反物とは?
反物とは、和装に使われる生地のことです。基本的には、着物一着分を作るサイズの生地のことを指します。最近はあまり見ることもなくなりました時代劇に出てくる呉服屋にあるものと考えると、イメージしやすいかもしれません。また反物と呼ばれる由来は、日本古来の布の数え方で、ある特定の大きさの布を「反」という単位で表現するところからきています。一反の大きさは幅約36cm、長さ約12m程度。着物業界では、現在でもよく使われている言葉になります。
反物は、そのままであれば、ただの布地です。「どうして、仕立てた着物より高く売れるケースがあるの?」と疑問を持つ方もいるでしょう。その理由の1つは、反物の使用用途の幅広さにあります。通常、和服は仕立てた後のサイズの変更はできません。大きい着物であればまだ良いのですが、小さい着物の場合は、買い取りに出したとしても着用できる人が限られてしまうのが難点です。逆に反物は、仕立てる前の状態ですから、購入する人の体型に合わせて新しい着物を作ることができます。また、布地を使って和小物を制作するなど、アイディア次第で活用の幅は、無限大に広がるのが反物の強みと言えるでしょう。
反物は買取できる!?
反物は買取専門店はもちろん、着物買取専門業者やリサイクルショップに買取を依頼することができます。また気になる買取相場ですが、正直なところ一概に説明するのは難しいです。基本的には着物同様、反物の素材や状態、有名作家の手によるものであるかなどを判断材料として査定を行います。ポリエステルなどの化学繊維の反物は、安価に流通しているため、保存状態が良くても買取価格が伸びにくいです。また素材が正絹の反物は、高級品のため比較的高値で取引されます。保存状態の良し悪し、シミやカビ、虫食いなどが酷い場合は買取査定額は低くなります。
また反物は着物として仕立てるため、柄入りも多く、着物にも柄や色使いの流行があるため、デザインによって買取価格も変化します。
反物を少しでも高く売るには??
反物を少しでも高く買取してもらうためのポイントは2つです。
1、反物の状態が良いこと
2、有名産地、有名作家の証紙や落款の有無
状態については、高級な生地であってもダメージ・汚れ等が酷ければ買取価格は低くなります。また通常、反物は筒状のものに巻いてあるため畳んで保管される着物より保存する際のダメージを受けにくいと言われています。ただ長期間、保管したままの反物は虫食いやカビの影響をうけやすく、場合によっては変色することも。査定に出す前に一度、ご自身の目で状態を確認しておくと良いでしょう。
また、すぐに買取に出す予定がない場合は定期的に広げて虫干しを行うなど細かなケアをすることをおススメします。また防虫剤を使用しておかないと虫が発生し、反物が虫食いの被害にあるケースもあります。1ヶ所でも虫食いができると、反物の価値が大きく下がります。できれば防虫剤を使用して保管するようにしましょう。防虫剤は着物専用の製品を選択し、1種類のみ使用するのがポイントです。複数の防虫剤を使用すると、化学反応を起こして反物が変色する恐れがあります。次に証紙や落款の有無ですが、これは間違いなく有名産地や有名作家のものだと証明してくれる証拠です。
この証紙が無い場合、ご自身の手で購入された本物の高級反物であっても証拠がないため、査定額が伸び悩む傾向が強いです。落款は反物に付いていることが多いため安心ですが、証紙は紛失するケースが多いです。もしお持ちの反物に証紙が付いているなら証紙のみ別に保管しておきましょう。
まとめ
反物の買取自体、いまいちイメージがつきにくい商品だと思います。ただ反物は着物の下手前の生地なので、着物よりも汎用性が高いものです。素材や状態、産地や作家によっては買取額が高額になるケースもあります。また買取価格を決めるための要素が多く、実際に現物を見てみるまでは値段を付けられません。確実に高値が付くものとしては、友禅などの有名な染色方法で作られている反物、または有名作家の手によって作られた反物です。友禅の中でも京友禅や加賀友禅などの有名産地のものは高値が付く傾向にあります。有名作家のものに関しては、その作家の反物と証明する証紙や落款があると、高額査定が期待できます。
着物ではないからと買取を諦めず、箪笥で整理されたままの反物があれば、ぜひお気軽にお持ちください。