金やプラチナはなぜ貴金属とよばれるか
金やプラチナは貴金属とよばれており、貴金属は希少性や加工性に優れ、科学的に安定している金属のことで全部で金、銀、プラチナをはじめとした白金族6種類を加えた合計8種類のみしか存在しません。金やプラチナはその中でも特に需要が高く、価値の高いものであり、アクセサリーの地金部分をはじめ、工業製品のパーツや金貨やインゴットといった資産にまで様々な形で利用されています。
金やプラチナは限りある資源
金やプラチナは人工的に作り出す事ができず、自然にあるものを採掘する、もしくは既にあるものを再加工して利用するという2つの方法でしか利用することができません。そのため、金やプラチナは地球上に存在する埋蔵量分しか利用できない限りある資源といえます。
金の埋蔵量
現在の技術で採れる地球上の金の埋蔵量は残り約50,000トンといわれています。ちなみに現在までに採掘された金の合計は180,000トンといわれており、オリンピックプール約3杯分の金が採掘されていて、現在も年間約3,000トンが採掘されており、このままのペースで採掘し続けると今後20年以内に採りつくしてしまうともいわれています。
プラチナの埋蔵量
プラチナは、過去に産出された分も含め、地球上に存在する総量は約16,000トンといわれています。また、現在までに採掘されたプラチナの合計は約6,000トンといわれており、オリンピックプールに換算すると足首が浸かる程度にしかなりません。金のもともとの総埋蔵量が約230,000トンという事を考えるとプラチナの埋蔵量がいかに少ないかがわかると思います。
プラチナは金よりも希少
現在、金の取引価格は(2023年5月時点)1グラムあたり1万円にも迫る金額で取引されており、プラチナが1グラムあたり5,000円程度で取引されている事を考えると金の方が希少な印象を受けますが、上述した埋蔵量を比べてみるとわかるように埋蔵量でみるとプラチナの方が圧倒的に希少といえます。また、埋蔵量以外にもプラチナの方が金よりも希少な面は複数存在しています。
鉱石に含まれる量がとても少ない
プラチナや金はそれらが含有する鉱石から採集するのが一般的な方法ですが、プラチナは金と比較すると鉱石から採れる量が少ないといえます。金は生産地域によって異なりますが、1トンあたりの金鉱石中には金の成分が約5~10グラム含有しています。一方プラチナはプラチナ鉱石1トンあたり約3グラムしか含有していないので、その点でも希少価値が高いといえます。
生産国が限られている
金は希少な金属という認識があるかと思いますが、じつは採れる地域的には世界の様々な場所で採る事ができます。これは世界中で船などで行き来ができるようになる以前からアクセサリーや金貨などで用いられてきた歴史からもわかると思います。一方でプラチナは採れる地域が非常に限定されており、現在プラチナが採掘出来る鉱山があるのは、ロシア・カナダ・アメリカの3カ国しかありません。生産国が限られているという事は採掘量もその国次第で大きく変わってしまうため、そういった面でも金よりもプラチナの方が希少だといえます。
価格=希少性ではない
このような希少性を考えるとプラチナの方が金よりも高値で取引されていてもおかしくなさそうですが、実際には上述している通り、現在では金の方がプラチナに比べて約2倍の値段で取引されています。これは、物の価格が需要と供給のバランスによって決まるからです。金・プラチナともに需要がある貴金属になりますが、金はその優れた耐腐食性や電気伝導性からアクセサリーだけでなく電子機器のパーツやメッキに活用され、近年では貴金属の現物投資商品としても注目を集めているため、需要が高く、供給を大きく上回る需要があるため、プラチナよりも高額で取引されています。
まとめ
今回は金やプラチナの資源としての側面に重きを置いてご紹介しました。金やプラチナは埋蔵量という上限のある限りある資源です。このような資源を枯渇させることなく今後も利用していくためには、利用方法だけでなく、貴金属の再利用や新たな方法による採掘などについて考えていかなければならず、それが未来にこの優れた貴金属を繋いでいく方法といえるかもしれませんね。