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高級時計ブランド、タグホイヤーとは

高級時計ブランド、タグホイヤーとは

タグホイヤーは、ラグジュアリーウォッチ業界を牽引するブランドのひとつです。同社の歴史に見られるのは、時間計測を伴うカーレースシーンとの深い絆にはじまり、直近では大地を揺るがすような超高速クロノグラフの開発、それに200万円台のトゥールビヨン搭載モデルに加え、ラグジュアリースマートウォッチなどなど、数々の力強くも革新的なストーリーだ。ここでは、タグホイヤーについて押さえておきたいポイントをご紹介していきます。

スポーツ界につながるルーツ

ホイヤー・ウォッチ・カンパニーは1860年に、エドワード・ホイヤーによって興されました。初の工房はスイス・ジュラ地方のサンティミエに創設され、高品質の時計作りと時間計測精度の高さから、創業まもなくその名前は評判を得ることとなりました。そして80年代に考案された、いくつもの技術革新により、同社は時間計測というジャンルにおいて、スポーツ界のスペシャリストとなっていきました。

1920年代、ホイヤーの時計はアントワープやパリ、それにアムステルダムのオリンピック大会で使用され、33年には最初のレーシングカー用のダッシュボードストップウォッチである「オータヴィア」を発表。また、それ以外にも独自の時計を多数リリースし、ことあるごとに注目を集めました。現在もタグホイヤーにはスポーツ界、とりわけカーレースシーンの高精度時間計測というジャンルにおいて、密接な関りが引き継がれています。85年、ホイヤーはTAG グループ(ホールディングス)の傘下となります。TAGはTechniques d'Avant Gardeの略称。TAGグループはタグとホイヤーブランドを融合させ、今日知られるタグホイヤーという会社を新たに設立。そのタグホイヤー事業部をLVMHがグループに収めたのは99年のことであるといわれています。

よりスピーディに

技術的快挙として見逃せないのが、1916年にシャルル=オーギュスト・ホイヤーが考案した「マイクログラフ」です。これにより世界初の100分の1秒を計測できる機械式ストップウォッチが誕生したのである。この高精度な計測を実現するために、ムーブメントの振動数は36万振動/時に高められています。オリジナルのマイクログラフはスポーツ界における時間計測に革命をもたらし、20年のオリンピック大会のオフィシャルストップウォッチに選ばれています。

宇宙を経験した初めてのスイス時計

宇宙に行った機械式時計と聞くと、多くの人がタグホイヤー以外のブランドを連想するのではないか。しかし、ホイヤーこそが宇宙空間に到達した初めてのスイス時計なのです。

ジョン・F・ケネディ米大統領が、人類の月面着陸と地球への生還を目標に据えた、宇宙計画の実施を10年後と表明したのが1961年5月。最初のステップとなったのは、人類を地球の軌道に乗せることです。その最初の人類になったのが宇宙飛行士のジョン・グレンでした。このマーキュリー“フレンドシップ7号”計画は、62年2月20日に実行されました。グレンは伸縮性のあるストラップにより、宇宙服の上から手首に装着したホイヤーの「2915A」ストップウォッチと共に、地球の周回軌道を3周することに成功。このストップウォッチは宇宙計画のバックアップタイマーとして活躍し、宇宙空間で使用されました。現在この時計は、ワシントンDCにあるNational Air & Space Museumに展示されています。

クロノグラフ・レース

自動巻き腕時計が市場に出回ると、手巻き式は販売店の棚に眠ることとなり、自動巻きモデルを中心に飛ぶように売れていきました。自動巻きクロノグラフに手応えを感じた3つの会社及び共同開発グループが、当時他社がどのようなモデルを構想しているかを知ることなく、独自に開発に着手。つまり、どこが最初に自動巻きクロノグラフを市場投入するかの競争が、人知れず始まっていたのです。そのうちの1社がセイコーであり、2社目がゼニス。3つめはホイヤー・ブライトリング・ビューレンの共同開発グループ。その共同開発グループは新規ムーブメントを1969年3月のバーゼルで発表することを予定。それまで共同開発グループには、プロトタイプの製造と量産に向けたシミュレーションを行う時間があったのです。

すると1969年1月にゼニスがエル・プリメロを発表。そしてホイヤーと、そのパートナーは予定どおりに3月のバーゼルにおいて発表を行いました。計画どおり、発表を裏付ける開発段階にて作られた数百の試作機を擁し、商業的量産体制のデモンストレーションを実施したのです。一方ゼニスはというと、バーゼルにおいてはいくつかの試作機を紹介するに留まっていた(しかしながらフェアに言うと、エル・プリメロのキャリバーはより洗練された内容だった)。ホイヤーはムーブメントをキャリバー11と名付け発売し、その初の自動巻きクロノグラフ・キャリバーの開発者という事実を時計史に打ち立てたのです。

超高速

1/10秒など微細な時間を計測するのには、以前は3万6000振動/時の機械があれば良いと考えられていました。そこに航空物理学のエンジニアであったギイ・セモンがタグホイヤーに入社し、状況は一変。V4開発で試練を乗り越えた後、セモンは頭角を現しタグホイヤー内において立て続けに「ホイヤー カレラ マイクログラフ 1/100th クロノグラフ」(毎時36万振動、100分の1秒計測可能)、「マイクロタイマー フライング1000」(毎時360万振動/時、1000分の1秒計測可能)、「マイクロガーダー 5/10,000th」(毎時720万振動/時、1万分の5秒計測可能)を発表。

セモンはこれらの超高速レートを、自身がデュアル・アーキテクチャーと呼ぶムーブメント設計によって実現。それぞれのムーブメントには2つの香箱が搭載され、振動数が異なるエスケープメントにより制御される輪列へパワーを供給しています。低い振動数の方は時間計測を司り、早い振動数の方はクロノグラフの制御用となります。

「マイクロガーダー」はさらにその先を行き、伝統的なエスケープメントの代わりに3枚の小さな振動するブレードによって時間を計測するのだが、数年前であれば滑稽に聞こえた方法だっただろう。それがどれぐらいの速さかというと、「マイクロガーダー」のクロノグラフ秒針は、文字盤上を1秒間に20周するため、その動きを目視することはできません。セモンは機械式クロノグラフ開発における新時代到来を告げる人物となりました。

まとめ

タグホイヤーの魅力についてご理解いただけましたでしょうか。腕時計は、1日の生活の中でもっとも見る回数が多いアイテム。自分のモチベーションを上げてくれる、相棒のような存在にしたいものです。私どもとしては、時計のスペックや機械どうこうより、まずはご自身にとって愛着を持てるデザインかどうか、じっくりと見て選んでいただければと考えています。

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