サントス ドゥ カルティエ
サントスはカルティエのイノベーティヴな精神を体現する腕時計です。というのもこの時計は1904年、世界で初めて腕時計として製品化された時計です。サントス誕生のきっかけとなったのは、飛行機乗りで冒険家のアルベルト・サントス=デュモンが友人でもあったルイ・カルティエに「飛行機の操縦桿を握っていても、時間を確認できる時計が欲しい」と相談したことです。
彼の要望を形にしたのがこのサントスです。スクエアフォルムにローマ数字表記ダイヤルというデザインコードはこの時すでに完成されており、現行のモデルにも息づいています。SMサイズなら女性らしいコンパクトなサイズ感ながらも、スクエアフォルムやビス打ちのディティールがマニッシュでマスキュリン×フェミニンのバランス感が絶妙です。メタルとレザー、どちらのブレスレットでもユニークな世界観をみせてくれます。
カルティエ タンク
カルティエのアイコンと言っても過言ではないタンク コレクションは1917年に誕生しました。第一次世界大戦で活躍したルノー製戦車のフォルムに着想を得たレクタングル(長方形)のフォルムは、それまでのアールヌーヴォーに代わって間もなく到来することになる芸術様式、「アールデコ」のトレンドを先取りしたような革新性をもっていました。
1917年に構想が完成していたこの時計は、戦争が終結した1919年に発売されました。これはルイ・カルティエが、戦争が終結するまでタンク ウォッチを販売しないという意思があったためといわれています。彼は戦争の兵器から生まれたデザインの時計に、平和のメッセージを込めたのです。タンクは誕生以来様々なモデルが製作されてきましたが、現在は下記の4つが主要なモデルです。
タンク ルイ カルティエ
タンク ルイ カルティエは1920年頃に誕生したと言われており、タンクコレクションの中でも特に長い歴史のあるモデルです。このコレクションの顔として、素材もゴールドを主にラグジュアリーなものが多く、リューズにもサファイアを用いる(スピネルであることが多い)など、特に至上の高級感を備えています。まさに一生モノのカルティエウォッチといえるモデルであり、コレクターも多くヴィンテージ相場の値上がりもみられます。
タンク マスト
1977 年に発売されたタンクマストは、伝統的なデザインコードと新たなテクノロジーを融合させた、タンクウォッチの新たなフェーズを象徴しています。そのカギとなっているのがソーラービートムーヴメントです。これは文字盤上のローマ数字に目に見えない穴が穿孔され、文字盤の下にある太陽電池に光が届くことで、バッテリーを直接充電できるようになっています。さらに食品産業で処分されたリンゴの廃棄物から作られた植物素材を40% 使用した、動物素材不使用のブレスレットを採用するなど、クリエーションにサステナビリティを導き入れている点もさすがです。
タンク アメリカン
タンクのレクタングルフォルムの縦のラインをより強調したものが1989年に発表されたタンク アメリカンです。タンクコレクションの中でも特に存在感を放つモデルです。ケースはポリッシュとサテンを組み合わせた仕上げで、シンプルなラインの美しさをデザインとしてさりげなく際立たせています。ケースがなだらかな弧を描いている点もタンク アメリカンの特徴です。
タンク フランセーズ
1996年に発表されたタンクフランセーズはブレスレットとケースの一体感を特に強調した、正方形に近いスクエアフォルムが特徴のモデルです。2023年には新たなアップデートが行われ、文字盤のローマ数字がシルバーになった点や、ブレスレットの連結感がよりスムーズなデザインになった点などより高級感が漂うウォッチになっています。
パンテール ドゥ カルティエ
パンテールはカルティエの腕時計の中でも特に女性に人気のあるモデルです。パンテール(panthère)とはフランス語で豹(ひょう)を意味する言葉です。パンテールはカルティエを象徴する動物であり、同ブランドの大きなインスピレーションソースです。また、1933年にカルティエのクリエイティブ ディレクターに就任したジュエリーデザイナー、ジャンヌ・トゥーサンは卓越した才能と独自の美意識から「パンテール」と呼ばれ、現代のカルティエにつながるデザインの数々を遺しました。
そんなカルティエの精神ともいえるパンテールをパンテール ウォッチの歴史は、1914年に発表された豹柄を、ダイヤモンドとブラックオニキスで表現したジュエリーウォッチに始まります。その後はラウンドフォルムやスクエアフォルムなど、様々なデザインが登場します。現行のデザインは1980年代に登場したモデルで、サントスを彷彿させるスクエアフォルムですが、控えめなビスや、五列リンクの繊細なブレスレットなど、マニッシュな印象のサントスに対し、よりフェミニンなエレガンスを体現しています。
パシャ ドゥ カルティエ
パシャ ドゥ カルティエは1985年に登場しますが、そのルーツは、1930年代にマラケシュのパシャ(高級軍人)タミ=エル・グラウイが、着けたままプールに入ることができる時計をカルティエに注文したことに遡ります。1980年のスポーツウォッチブームの中で、防水性能を備えたダイナミックなラウンドウォッチとして誕生したパシャは、ガラスを保護するグリッドや、チェーン付のリューズなどカルティエの中でもユニークな存在感を放っています。
30mm、35mm、41mmのサイズ展開があり、特に41mmのサイズはカルティエウォッチにしてはメンズサイズのなかでも大きなサイズ感ですが、アクティヴでストリートファッションが好きな女性がハズシで着けていてもカッコいいので、粋な使い方です。
まとめ
女性におすすめのカルティエ ウォッチを紹介しました。タンクやサントスなどのカルティエのアイコニックな時計はもちろん、パンテールやパシャはそのストーリー性やユニークなデザインから自分のスタイルを確立している女性が好む傾向があります。150年以上の歴史のあるカルティエの時計はヴィンテージも人気があり、中古市場で値上がりしているモデルも少なくありません。