1881年〜時計メーカー・セイコーの始まり
セイコーの歴史は1881年、服部金太郎が創業した服部時計店から始まります。当初は時計の修理や輸入販売を目的とした小さな商店でしたが、創業から11年後には時計工場の精工舎を設立し、自社ブランドの時計製造を開始します。
精工舎での時計づくりは当時では珍しく、機械の組み立てから文字盤などの細かな部品まで、すべてが自社内だけで製造される方式が採られていました。優れた開発スピードと高品質が評判となり、精工舎はたちまち日本一の時計量産工場となります。
この精工舎という名前には、服部金太郎の精巧な時計をつくるという強い信念が込められています。後に「セイコー」という企業名に形変え、100年以上が経ったいまでも、その精神は受け継がれています。
オートマチックの発明
セイコーは、1956年に「オートマチック」というモデルで、国産初の自動巻腕時計を製品化しました。当時は、時計が止まるたびにゼンマイを巻く必要があった手巻き式腕時計が主流でしたが、腕を振る動きでローターが回転し、ゼンマイを自動的に巻き上げる自動巻き腕時計の登場は、非常に画期的でした。機械式時計の針を動かすには、まずぜんまいを巻きあげる必要があります。巻きあげられたぜんまいが元に戻ろうとしてほどける際に、エネルギーが生まれます。そのエネルギーを利用して、振り子の原理を働かせることで一定の周期で時を刻み続けることができるのです。
機械式腕時計の「自動巻き」と「手巻き」は、このぜんまいの巻き上げ方の違いによって分類されます。読んで字のごとく、「手巻き」の時計は手でりゅうずを回すことでぜんまいを巻き上げます。対して「自動巻き」の時計は人の手を介さず、時計自身でぜんまいを巻き上げてくれるメカニズムを搭載しています。
世界初のクオーツ腕時計の誕生
今では日常的なクォーツの時計ですが、当時は大型ロッカー並みのサイズで、小型化が出来ていませんでした、そこで、セイコーはクオーツ時計の小型化・実用化に取り組み、1969年12月25日に世界初のクオーツ腕時計「セイコークオーツアストロン35SQ」を発売します。価格は45万円と当時の大衆車と同等の価格でした。それまで一般の高精度な機械式腕時計で日差数秒から数十秒が当たり前であった時代に、日差±0.2秒、月差±5秒という飛躍的な精度の向上を実現しました。
セイコーは世界初のクオーツ式の「アストロン」を発売し、腕時計の主流は、自動巻きなどの機械式腕時計からクオーツ式へと移りましたが、自動巻きなどの機械式は、各パーツの組立には人の手によっていることから、手軽で高機能なクォーツ時計と、高級な工芸品や嗜好品の機械式時計と、市場では棲み分けがなされるようになっています。
グランドセイコー(1960年)
1960年、クラウンをベースとして特別調整および仕上技術が施された「グランドセイコー」が発売。No3180は総金張りケースで25,000円。当時の大卒初任給の二倍という高級品でした。ここからグランドセイコーの歴史がスタートしました。
セイコーが精度と正確さにおいて“世界のトップ”になるべくして製作したモデルこそ「グランドセイコー」だ。機械式ムーブメントのcal.3180は、12リーニュ、25石、振動数は18,000振動/時。直径34.9㎜かつ厚さ10㎜の金張りケースが採用され、ひとつひとつがセイコーの設定による独自精度基準に沿って厳正に検査されていた。またクリーンな文字盤、長い針とアプライドインデックスなど、現在にも引き継がれるデザインコードをすでに確立させていた。
まとめ
セイコーは日本が世界に誇る人気ブランドで、140周年を迎えても新しい歩みを進めています。ロレックス、オメガなどの海外の時計もいいですが、日本初の腕時計や世界初のクオーツウオッチで注目され、歴史的にも技術的にも素晴らしい日本のセイコーの時計はスタイリッシュなデザインと機能性を兼ね備えた、ビジネスマン向けで、日本人に親しみやす時計になっています。