ブレゲの歴史
ブレゲは数ある高級時計ブランドの中でも、最も古い歴史を持つ時計メーカーのひとつで、創業当時から現代まで、ファッションの中心地であり続けるフランスのパリで誕生しました。1775年、アブラアム=ルイ・ブレゲが、パリ市内で最も古い歴史を持ち、「パリ発祥の地」と呼ばれるシテ島のケ・ド・ロルロージュに時計工房を構えたことで「ブレゲ」の歴史が始まります。この工房で、ブレゲはレバーやルビー・シリンダー脱進機を開発し、大修道院長のジョゼフ-フランソワ・マリーによってフランス王室に紹介されます。ブレゲの天才時計技師としての実力はすぐに発揮され、創業から5年後の1780年にはプラチナのローターを使用した信頼性の高い自動巻き上げ機構の「ペルペチュエル」の実用化に成功し、これをオルレアン公が購入したそうです。その時代でも自動巻き上げ機構は開発されていましたが、実用性は高くありませんでした。ところが、ブレゲは改良を加えたことで実用化に成功し、それがもとで王侯貴族にまで名前を知られることになります。
1782年にはフランス王妃マリー・アントワネットを顧客とし、高度で複雑な時計「No.160マリーアントワネット」の注文を受けることになります。天才としての名声を若くして確立したブレゲですが、その後1783年には音で時刻を知らせる機能を持った「リピーターウォッチ用ゴング」、1790年には衝撃を和らげる装置である「パラシュート機構」を。
1795年に「パーペチュアルカレンダー」、1801年に「トゥールビヨン」といった現代でも使われている機構を次々開発し、1810年にナポリ王妃から受けた注文により、世界初の女性用腕時計「No.2639」を作ったという記録も残されています。今日の機械式時計に用いられる機構の約70%はブレゲの発明といわれるほどに、時計史におけるブレゲの功績は偉大です。
数々の発明を総合して「ブレゲは時計の進化を2世紀早めた」ともいわれております。時計において数々の発明をしたブレゲですが、残念ながら1823年に亡くなります。その後は、弟子たちが彼の跡を継ぎますが、ブレゲという偉大な創業者を失った傷は大きく、徐々に時計業界での存在感を失っていきました。
ブレゲが復活を遂げたのは、1970年になってフランスの宝石細工商であるショーメが商標を買い取ったことがきっかけです。1976年には時計の一大産地として世界的に有名なスイスのジュウ渓谷に工房を移転し、再起を期しました。
その後1999年にスウォッチ・グループがブレゲを買収したことにより経営環境が整い、業績も落ち着いて現在にいたります。
ブレゲの魅力3ポイント
①デザイン
ブレゲならではの美しいデザインは、ブレゲ最大の魅力ではないでしょうか。「ブレゲ針」や「ブレゲ数字」は時計芸術を実践したマイスターともいわれます。ブレゲが1790年頃に考案した字体で、無駄のないフォルムは視認性が高く、機能性とともにエレガンスの融合が見られます。また、針は「中空のりんご」あるいは月を思わせる独特な円形を持ちます。1783年頃に誕生したこの上品な針はたちまち人気を博し、ブレゲ針という呼称が自然発生することとなり、現在も広く使われております。
他にもブレゲなりも文字盤も有名です。金属のプレートにパターン装飾を施す技法である「ギヨシェ」が用いられ、単に装飾という意味だけではなく、光の反射をコントロールすることでインデックスの視認性を高めるという目的も持っていました。ここがブレゲのギヨシェ彫りが革新的と評価されております。
②私だけの時計
ブレゲのすべての時計には、個別の識別番号が刻字されております。この数字はブレゲによって厳格に管理されており、ときには長い歴史に渡って時計を追跡する手がかりにもなっています。識別番号の付与が始まったのは創業して間もなくであり、ブレゲの伝統でもあります。それぞれ個別の番号が付けられており、「私だけの時計」という所有の喜びも高めてくれます。
そしてもう一つ注目したいところは「シークレットサイン」です。1795年から続く「シークレットサイン」とは模造品が作られることを防ぐために採用されてそうです。鋭いノミで文字盤に刻まれたサインは、一見したところでは見づらく、斜めの光にかざしてようやく判読できるようなものでした。現在も、この容易に視認できないサインはすべて手作業で彫り込まれており、ブレゲの本物の証ともなっています。また、この証はブランド価値をしっかり担保する姿勢も愛好家から高い評価を受けています。
③歴史と共に歩いてきたブレゲ
上記もブレゲの歴史について述べておりますが、その歴史の流れにはブレゲの代表機構が次々誕生します。「トゥールビヨン」「ミニッツリピーター」「パーペチュアルカレンダー」は時計の三大複雑機構として知られますが、これらはすべてブレゲによる歴史と共に歩いてきた時計の証でもあります。
ブレゲのコレクション
①クラシック
ブレゲのクラシックコレクションは、アブラアン-ルイ・ブレゲが求めた「理想的な時計」をモチーフにしたコレクションです。シンプルな薄型から複雑機構を搭載したグランドコンプリケーションまでバリエーション豊かなコレクションです。そのすべてのモデルには、ブレゲ針、ギヨシェ文字盤、コインエッジなどブレゲの要素が如実に再現されています。視認性の高さ、精度への追求など実用へのアプローチも忘れていない、時計の理想の形が具現したモデルといえます。
