セリーヌの今までとこれから~歴史と変遷~
◆今まで
CELINE(セリーヌ)は、1945年に女性実業家であるセリーヌ・ヴィピアナが夫のリチャードと共にフランス・パリにて設立したファッションブランドです。CELINE(セリーヌ)というブランド名は、デザインを担当していた妻の「セリーヌ」から名づけられたのだそうです。当初はセリーヌが商品のデザインを手がけ、パリの職人技術で作り上げるという、オーダーメイド高級子供靴専門店でした。
もとはと言うと、夫妻の子どもの為に靴を作ったことがきっけかだったそうで、そこからビジネスをスタートさせるとは驚きです。その子供靴は、素材やデザインが良いだけではなく、成長途中の不安定な子どもの足を考え尽くしたものでした。そうした健康面にも重きを置いた子ども靴へのこだわりが、セリーヌの大きな強みだったようです。その丁寧に製造された靴の評判は上流階級を中心にたちまち広がっていきます。
「子ども靴といえばセリーヌ」というほど人気は定着し、成長に合わせてセリーヌで靴を買い替えるという常連客はとても多かったのだそう。その品質と人気の高さは親である婦人達からも注目を集め、1959年からは婦人靴の分野にも進出していきました。この成功を受け、翌年の1960年代以降、成人女性向けの服・アクセサリー・バッグなど進出していきました。
また、1976年からはプレタポルテコレクションを開始。CELINE(セリーヌ)はフランスのみにとどまらず、国内外で一流メゾンとしての地位を確立させました。1960年代に入ると、パリでは「B.C.B.G」と呼ばれるフレンチカジュアルスタイルが流行していました。B.C.B.Gとは、ボンシック、ボンジャンルを略したもので、パリの上流階級の上質なライフスタイルを指します。
その流行の中でCELINE(セリーヌ)は、馬具であるくつわ型の金具のついた婦人用のモカシン「インカ」と呼ばれる婦人靴を販売し、これが爆発的ヒット商品となりました。この商品を皮切りにバッグやレザーグッズなどが展開され、1965年にはスカーフや香水も取り扱われるようになっていきました。
1967年のプレタポルテコレクションを展開して以降、ベーシックなデザインを中心に、上質な素材や子供靴で受け継がれてきた精密な技術を駆使し、トータルファッションを扱うブランドとしてたちまち広がっていきました。時代の背景的にオートクチュール中心の時代から、プレタポルテがヨーロッパのモード界を引っ張っていく時代に変わり、これを受けてCELINE(セリーヌ)はB.C.B.Gの代名詞的存在になったのです。
フランス最先端のファッションを次々と送り出し、セリーヌは世界各地に80以上の店舗をオープン。セリーヌは高級メゾンとして不動の人気を獲得したものと思われました。
しかしながら順調に成長していると思っていた矢先、上流階級をターゲットとしてきたマーケティングは時代にそぐわなくなり、トレンドだったB.C.B.Gが廃れたことで、低迷期に突入します。時代の流れと共に業績が低迷していき、ブランドはかつての勢いを失い、存続の危機に陥りました。この危機を脱するため、CELINE(セリーヌ)は1987年にLVMHを回収する前の”ペルナール・アルノー”が率いる「フィナンシエール・アガッシュ社」という企業グループに回収されて傘下に入りました。
1987年にLVMHグループの傘下に加わったCELINE(セリーヌ)。当時の女性社長であるナン・ルジェが抜擢され、そこから組織革命によりセリーヌは徐々に力を取り戻し始めていきました。創設者のセリーヌ・ヴィピアナは、晩年のなんと1997年・87歳までデザイナーを務めたといいます。低迷期もありながらセリーヌというブランドを心から愛していたのだとわかりますよね。
