目次
オールドコーチとは?
オールドコーチとは、「コーチのヴィンテージ製品」という総称ですが、現在販売しているものとはどのような違いがあるのでしょうか。コーチの歴史と併せて見てみましょう。
コーチの歴史
コーチは、1941年に『ゲイル』という社名で創業したのが始まりです。
当時は、マイルズ・カーン、リリアン・カーン夫妻と6名の職人たちがニューヨークのマンハッタンにある倉庫スペースで、紳士向けの皮革製品を下請けを行っていました。
卓越した職人たちの手作業によって生み出された製品は、人々の目に留まり、やがて自社製品を開発をするようになります。
1958年には野球のクラブからヒントを得た「グラブタンレザー」を発表、そして、1960年代には創業から培ってきた技術を活かし、「コーチ」というブランド名を冠した12個のバッグを販売しました。
耐久性の高さと丁寧な手仕事による品質の良さから瞬く間に人気となり、社名もゲイルから『コーチ』へと改めることとなりました。
80年以上経った現在も手作業で製作されており、この変わらぬ姿勢が多くの人々から支持される所以となっています。
コーチとオールドコーチの違い
コーチは当初、富裕層をターゲットにした展開を行っていました。「バケットバッグ」や「ダッフルサック」など、職人たちによる上質な素材を活かして製作された数々の高級アイテムは、セレブ達を魅了しました。
しかし90年代以降、コーチは若年層を取り込むために方針転換を図ります。アウトレットへの出店をはじめ、他のブランドよりも低価格のラグジュアリーを展開しました。
一般層にも受け入れやすくした結果、若年層の支持拡大に成功し、幅広い世代へ愛されるブランドへと変わります。
コーチには以上のような背景があり、オールドコーチは「60年から90年代にかけて作られた高級路線のアイテム」の総称なのです。
オールドコーチの特徴
それでは、オールドコーチと呼ばれるアイテムの特徴について見てみましょう。現代の製品にも負けない上質な魅力が詰まっています。
素材が上質でしっかりしている
オールドコーチと呼ばれるアイテムの多くはグラブタンレザーを使用しており、丈夫で長持ちする特徴があります。そのため、使用方法や頻度によって変わりますが、長く使用できるものが多く、状態が良いアイテムが揃っているのです。
まさにコーチが掲げている、「永く使い続けれられる製品の作成」という精神が宿っているからこそ、ヴィンテージ製品も愛されていることが窺えます。
価格がリーズナブル
種類やデザインによって変わりますが、中古ショップでおよそ1万円から2万円ほどのモデルが多く、本革素材のブランドバッグとしてはリーズナブルな価格帯となっているのが特徴です。
どのような年齢層でも購入できるという強みがあり、コストパフォーマンスが非常に優れています。ブランド物の高級革製品を手にする前に、オールドコーチでどのようなものなのか体験してみてはいかがでしょうか。
デザインがシンプル
オールドコーチはシンプルなデザインが多く、様々なコーディネートに合わせやすいです。女性だけでなく男性もスタイリッシュに使用することができ、持ち手の美しさなどを引き立ててくれるでしょう。
男女問わず人気であることもオールドコーチの魅力であり、幅広い層への人気につながっていると言えます。
オールドコーチのラインナップ
オールドコーチと呼ばれるアイテムのラインナップをご紹介します。それぞれの特徴について解説していますので参考にしてみてください。
ターンロック
バッグの蓋部分などに取り付けている留め具の存在感が大きい、アイコニックなスタイルのバッグです。留め具は年代によってデザインが変わっており、例えば、オードソックスな楕円形のほか、楕円型とブランド名の頭文字である「C」が組み合わさったもの、そして、馬車のモチーフが組み合わさったものなどがあります。
バッグの形は長方形や正方形、丸型などのデザインがあり、機能面や利便性も高いです。クラシカルな印象を引き立たせてくれるでしょう。
ポシェット
シックな色合いが特徴的なモデルです。現行のコーチと比べると落ち着いた雰囲気のデザインが多く、カラーはブラックとブラウンの人気が高いです。