②ヘリテージ
1950年代から存在するヘリテージ。その名前の意味は『先祖伝来』や『代々受け継がれるもの』と言われます。樽型の古典的なケースフォルムが特徴です。中央部がふっくらと膨らんだ、ユニークなシルエットのヘリテージは、愛され続けているクラシックなデザインをベースに、新しい時代の風を取り入れました。ワンランク上の大人を演出してくれる特別なモデルではないかと思います。ケースやコインエッジの曲線は、しなやかさや上品さを象徴します。他のブレゲのコレクションに比べ重厚感あるモデルとして一見の価値があります。
③マリーン
ブレゲがデザインしたフランス海軍の「マリーン・クロノグラフ」をモチーフにしたコレクションです。1815年にルイ18世より「フランス海軍省御用達時計師」として称されたアブラアン・ルイ・ブレゲの業績にインスピレーションを得て登場しましたと言われます。そのため、立体的なローマン・インデックスやラバーストラップといった実用性を加味した、スポーツ性能の高いモデルが多いのが特徴です。2018年にデザインが一新され、ブレゲの様々な特徴を活かしさらに現在のニーズをデザイン取り入れながら多くの人々の人気を博しています。
④クイーンオブネイプルズ
女性向けコレクションのなかでは最も有名な腕時計のひとつです。ナポリ王妃である、カロリーヌ・ミュラに捧げられた懐中時計からインスピレーションを得て誕生しました。名前は重要な顧客の1人だったナポリ王妃が由来となっています。ネイプルズはフランス語でイタリアの「ナポリ」を指す言葉であり、クイーンと合わせると「ナポリの女王」という意味です。極めて美しいマザー・オブ・パールを文字盤に配し、奥行きのある輝きが印象的。
さらに、ケースだけでなく文字盤にまでダイヤモンドを敷き詰めたモデルも登場し、徹底的にラグジュアリーに仕上がっています。エレガントな印象の女性向けコレクションですね。
⑤トラディション
アブラアン-ルイ・ブレゲが開発した複雑機構の数々を忠実に再現するハイエンドコレクションです。複雑な時計機構を露わにした外観は、伝統に基づく優雅さと前衛的なスタイルと融合が成しえた傑作。トランスパレントの風防からはムーブメントを鑑賞することができ、ブレゲの類まれな才能と功績に想いを馳せることができます。ムーブメントの小さな部品ひとつひとつすべて手作業で仕上げられ、繊細なギヨシェの美しさが特徴です。
ブレゲの正規店と代理店の違いとは
まず、先に正規店と代理店(=並行輸入店)の違いを簡単に説明いたします。正規店とはメーカーと直接代理店契約または販売店契約を結んだ店舗のことです。日本国内にある正規輸入元(製造メーカーの日本法人、または正規輸入代理店)が輸入し、正規店が取り扱う商品を「正規輸入品」と呼ばれます。一方、代理店又は並行輸入店は、メーカーの直営店や正規店、量販店や免税店などで販売されている商品を海外で買い付け、輸入して販売する店舗のことを指します。そして、製造のメーカーもしくは、海外代理店から、第三国経由にて輸入された商品を『並行輸入品』といいます。それぞれの仕入れルートや販売価格は異なりますが、扱う商品は全てメーカーが製造した本物の時計であることは間違いありません。
また、付属しているギャランティカードやタグの一部が削られていることがあります。これらは海外の輸入業者を特定できるコード部分であり、製造のメーカーに配慮してのことで、決してコピー品ということではありません。正規店で販売される時計は、国内同一の価格が設定される反面、並行輸入店では定価に縛られず自由に価格を決められるため、大幅に値引きした価格で販売されることも多くあります。
ブレゲの購入、正規店と代理店のメリットは?
正規店と代理店の違いは前述のとおり、主にルートが違う、また販売される価格に差があることです。どちらが正解とは言えませんが、価格だけでなく、品質やサービスにも差を付けないことを基本としている正規店であれば、安心して購入できるかもしれないですね。購入日から何年かの保証とオーバーホールなどのメンテナンスについて、メーカーが提供するものと同等のものを受けられることが一番のメリットではないかと思います。
また、お気に入りのモデルがなかなか手に入らない等とお悩みの方も、正規店であればメーカーと直接取引しているため、代理店と比べ新作の入荷が早いこともメリットがあります。新作に関する情報も正規店なら比較的早く入手できるところもいいところですね。
もちろん、代理店なりのメリットもあります。海外代理店から、第三国経由にて輸入された商品を輸入してくるので、基本的には、国内定価以下の安価な価格設定になります。メーカーによっては保証の期間が正規店よりも多少短い場合もありますが、高価な時計なので、代理店からであれば、通常より少し安価に手に入る可能性があります。『品物は全く同じならば、価格が安い方が良い』という方には代理店がおすすめです。
まとめ
シンプルなエレガンスや、高度なデザイン性もブレゲの本質を表現する一面ですね。時計を超えて芸術と言っても過言ではないかと思います。公式サイトからカタログが無料で請求できるので、購入を考えている方でしたら一度目を通しておくこともいいかも知れませんね。