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カルティエ「パンテール」とは?
「パンテール」は、世界五大ジュエリーの一つとして知られるカルティエのコレクションです。その名前はPanthère(フランス語で豹という意味)に由来しており、気高さとエレガンスを象徴しています。
また、パンテールコレクションは腕時計だけではありません。指輪やネックレス、ブローチなど多彩なアクセサリーを展開し、愛用者の日常を華やかに彩るモチーフにもなっています。
カルティエ「パンテール」の歴史
パンテールは、カルティエの不朽のアイコンともいわれています。では、これまでどのような歴史を歩んできたのでしょうか。その始まりは1914年にまで遡ります。
1983年に初登場
パンテールという腕時計のコレクションが登場したのは1983年ですが、実は1914年には既に、その名前は世界へ登場していました。ダイヤモンドとオニキスによってあしらわれた、まだら模様が特徴のブレスレットウォッチです。
その後、女性デザイナーのジャンヌ・トゥーサンの才能と先見の明によって、パンテールの名は世界に広まることになりました。
ジャンヌ・トゥーサン氏によって有名に
1933年、ジャンヌ・トゥーサンはカルティエのクリエイティブ・ディレクターに就任しました。彼女は「ラ パンテール」と呼ばれ、独創的なアクセサリーを数多くデザインしました。
豹や蛇、ワニを用いた新しいテイストのデザインは「トゥーサン スタイル」として親しまれ、特にパンテールは、誇り高い女性らしさの象徴として、多くのアクセサリーのモチーフとして取り入れられるようになりました。
1983年にコレクション化された
1948年および1949年に、豹をモチーフにしたクリップブローチが制作された後、ウォッチコレクション「パンテール ドゥ カルティエ」が誕生します。このコレクションは、魅惑的で野性的なだけでなく、しなやかな魅力も兼ね備えていました。
その名前の通り、豹のような柔らかな曲線美を引き立て、優雅な動きを連想させます。さまざまな要素が調和したデザインであることから、多くの女性から高い評価を獲得しました。
カルティエ「パンテール」の特徴
カルティエは、パンテールを魅惑的で野性的、そしてしなやかな魅力にあふれた、自由なクリエイションであると表現しています。そこで、女性の魅力を引き出す、パンテールの代表的な特徴を三つご紹介します。
ケースがスクエア型
一般的に、時計のケースには丸型が多く採用されていますが、パンテールは丸みを帯びたスクエア型(四角形)を採用しており、女性らしさを引き立てる魅力があります。
さらに、ブレスレットから直線が続くことで、シルエットが一体化し、ファッションコーディネートと調和することも、大きな特徴となっています。
利用シーンが幅広い
パンテールは、ジュエリーとしても使用できることから、フォーマルなシーンやカジュアルなスタイルに、幅広く対応できることも特徴です。また、大きなサイズでも、厚さは6mmから変わらないことが多いため、スーツスタイルに合わせても袖口が引っかかりません。
シンプルなシルエットは、ダイヤモンドがあしらわれたハイエンドモデルでも過度に主張せず、上品に着用することができます。
古いモデルも人気
公式ホームページによると、2024年9月現在のパンテールコレクションの価格は、安価なモデルでも約60万円、高価なモデルは1,500万円を超える価格設定がされています。このため、お手頃な価格になりやすい中古モデルは、需要が高くなっているでしょう。
パンテールは、過去に一度、コレクション全体が生産終了しましたが、モデルチェンジを経て復活しました。しかし、全体的なデザインはそのままで、特有のシルエットも現行モデルと変わらないため、古いモデルでも人気があることが考えられます。
カルティエ「パンテール」のサイズ比較
パンテールは、サイズによってそれぞれ「ミニ」「SM」「MM」が商品の名称に追加されます。ここでは、それぞれのサイズについて解説します。
ミニパンテール
ミニパンテールは、パンテールコレクションの中で最も小さなモデルです。ケースサイズは25mm×21mmとコンパクトで、ダイヤモンドを使用したモデルでも使いやすさを感じさせます。
旧型モデルでは時間調整の方法が異なり、ケースの側面にリューズがなく、裏蓋にあるボタンを、楊枝や針金などの細い棒で押す必要がありました。しかし、2017年以降にリリースされた新型モデルからは、ミニパンテールもリューズで時間調整ができるようになっています。
パンテールSM
パンテールSMは、ミニパンテールよりも一回り大きい、スモールサイズのモデルです。ケースサイズは22mm×30mmで、バランスの良いサイズ感が特徴です。
WSPN0006のような、シンプルなデザインのモデルは、腕時計としてだけでなく、ブレスレットとしても楽しむことができるため、シーンを選ばない一本として人気があります。
パンテールMM
