からは、また違った見方ができます。50億トンという数字は世界中の海水から推測された量であり、1トンの海水中に含まれる金はわずか1mgにしか過ぎません。海水中の金は、総量が膨大である一方、実は濃度にすると低いとも言えます。
様々なものが存在する海の水ですが、実は資源や元素の採取作業は現在の技術ではほとんど行われていません。なので、我が国では、金の採取は主に鉱脈からおこなわれています。海に囲まれている我が国にとっては採取先が多くあるにもかかわらず、なぜ作業が止まっているのでしょうか。それは濃度が関係しているようです。

 

そんなにあるのになぜ抽出が進んでいないのか。

0.0005PPMという非常に薄い濃度ではありますが金が含まれています。薄い濃度とはいえ、地球上の海水すべての量で考えますと、およそ50億tもの金が海水から抽出できる計算になるのです。
海から金などの貴金属のみを採取するのは、極めて難しい作業です。1980年代にはレアメタルを回収できる吸着剤を開発、海に沈める試みを行っています。しかし、結果としては、レアメタルよりも海藻や貝殻、コケなどがたくさん付着してしまい、失敗に終わりました。長く研究が続けられていますが、なかなか実用段階には至っていません。2011年には、海水総合研究所が、アルゼンチンのカウチャリ塩湖にて、日本の製塩技術を利用し、塩湖かん水からリチウムを回収する技術の実験を行い、効率的なリチウム回収の可能性が開けました。今後研究が進められていけば、効率のいい金の採取作業が可能になるでしょう。
日本では海水ではなく、海底にある鉱物を採掘するプロジェクトが進行しています。海水よりも鉱物の方が効率がいいと分かったからです。海底にある鉱床は、海水が冷えてできたものです。海水の塊のため、水に含まれていた金やレアメタルといった貴金属類が豊富に存在します。最近では海の場所によって含まれる鉱物の濃度が違うのが分かったりしてきました。なので、欲しい鉱物が効率よくたくさん産出できるようになるかもしれません。

 

海中のレアな貴金属?どのような物?

 

海の水にはさまざまなものが混ざっていますが、レアメタルという単語を初めて聞いた人も多いでしょう。レアメタルは、日本独自の用語であり、英語圏では minor metalと呼ばれています。レアメタルとは何か、レアメタルが希少な理由、どんな目的で使われるのかをご説明します。また、最近ニュースでも話題のロシアとウクライナの情勢も関係しています。
レアメタルは、地球上の地殻中の存在量が比較的少なく、現在の技術では採掘と精錬のコストがすごく高いです。また、単体として取り出すことが技術的に困難であり、金属の特性から製錬のコストが高い貴金属という理由で非常に価値が高くなっています。

また、主に産業用に使われており、世界の経済発展と特殊な電子機器の部品開発に伴う急激な需要の増加に対して供給量が少ないために急激な価格の高騰が起こっています。また、産出もロシアが含まれている為(主にパラジウム)高騰が後を絶たなくなっている。
海から金を抽出する技術の開発とともに、レアメタル回収のための研究も進められています。実際に佐賀大学の海洋エネルギー研究センターは、2012年に海水中からのリチウム回収の実証実験を行ったことを発表しました。研究は現在でも続いており、吸着法・イオン交換法・溶媒抽出法など様々な手段を講じて、リチウム以外にウランの取り出しも実用化を目指しています。ウランは原子力発電など私たちの私生活必要な電気を作るために必要な物です。
その中でも金の46倍もの量が存在するとされるリチウムの回収実験は特に進んでおり、現在も効率よく採取する方法が開発されています。リチウムもさまざまな分野にて活用されているため、需要が高い貴金属のひとつです。近年では電気化学セルが開発されたとの事です。

 

【まとめ】

海水中には金をはじめとする多くのレアメタルが溶け込んでいますが、現在の科学技術をもってしても抽出は容易ではありません。不可能ではないものの採算がとれないため、実用化に至っていないのが現状です。日本においてもリチウムの抽出研究が進んでおり、いずれはウランや金などに及ぶことも期待されています。将来的に、金のジュエリーなども安い金額で買える日が来るかもしれませんね。

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