1996年にLVMHグループへと移管したCELINE(セリーヌ)は、ヴィピアナの死後すぐに、ニューヨークで活躍していたデザイナーのマイケル・コースをチーフデザイナーに迎え入れました。マイケル・コースは得意としていたスポーティスタイルをセリーヌのデザインにも取り入れ、そのラグジュアリーとの融合は、新たなトレンドとして旋風を巻き起こしました。マイケル・コースがセリーヌ時代に考案したスポーティスタイルが大反響を呼び、「新生CELINE(セリーヌ)」として完全復活するに至ったのです。
マイケル・コースの起用は、CELINE(セリーヌ)にとって大きな節目となり、就任してからの数年、売上を倍増させたと言われています。2005年にマイケル・コースが退任した後しばらくは、パッとしない時期もわずかにありました。そこから2005年にバーバリーのプローサムラインのデザイン経験のあるロベルト・メニケッティがアーティスティックディレクターを務め、2006年の春夏からは、クロアチア出身のイヴァナ・オマジックがアートディレクターに就任しています。
2008年にはクロエで活躍したフィービー・ファイロが10年程クリエイティブ・ディレクラー兼取締役に就任しました。フィービー・ファイロが10年かけて育て上げたセリーヌは、数々のヒットを生んできており、その素晴らしい歴史は、世界中のファンの心に深く刻まれています。彼女のファンはとても多くフィービーの退任決定後からは、インスタグラム上で「#oldceline」タグを使用した投稿が増大。世界中のフィービーファンたちが、彼女の退任を惜しむように過去作品をアップしていました。
日本でも大人気となったバッグ「ラゲージ」や、アン・ハサウェイが映画で使用したり、アンジェリーナジョリーが愛用した「クラシックボックス」、グローブのように足にフィットする「バレリーナ」など、控えめでナチュラルその中にトレンド感あり、知的な女性のためのブランド。どのデザイナーも一流ブランドで活躍してきた人たちで、これにより世界中のファッショニスタから多くの支持を集めました。
◆これから
エディ・スリマンは、1997年に「イヴ・サンローラン・リヴ・ゴーシュ・オム」のディレクターに就任、ブランドイメージを刷新しファッション業界で注目を集め、2001年にクリスチャン・ディオールの新しいメンズライン「ディオール・オム」立ち上げのディレクターとして就任後、一晩でモード業界のトレンドを一新、世界に衝撃を与えました。今でこそメジャーとなった、メンズファッションにスキニーシルエットを定着させた人物なのです。
モード界の巨匠、あのカールラガーフェルドが、エディの手掛けたディオールオムのスーツを着たいがために、13か月で42キロの減量を行ったことはとても有名な話ですね。
2012年に現在のサンローランのディレクターに就任後、再びブランド改革を起こし、老舗ブランドのロゴと名称を大胆に変更したことで話題に。サンローランの地位を不動のものにしました。そして2018年の2月よりセリーヌのディレクターとして、同ブランドでも改革を行います。
エディが行ったブランド改革の一つがブランドロゴの変更です。「CELINE」のEの上に合ったアクサンデキュ(アクセント符号)がなくなり、全体的に字間が狭まりシャープな印象に変わりました。新たなロゴデザインは、1960年代に作られたオリジナルデザインの復活です。また、全世界にある店舗を新たなコンセプトに基づき改装を行い、インスタグラムも過去の作品が削除されました。
セリーヌの人気のバッグ徹底比較してみました!