パンテールMMは、ミディアムサイズのパンテールモデルです。ケースサイズは27mm×37mmで、視認性に優れた、実用的なデザインとなっています。
ミニパンテールやパンテールSMに比べて、やや大きなサイズですが、どのモデルの厚さも6mmと変わらないため、ビジネスシーンでもスマートに身に着けることができる、おすすめのモデルとなります。
パンテールとサントスの比較
パンテールとサントスは似ていると言われることがあります。それでは、これら二つのコレクションを比較して、共通している点と異なる点を確認してみましょう。
共通点:文字盤デザイン
パンテールとサントスに共通する特徴として、丸みを帯びた正方形の文字盤や、斜体のローマ数字インデックスなどが挙げられるでしょう。モデルによっては、時計の針や文字盤に同じ色を使用していることもあります。
また、Ⅻの下に「CARTIER」が印刷されている点も共通しています。ちなみに、これらの特徴はタンクシリーズにも見られることがあります。
違い:ケース
パンテールとサントスはしばしば似ているとされていますが、ディテールを細かく見ると異なる点が多く見受けられます。たとえば、パンテールのケースは豹をモチーフにしており、丸みを帯びた造形が特徴です。一方、サントスはエッジの効いたデザインが際立っています。
また、両者のベゼルには八つのビスがあしらわれていますが、モデルによってビスの大きさは異なります。この違いは、ビスに込められた意味が異なるためだといわれています。
違い:ベゼルのビス
パンテールのビスは、LOVEコレクションに見られる「恋人たちをつなぐ愛や絆」を表現したデザインを踏襲しているといわれています。一方、サントスのビスは飛行機のボディパーツをつなぐネジをデザインに落とし込んでいるという説が一般的です。
このコンセプトの違いから、パンテールのビスはサントスよりも小さめであることが多いです。また、現在廃番となっているサントスの中には、ビスがないモデルも存在します。
ミニパンテールとサントスドゥモワゼルの比較
続いて、ミニパンテールとサントスドゥモワゼルを比較してみましょう。ちなみに、サントスドゥモワゼルは、公式ホームページに掲載されていないため、生産終了になってしまったと考えられます。
違い:側面
ミニパンテールの側面は、豹のボディラインのような、丸みを帯びた、しなやかな曲線が特徴です。一方、サントスドゥモワゼルのサイドラインは、エッジが効いたシルエットであるため、メリハリのあるデザインになっています。
このようなデザインの違いは、後述するブレスレットにも同様のことが言えます。
違い:ブレスレット
ミニパンテールのブレスレットは、丸みのある表面が特徴で、コマの側面も緩やかなカーブでデザインされています。対して、サントスはどちらも直線的な形状を持っています。
豹をモチーフとするパンテールは、ジュエリーとしての側面もありますが、サントスは飛行機を操縦する時でも見られるように、実用性を重視しています。これらのコンセプトの違いが、似ているとされる一方で、さまざまな要所に違いを生み出しています。
カルティエ「パンテール」の復刻モデルと旧モデルの違い
パンテールは過去に一度、生産を終了してしまいます。しかし、旧モデルからデザインをほとんど変更しないまま、2017年に復活しました。その際に行われた変更の中で、代表的なものを四つご紹介します。
仕上げ
旧型モデルには、仕上げ方法が異なるものもありました。たとえば、ステンレスとゴールドを使用したモデル(例:Ref.W25029B6)にはヘアライン仕上げ(単一方向に細かい線状の模様を施す加工方法)が施されていました。
しかし新型モデルは、全てポリッシュ仕上げ(表面を鏡のように滑らかにする加工方法)に変更されています。これにより、新型モデルはよりジュエリー品としての印象を強くなりました。
リューズ
旧型モデルのミニパンテールは、右側面にリューズがなく、裏蓋にあるボタンを楊枝などの細い棒で押すことで時間を調整していました。しかし、現在のモデルでは他の腕時計と同様にリューズが追加され、時間調整もこのリューズで行えるようになりました。
バックルの仕様
旧型モデルから新型モデルに切り替わる際、ブレスレットにあるバックルの仕様も変更が施されました。旧型モデルでは、バックルの爪が左側に配置されているため、バックルを閉じる際には、左から右へ、順番に行う必要がありました。
現行モデルでは爪が撤廃され、左右のどちらからでも、スムーズに閉じられるようになっています。
多重巻きモデルの有無
パンテールは、かねてからジュエリーの用途でも着用できる腕時計として知られていましたが、復刻にあたり、ジュエリーの側面も、より重視されるようになりました。このようなモデルは、ブレスレットが長めに設計されており、二重や三重に巻くことができます。
非常にエレガントで、女性らしさを際立たせることができますが、公式ホームページに掲載されているモデルの価格は、どれも約600万円と高額です。また、中古市場でも、あまり出回らないとされています。
カルティエ「パンテール」は50代の女性におすすめ?