主に丸型や長方形のデザインがあり、モデルによっては開閉口にゴールドのターンロックが施されているという、高級感を演出してくれるポシェットがあります。
ショルダーバック
ショルダーバッグはヴィンテージ感の強いデザインが多くある、男性人気の高いモデルです。
サイズのバリエーションが豊富で、使用用途や荷物の大きさに合わせて選ぶことができます。ブラックを中心にシックなカラーが揃っているため、カジュアルだけでなくフォーマルな服装にも似合います。コーデのワンポイントとして、使用してみましょう。
ブリーフケース
ブリーフケースとは、日本語で『書類用鞄』のことを指します。
オールドコーチのモデルは収納スペースが広く、ショルダーバッグとして使うこともできるため、通勤・通学などに最適です。ターンロックも採用されているため、凛々しさを引き立ててくれるでしょう。
プライベートでも使用できる、万能型のおしゃれなバッグです。
リュック
カジュアルな印象が強いリュックですが、オールドコーチはレザー素材で作られているため、上品さを兼ね備えています。
カラーがブラウンやブラックであれば、コーディネートを引き締めることができ、大人シックな印象を与えることができるでしょう。
ブリーフケースと同じく、サイズのバリエーションが豊富です。
オールドコーチの人気アイテムの見分け方
さまざまなラインナップがあるオールドコーチですが、世間から魅力的に見えるアイテムはどのようなものでしょうか。人気モデルの探し方についてご紹介します。
ターンロックがあるかどうか
ターンロックの金具があるアイテムは、とても人気が高いです。存在感があり、上品さを底上げするワンポイントとして、とても魅力的に見えます。
特にゴールドの需要が高く、オールドコーチを購入するには欠かすことのできない、「象徴」のようなパーツです。
中古ショップなどを見ても、ほとんどの製品にターンロックが付いています。
アメリカ製かどうか
オールドコーチは、製造した年代によって生産国が異っています。その中でもコーチが誕生した、アメリカ製のアイテムは人気が高いです。
生産国は、タグやバッグのポケットの中にある刻印から確認できます。「MADE IN NEW YORK CITY,U.S.A.」や「MADE IN THE UNITED STATES」、「MADE IN U.S.A.」などの刻印があれば、アメリカで製造されたと言えます。
基本、末尾に書かれていますが、文章の途中に記載されていることもあるため、注意深く確認しましょう。
希少なカラーかどうか
ブラックやブラウンなどの落ち着いたカラーが多く流通していますが、中にはイエローやブルーといったビビッドな印象のバッグがあります。
明るいカラーのオールドコーチは製造当時から品数が少なく、中古ショップやフリマサイトで検索してもなかなか見つかりません。他には、バイカラーのモデルもなかなかお目にかかれない製品です。
希少価値が高いので、購入してみてはいかがでしょうか。
TALONジップかどうか
TALON(タロン)ジップとは、1893年に世界で初めてファスナーを発明したブランド『TALON ジッパー(※1991年倒産)』が製作したファスナーです。このファスナーは多くのヴィンテージ製品に採用されており、オールドコーチも例外ではありません。
しかし、TALONジップが使用されたモデルはなかなかお目にかかれないため、希少性が高いと言われています。
メンズ規格かどうか
オールドコーチは、レディース規格の中型や小型サイズのものが多く流通しています。それに対して、メンズ規格のモデルはなかなか見つかりません。特に大型サイズは、通販サイトでも売られていないことがほとんどです。
ネットで探す場合は、「希少」を検索ワードに含めて探してみましょう。オールドコーチは、数が少ない製品には「希少」と表記されていることが多い傾向にあります。
オールドコーチの年代の見分け方
オールドコーチは年代によって決定的な特徴があります。お気に入りのモデルがどの年代に作成されたものなのかを確認してみましょう。
1960~1970年代
