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クリスチャン・ディオールの生い立ち
ディオールは1905年にイギリス・ノルマンディの裕福な家庭に生まれました。5人兄弟の2番目で、小さい頃からおとなしい性格だったそうですが、幼き頃から華やかな物、装飾品、デザインものなどに惹きつけられていましたが、その頃は自分が将来、デザインの仕事に携わるなんて想像もしていなかったそうです。
建築物に興味も元々あり、特に装飾芸術に強い関心があったディオールは建築家になることを志します。しかし、両親は息子が外交官になることを望んでいたため、パリ政治学院に進学することになったといわれています。
たぐいまれなる感性やデッサン力
そんな中でも進学後は、新進気鋭のアーティストである友人に囲まれながら、古美術商と提携し、小さなギャラリーをオープンさせるなど、芸術界と密接に関わりながら過ごしていたといわれています。
彼の装飾芸術の知識をもとにした感性やデッサン力は、当時の偉大なクチュリエ(裁断師)であるロベール・ピゲやリュシアン・ルロンに認められ、アシスタントとして働くことになりました。
著名なデザイナーであり、後にブランドを立ち上げたバルマンやジバンシィも上記のクチュリエから指導を受けており、互いに刺激を受けながら、ディオール本人の才能も開花していったといわれています。
ディオールが発表したニューシルエット「ニュールック」
その後、独立しブランド「クリスチャン・ディオール」を立ち上げることになります。独立後、1947年に彼が提案した、なだらかな肩のラインと細く締まったウエストから広がるロング・スカートを用いた女性らしい優美化を表現したスタイルは、遠く離れたアメリカでも好評を博しました。
ニュールックという表現によって、クリスチャン・ディオールの世界観が広く認知されていきます。
わずか12年駆け抜けた波乱の天才
創設は1946年、そしてクリスチャン・ディオールが死去したのが1957年です。魚の骨をのどに詰まらせた後の、心臓発作で急逝したといわれています。わずか12年の間に功績・印象を残し、この世を去っていったことになるのです。
ディオールの革新的デザイン
DIOR(ディオール)の創業は1946年です。ファッションデザイナーのクリスチャン・ディオールがパリにクチュールメゾンを開き、翌年にはファッションショーを開催しています。
モード界に大きな影響を与えるデザイン
ふたつのライン「コロール(花冠)」と「ユイット(8)」を発表します。「コロール」は肩になだらかな丸みをもたせ、ウエストを細く絞って、ロングスカートを組み合わせたスタイル。新しい時代を象徴するフェミニンなデザインが一躍脚光を浴びました。
さらに、ニューヨークの女性ファッション誌・ハーパーズ・バザーの編集長、カーメル・スノウが「コロール(花冠)」を「ニュールック」と呼んだことから、世界にその名が広まります。
その後も「パーティカルライン」「オーバル」「チューリップ」「Aライン」などなど、モード界に大きな影響を与えるデザインを精力的に発表します。彼によって生み出されたファッションは時代を超えて愛され、今なお輝きを放っています。
フレグランスやコスメティック部門にも展開
『ディオール』はフレグランスやコスメティック部門にも力を注ぎ、1948年には香水部門を立ち上げます。1953年にはリップスティックを発売し、1956年にはかの有名なフレグランス「ディオリッシモ」が誕生します。
創設以来、わずか10年の間にブランドは急成長を遂げてきましたが、ディオールは長年の不摂生が原因で、1957年に53歳という若さでこの世を去ります。しかし、その後も『ディオール』ブランドは、化粧パウダーやネイルエナメル、男性向けフレグランス「オーソバージュ」など、魅力あふれるアイテムを次々に発表します。
新ブランド『ベビー・ディオール』の創設や、リストウォッチ事業への参入など、意欲的に事業を拡大していきます。
社会現象になるほどのヒット商品
『ディオール』は、他にも数多くのヒット商品を生み出してきました。1986年、スキンケア製品「カプチュール」を発売、1995年にはスリミングコスメのボディマッサージジェル「スヴェルト」が大ヒットしています。
日本で発売されるやいなや百貨店前に商品を求める人たちが列を成し、社会現象になるほどの人気ぶりでした。バッグも、エレガントで機能性に優れていると評判です。なかでも故・ダイアナ妃が愛用したレザーバッグ「レディ・ディオール」が有名ですね。
まとめ
生前、クリスチャン・ディオールは自らを「幸せの商人」と称したそうです。クリスチャン・ディオールの死後、イヴ・サンローランやジョン・ガリアーノといった数々のデザイナーによって支えられて今に至っています。
ブランド設立からわずか10年で他界した彼ですが、その志はファッション業界のトップアスリートたちに脈々と受け継がれ、進化を遂げながら、今もなお多くの人たちに幸せを与え続けています。