パンテールは、小ぶりながらも丸みを帯びたデザインで、ジュエリーとしても楽しめるコレクションです。その繊細でなめらかなラインや、華やかなスクエアデザインは非常に上品な印象を与えます。
また、モチーフとなった豹は、高貴で手懐けるのが難しい動物であるため、高級感とエレガントな要素が強調されています。年齢を重ねても似合う、洗練されたパンテールは、50代の女性にもぴったりな、一生モノの時計としておすすめできる腕時計です。
カルティエ「パンテール」を愛用している芸能人
カルティエは、世界五大ジュエリーに数えられるほど高い評価を得ており、その華やかさから多くの芸能人に愛用されています。パンテールの復刻を記念したパーティでは、著名な芸能人が多数参加しました。
たとえば、元AKB48で現在ファッションモデルの小嶋陽菜さんや、モデルの山田優さんは、パンテールを身に着けた姿をインスタグラムに投稿しています。また、ファッションモデルとタレントを兼業している東原亜希さんは、YouTubeでパンテールを「一生ものの宝物」として紹介しています。
さらに、海外ではモデルのミランダ・カーさんが愛用しており、コートニー・イートンさんやアナベル・ウォーリスさんは、カルティエのショートムービーやインタビューに起用されています。
カルティエ「パンテール」の人気モデル
最後に、パンテールコレクションの人気モデルをご紹介します。なお、各モデルの定価は2024年9月現在の税込価格です。今後、価格が変更される可能性があります。
パンテール SM WSPN0006
23mm×30mmで、素材にステンレススチールを採用しています。日常生活防水に加え、全体がシルバーカラーで統一されているため、さまざまなシーンに適した、オーソドックスなデザインになっています。定価は687,500円です。
また、公式ホームページでは裏蓋に文字を彫るサービスも提供しており、半角英数字と一部の記号に対応しています。六文字までの制限はありますが、書体はアヴァン・ギャルド(ゴシック体)と筆記体の2種類から選択できます。
パンテール SM W2PN0006
23mm×30mmのサイズで、素材には純金を75%使用したイエローゴールドと、ステンレススチールを採用しています。日常生活防水機能やサイズは、前述の「パンテール SM WSPN0006」と変わりませんが、ゴールドの輝きが加わることで、よりゴージャスな印象を与えています。
定価は1,320,000円で、「パンテール SM WSPN0006」と同様に文字彫りのサービスも提供されています。
パンテール SM W4PN0007
サイズやケースの素材、日常生活防水に対応している点などは「パンテール SM WSPN0006」と共通しています。しかし、こちらのモデルはベゼルに36個(0.24ct)のダイヤモンドがあしらわれています。
ゴールドの輝きが特徴だった「パンテール SM W2PN0006」とは、また違った高級感があるモデルです。定価は1,333,200円で、こちらのモデルでも、公式ホームページにて文字彫りのサービスが提供されています。
パンテール ドゥ カルティエ ミニ WSPN0019
サイズは25mm×19mmと、これまでご紹介したモデルよりもコンパクトで、素材にはステンレススチールを使用しています。小ぶりなため、時計としての実用性よりも、ジュエリーとしての側面が強いモデルと言えるでしょう。
また、日常生活防水に対応しており、公式ホームページでは文字彫りのサービスにも対応しています。定価は577,500円です。
ミニパンテール WF3260F1
現在は廃番となってしまった旧型モデルのミニパンテールです。サイズは17mm×17mmで、「パンテール ドゥ カルティエ ミニ WSPN0019」よりも小さいモデルとなります。素材にはピンクゴールドを使用し、ケースの表面全体に、ダイヤモンドが敷き詰められています。
また、旧型であるため、側面にリューズがなく、時間調整の際には裏蓋にあるボタンを、細い棒などで押す必要がある点も特徴です。このモデルは素材や廃番という事情から、中古市場でも100万円以上の価格がつけられることが多いそうです。
まとめ
パンテールは、アクセサリーとして楽しむことができるため、時間をあわせずに着用する人もいます。そんな、魅力にあふれたカルティエの象徴、日常生活に彩りを添える特別な一本を、探してみてはいかがでしょうか。