【ラゲージ】
ラゲージは特徴的な見た目がポイントです。両サイドのマチが広がった逆台形のフォルム、真横に伸びた大きなファスナーなど、一目見て「ラゲージ!」とわかるのもバッグの特徴です。セリーヌらしい上品さが漂うラゲージですが、普段のカジュアルなジーンズスタイルなどにもマッチするデザインも人気の理由です。どのようなスタイルでも、ラゲージをプラスするだけで上品さがアップ。海外セレブの間では、スウェットやデニムに合わせるのが流行しています。セリーヌのラゲージは、幅広い年齢の女性に愛されており、一生モノのバッグとしてラゲージを選ぶ女性も多くいます。特に20代後半から30代の女性にとって、憧れのバッグの1つと言えるでしょう。
また、サイズ展開・素材展開も豊富で選んだものによって印象がずいぶん違います。サイズは、「ナノショッパー」、「マイクロ」、「ミニ」、「ミディアム」、「ファントム」など様々です。カラーは、定番のブラックから淡い色味のベージュや、グレーなどが人気です。2トーンやマルチカラーなどの展開もあります。素材は、「スムースカーフ」「キャンバスレザー」「グレインカーフ」の素材の展開でされています。
【カバ】
ボディに控えめに刻印されたセリーヌの文字は、見えるか見えないかのサイズ感がシンプルで素敵。主張しないデザインにプレーンなバッグは、長く寄り添える魅力があります。そしてバッグとしては驚きの軽さがあり、収納がしやすいのも荷物が多い女性の味方です。
「シンプルだからこそ“引き”のオシャレを楽しめる」そんな余裕を感じられるのはカバならではの魅力です。ラゲージより豊富な7展開で「ホリゾンタルカバ」、「カバファントム」、「カバ ガゼット」、「カバ 縦型」、「バイカバ」、「バーティカルカバ」、「カバツイステッド」などどのデザインも収納力が抜群のため人気があります。
日常使いではカバ縦型の人気が強く、ビジネスバッグとしては「ホリゾンタルカバ」や「カバファントム」の人気が高い傾向があります。用途に応じて選ぶと良いでしょう。素材の展開も豊富で「カーフスキン」、「グレインドカーフスキン」、「ラムスキン」、「リネン」、「キャンバス」、「クロコダイル」などがあります。カラーもベーシックな色味が揃っています。
【ベルト】
シャープなフォルムに伸びた2本のレザーで遊び心を取り入れた、シンプルなデザインがセリーヌらしい上品な印象です。
べルトバッグはメイン収納とフラップを開けたところにサブポケットが付いています。さらにそこへショルダーストラップも付ける事でハンドバッグとショルダーバッグの2WAY仕様も使い勝手がいい魅力的なポイントです。ベルトバッグはシンプルなデザインですので、あらゆるスタイルに合わせやすく、一つ持っていると、どんなシチュエーションでも活躍できるバッグです。サイズ展開は4展開あり、「ピコ」、「ナノ」、「マイクロ」、「ミニ」があります。最も人気のあるサイズ感は「マイクロ」で中古市場でもよく見かけます。
他にも、ブラウンを基調としたクラシカルなラインの「トリオンフキャンバス」。「トリオンフ」もクラシカルなラインとして人気です。「ビッグバッグ」は大容量なので、荷物が多い方にお勧めできます。シンプルで上品なセリーヌの名品バッグ達です。参考にしてみてくださいね。
まとめ
セリーヌはもともと、比較的落ち着いた世代の女性たちに人気のハイブランドでした。それが、最近になって海外セレブがバーキンやエルメスの次に目をつけたアイテムとして、メディアでも注目されたことがきっかけで、若年層にも普及してきました。
様々な壁や困難にぶつかりながらも成長し続けてきたCELINE(セリーヌ)。その背景には多くのデザイナー達が残した功績がありました。セリーヌのバッグはシンプルなデザインの中にトレンドが上手く融合したモデルが多いです。
上質なレザーを使用しているので、エレガントでありながら大人の女性としての余裕を感じさせる魅力的なデザインで、ビジネススタイルにはもちろん、カジュアルスタイルにも非常にマッチします。高級な作りでありながら、どこかラフな印象を併せ持つ絶妙さが、着る服を選ばないのが人気の理由のひとつです。
今では世界中の有名人から支持され、パリコレクションに欠かせない一流ブランドです。これからもさらなる進化を遂げ、たくさんの素敵な製品で世界を魅了していくことが期待できます。