アイテムによりますが、タグやバッグの内ポケットにある刻印を見てみましょう。
英語表記で書かれている箇所がありますが、その末尾に「MADE IN NEW YORK CITY .U.S.A.」が表記されていれば、そのモデルは1960年から1970年代に制作されたものになります。
ちなみに、この年代のコーチの製品は、すべてニューヨークにある工場だけで生産されていました。
1980年代
1980年代の場合、末尾にあるのは同じですが、「MADE IN U.S.A.」や「MADE IN THE UNTED STATES」の記載位置が中央に整えられています。
1960年代~70年代の刻印と比べると、若干ですが文字の大きさが小さくなっています。末尾に表記されているのは変わらないため、簡単に年代を判別できるでしょう。
この年代からニューヨーク以外でも生産をはじめ、その影響で変更されたと言われています。
1990年代
1990年代は文章の途中に注目してください。
上記の画像より、文章の1行目の最後から3行目までを見ると「 IT WAS HANDCRAFTED IN THE UNITED STATES OF COMPLETELY〜」と記載され、製造国がアメリカであることが分かります。「末尾にないから偽物だ」と、勘違いしないようにしましょう。
もちろん、アメリカ以外にもイタリア製、中国製、メキシコ製などがあることから、「THE UNITED STATES 」の部分は生産国によって表記が変わります。
オールドコーチの偽物の見分け方
オールドコーチは手軽に購入できるメリットはありますが、人気があるため「偽物製品」も潜んでいます。どこを見たら、偽物を見分けられるのでしょうか。
ファスナー
オールドコーチで使用されているファスナーは、「YKK」製品をはじめ、「TALON」製品のものや刻印がないものがあります。つまり、この3つ以外のものであれば偽物である可能性が高いと言えます。
しかし、YKK製品のファスナーは安価なものであり偽物メーカーでも容易に手に入れることができるため、ファスナーだけで偽物と断定するのは厳しいです。他の部品と併せて確認するようにしましょう。
縫製
オールドコーチの製品の縫い目は、「1インチ12目」という決まりがあります。
最新のものは中国で大量生産しているため縫い目が守られていない本物が実在しますが、オールドコーチであれば話は別です。古い年代の製品ほど正確に縫っているため、偽物を特定する有効な手段となります。
細かくチェックしてみましょう。
スナップ
オールドコーチの9割がターンロックのため出会う機会は低いですが、バッグや財布の中身を「スナップ」というマグネット形式で開閉するモデルがあります。
このスナップには刻印があり、「COACH®」か「ROMAG(COMAG)」であれば本物と判断でき、それ以外は偽物の可能性が高いです。また、マグネットがぴったりくっつかないケースも多く、偽物だと判断できます。
この2点を購入前に確認しておきましょう。
レザープレート
レザープレートは、内ポケットにある製造国と商標番号(シリアルナンバー)が刻印されたプレートのことで、ラージサイズのモデルに多くあります。
プレートの文字は製品によって異なりますが、文章の中段や下段にある「LEATHER」や「QUALITY」の文字のあとに、「ピリオド(.)」がなければ偽物の可能性があります。
この2つの単語が含まれていない場合も、文章の末尾にピリオドがあるか確認しましょう。
また、小さいサイズの製品は内ポケットに直接刻印されていることが多いです。
ハンドル
オンラインショップなどでオールドコーチのバッグを購入した場合、ハンドル部分(持ち手部分)は包装されずに届きます。
ビニールに包まれていた場合は偽物の可能性があるため、一度、プロの査定士にお願いし、判断を仰ぎましょう。
ビニールのロゴマーク
オンラインショップで購入した場合、製品がビニール袋に包まれた状態で送られてきます。そして、本物はそのビニールにコーチのポートレートロゴが必ず印刷されているため、ロゴマークがなければ偽物の可能性があります。
