アンチソーシャルソーシャルクラブ(ASSC)の始まり
デザイナーのニーク・ラークは、1988年10月5日生まれの韓国系アメリカ人です。ラスベガスで育った彼は、経営学を学ぶためにネバダ州南部の大学へ通いました。街に馴染めなかったこともあり、大学で過ごす時間を除いて24時間、自分の部屋にいました。
ビッグヘア、プリントTシャツ、タイトなジーンズという独特なスタイルをしたニークが注目され始めたのは、インスタグラムよりもずっと前に賑わっていたNikeTalkでのことでした。その後、ラスベガスのStüssyストアで働くようになり、ニークはインターネットからいわゆる「現実世界」へと向かっていきました。そして2014年、ある韓国人少女に失恋したニークは、その苦悩を帽子にすることにしました。
ニークは、自分の心の闇をキャンバスに写し取れることに気づきました。そのキャンバスとは、彼が毎日囲まれているストリートウェアのことです。この新たな表現欲求に突き動かされ、彼はLAに移り住み、最初のカプセルコレクションのデザインに取り掛かり、2015年4月にローンチしました。「Get Weird」、「I Miss You」、「Mind Games」といったスローガンが、ASSCの特徴的なブランディングともちろんアイコンである波打つロゴの基調となりました。
このメランコリックなメッセージは、少しずつロサンゼルス中に広まっていきました。しかし、ニークは決してそれを世界にむけて発信していたわけではなく、彼は、親しい友人たちが彼のデザインを手に取り、一緒に楽しむことができるようなライフプロジェクトを作りたいと考えていました。
その意志とは関係ないところで、有名人の着用によって一躍脚光を浴びることになったASSCは、その理由や方法を理解する前に、ストリートシーンのトップに躍り出ることになったのです。
トラヴィス・スコットはフューチャーのアルバム『DS2』の発売日にASSCのキャップを被り、カニエ・ウエストはジムに行く途中に「マインド・ゲームス」のフーディを着ているところを撮られ、そしてキム・カーダシアンは「アイ・ミスユー」のキャップを被ってニューヨーク・ファッション・ウィークの全ての期間と「キーピング・アップ・ウィズ・ザ・カーダシアンズ」の撮影の時に登場したのです。突然、ASSCの熱狂的ファン、ASSCの偽造品、ASSCの嫌悪者、ASSCの擁護者が現れ、何百万人もの人々がNeekのデザインを欲しがり、共感したのです。
現代のストリートファッションを代表するブランド
ASSCはそれ以来、LAから世界の舞台へと飛び出し、あらゆるビッグネームとのコラボレーションを実現し、ますます勢いを増していきます。ASSCのパーカーには、Honda、Hello Kitty、Playboyのロゴが誇らしげに入っていますが、なぜか決してミスマッチには見えません。
さらに、今世界で最も人気のある韓国人グループ、BTSとのカプセルコレクションも発売され、彼らの漫画のようなアバターが様々な形で登場し、いつものメランコリーに明るさと遊び心をもたらしています。
ですが、あまりの人気に生産や納品が追いつかず、購入後商品が届くまでに半年から1年かかり、#wheresmyhoodiebroという独自のハッシュタグがインスタグラム上に溢れ、ニーク自身がSNSを通じて購入者に謝るという騒動までに発展しました。しかしこの出来事すらASSCのブランドの「神秘性」を高める伝説となりました。
ASSCのデザイン
ASSCは、多くのファンから支持を得ており、毎シーズン完売を続けています。ブランドのアイコニックでアイロニックなメッセージが書かれたストリートテイストのデザインです。
生地には程よい厚手のコットンを使用し、USAブランドならではのクリーンな着古し感を演出します。ベーシックなサイズ感なので大きめに着ても、ジャストサイズアップでもお好みのシルエットで着れますし、ユニセックスでも着ることができます。
ロゴを基調としたデザインなので、テイストを選ばないので使い勝手も抜群です。
「everyone goes away in the end(どうせ最後はみんな居なくなるんだよ)」
「enough(もう十分だ)」
毎シーズン、こんな厭世的な言葉をあしらったパーカーやTシャツを展開するASSCは、おそらく世界で最もシニカルでペシミストなブランドです。
まとめ
ASSCの誕生秘話や人気になった背景について紹介しました。人気のあまり完売状態が続くブランドではありますが、街で見かけた際は手に取ってみてはいかがでしょうか。