実はダウンジャケットは釣りのために開発された
今では冬になると当たり前のように目にするダウンジャケットは、1930年代アメリカで誕生しました。これはアメリカのアウトドアブランド、エディー・バウアーが開発したものでした。このブランドの創業者のエディー・バウアーは真冬に釣りをしていて凍死しかけたという経験から、真冬でも釣りができるように防寒着の開発を始めました。こうした経緯からフィッシングウエアとして誕生したダウンジャケットでしたが、高い保温性に加えて軽量で機能性に優れていることから、登山や探検に際しても着用されるようになりました。
極寒の地において高い性能を実証してきたカナダグース
「Made in Canada」を標榜し、高品質のダウンジャケットを製作することで知られるカナダグースは、サム・ティックによって1957年にカナダのトロントで創業したブランドです。創業当初はMetro Sportswearという企業名で、高い機能性を備えたアウトドアウェアに特化した製品展開をしていました。冬の寒さが厳しいカナダにおいて、特に防寒性能の高いアウターが人気でした。
その後、創業者サム・ティックの義理の息子にあたるデイヴィッド・ライスによって、後にカナダグースとなるレーベル「スノーグース」が設立されます。デイヴィッド・ライスは大量のダウンを充てんすることができる装置を開発したため、より高機能なダウンを製作することが可能となりました。そして南極観測基地であるマクマード基地の研究員のために「エクスペディション パーカ」が開発されます。これは-30℃という極寒の環境でも保温性能を発揮する機能を備えたダウンジャケットで、カナダグースを代表するアイテムとなり、「ビッグレッド」の愛称で親しまれるようになります。
1982年にエベレスト登頂を果たしたカナダの登山隊は、カナダグースのカスタムジャケットを着用したことで、製品のクオリティの高さを改めて証明することとなりました。これは通称“Big Mountain jacket”とよばれ、現在はthe Skreslet Parkaの名前で販売されています。
2000年代になっても、極寒地で闘う様々なプロフェッショナルにカナダグースは愛用され、犬ぞりレースの選手であるランス・マッケイや、極寒地でロケを行う映画撮影クルーなどにも着用されており、デザイン性だけでなく確かな機能性が支持されています。
カナダグースが高くても支持される理由
機能性
前項でも解説したように、カナダグースは南極やエベレストなど、あらゆる極寒地で活躍するプロフェッショナル達を支えてきました。カナダグースのプロダクトは原料もカナダ産で、縫製もカナダで行われており、ダウン詰めなどの作業はダウンが偏らないように手作業でおこなわれます。それはMade in Canadaというカナダグースの誇り高いモノづくり精神を象徴しています。
また、カナダグースのダウンジャケットには「ARCTIC TECH(アークティック テック)」と呼ばれるハイテク素材で、テフロン加工を施したコットンポリの生地が使用されており、これは高い撥水性と耐久性を備えています。
高品質ダウン
カナダグースのダウンジャケットには、625~800フィルパワーという高いフィルパワーを備えたダウンを使用しています。「フィルパワー」とは羽毛30g当たりのふくらみ具合を、立方インチ(2.54cm立方)で示したものです。つまり、フィルパワーの数値が高いほど、少量で高い膨張率ということなので、軽くて暖かいダウンということになります。一般的に600フィルパワー以上のダウンが良質と言われます。なお、タウンユースの場合は625フィルパワーでも十分な温かさで逆に800フィルパワーのものは建物内では暑すぎるということもあります。800フィルパワーのダウンはウィンタースポーツなど、冬場のアウトドアを楽しむ人向けと言えるかもしれません。
サスティナビリティを考えた商品開発
カナダグースは創業当初より、環境や動物への配慮を行っている企業です。原料のダウンは主に食肉用などの家禽のものを使用し、近年発表されたThe Standard Expedition Parkaはリサイクル素材によるARCTIC TECHを使用したり、CO2の排出や水の使用を大きく抑えた環境への負担を大きく減らした製品です。ファッション業界においてもサスティナビリティは大きな課題であり、こうしたカナダグースの意欲的な取り組みは高く評価されています。
まとめ
カナダグースは1950年代に創業したブランドです。メイドインカナダにこだわり高い機能性とデザイン性を兼ね備えたダウンジャケットが世界的に人気を博しています。その防寒性能は南極観測従事者や、エベレスト登頂を成し遂げた登山家などに着用されていることでも証明されています。高品質なだけでなく、サスティナビリティへの取り組みも積極的で、動物愛護や環境保護を念頭に置いた生産を行っています。