ただし、オークションやフリマサイトでは出品者がビニールまで用意しているとは限りませんので、注意が必要です。
値札
コーチの製品にある値札は決まった大きさで作られているため、偽物か本物かの判断ができます。
オールドコーチの場合は、値札が2つ折りになっているのが特徴で、開いた状態の大きさはおよそ(縦)8cm×(横)4cmです。小物であれば、約2cm×4cmの大きさとなっています。
本物は、値札の外側に「COACH」または「COACH Factory」と茶色の文字で書かれている、もしくは右下に小さく「COACH®」が記載されているパターンがあります。また、内側にはスタイルナンバー・カラー・SKUバーコード番号などが黒字で印字されています。
既定の大きさではないから「偽物である」とは言い切れませんが、別物の値札が付いていた場合は注意しましょう。
タグ
オールドコーチの中でも1980年代以前の製品の多くは、アメリカで生産されていました。そのため、製品の作られた年代を検索し、どこで作られたのかを確認することで偽物を判断できる可能性があります。
年代の調べ方は『オールドコーチの年代の見分け方』を参考に、内ポケットにある刻印から年代を判断してください。ちなみに、黒の文字で「COACH-ITALY」と記載された紙製の長方形タグは、ほぼ偽物です。
オールドコーチはダサい?世間の口コミ・評判
手ごろな価格で手に取りやすいオールドコーチですが、製造されたのが何年も前のため、時代にあっていないのではと不安に思うのではないでしょうか。実際に、オールドコーチを見たうえで感じた世間の評判から考えてみましょう。
重たくてサイズ感がよくない
old coachの方がもっとダサいと思うんだが...デザインは良いけど重いし今の所持品には合わないサイズ感だし(スマホとか入りづらいよね)、ブランドと呼んでいいのかそもそもわからない立ち位置....
— ティッカ (@songdao0321) July 24, 2022
この方はスマホなどの電子機器が入りづらく、何も入れない状態でもバッグに重みがあるため、オールドコーチを時代遅れのように感じています。
生産された当時と現代とでは齟齬があるため致し方がないとは思いますが、アイテムによっては大きいサイズもあるため、収納面が悪いとは言い切れません。さまざまな種類のバッグがあるため、スタイルに合わせて購入するとよいでしょう。
ただし、金具やベルトは重厚感があるものを使用しているものが多く、慣れるまでは気になるかもしれません。
デザインが好き
オールドコーチのデザインが好きで復刻を待ってるが中々ないな。
— RintaroKiyota(ちゃんりん) (@RinSocrat) July 10, 2024
デザイン性が凝ったものはシチュエーションによって選ぶ必要がありますが、オールドコーチはシンプルなデザインのため、使い勝手がよいのが魅力です。グラブタンレザーの上質な素材や縫製の丁寧さが際立ち、主張しすぎないからこそ購入したい方が多いのでしょう。
女性だけでなく男性にも似合うデザインが多いのも人気の秘訣です。
コーディネートに取り入れやすい
オールドコーチ合わせやすいーーーかっこいいーーー丁度いいーーー満足度高いーー!素敵ーーーー!!! pic.twitter.com/vod6Da35pp
— 首藤靴郎 (@shudo_ktr) January 6, 2024
オールドコーチは基本的に単色で落ち着きのあるものが多いため、どんなコーディネートにも取り入れやすいです。フォーマル・カジュアル関係なく使用することができ、上品さを引き立ててくれるでしょう。
年月がどんなに経過しても流行に左右されず、個性をスマートにまとめてくれるのがオールドコーチの強みと言えます。
まとめ
オールドコーチはヴィンテージ製品でありながらも、どんなコーデにも合うシンプルなデザイン性と素材の高級感により人気を集めています。およそ2万円というリーズナブルな価格で展開されているため、ハイブランドに手を出す前に購入してみてはいかがでしょうか。
ただし、需要の高さから偽物も多く出回っています。今回、紹介した箇所に注目し、偽物を購入しないようにしましょう。