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ヴィンテージやアンティークのロレックスとは
「ヴィンテージ」や「アンティーク」という言葉、なんとなく「古い」というイメージはありますが、実際のところ厳密なイメージがつきにくい言葉でもあります。ヴィンテージ(Vintage)とはフランス語の「Vendange=ブドウの収穫」という言葉に語源を持つ言葉で、もともと良年のワインのことをいっていたものが「良質な年代物」という意味で使われるようになったと言われます。また、25~30年以上経過した年代物=ヴィンテージという捉え方もあるようです。
アンティーク(Antique)という言葉は「Ante=以前の」というラテン語が語源で、日本では骨董品などと訳されますが、伝統や歴史を感じる古き良きものといったニュアンスで使われることが多いようです。また、アメリカの貿易や関税に関する法律で「アンティーク=100年を超えたもの」という定義がなされた影響から、100年以上経ったものをアンティークとする見方もあります。
ロレックスのヴィンテージやアンティークにおいては「特定の機能やデザインがユニークなため、依然として名作として愛される終売モデル」といった意味合いがあるように思われます。特に1970年以前のものをヴィンテージ ロレックス、アンティーク ロレックスと呼ぶことが多いようです。
ロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.6239
ロレックスの中でも特に人気の高いコレクションである、コスモグラフ デイトナ。1960年代のモータースポーツの興隆期に登場しました。その名は24時間レースが行われるフロリダのデイトナ インターナショナル スピードウェイに因んでいます。レーサーが平均速度を算出できるためのスペックを備えており、ベゼルに刻まれたタキメーターや、積算計などのインダイヤルがスポーティな様式美をみせています。当時タキメーターはダイヤル内に配されるのが一般的でしたが、オメガのスピードマスターやこのデイトナが、先駆的にタキメーターをベゼルにあしらった、タキメーターベゼルを採用しました。
Ref.6239は、今に至るまでロレックス唯一のクロノグラフ(ストップウォッチ機能をもった時計)であるデイトナの、言わば元祖です。現行モデルの人気に加え、このRef.6239自体の希少性が年々増していることもあり、アンティークロレックスやヴィンテージロレックスのコレクター垂涎のモデルです。特にデイトナにおけるステータス性の確立に大きく貢献したポールニューマンが愛用したエキゾチックダイヤル、別名パンダダイヤルは人気が高いです。このダイアルは黒文字盤に白のインダイヤル(あるいはその反転)が配されたダイヤルで、インダイヤルの文字がアールデコ調という非常にニクいディテールを備えた美的にも洗練されたデザインで、名実ともに高いスペックを備えています。
ロレックス GMTマスター ペプシベゼル Ref.6542
GMTマスターは第二次世界大戦後、航空機による長距離移動が活発化した時代に、ロレックスとパンアメリカン航空(パンナム航空)が共同開発した時計で、GMTマスターの登場によってロレックスは時計界で“制空権を得た”とすら言えるかもしれません。GMT機能とは、ホーム時間と現地時間の両方を表示できる機能で、パイロットにはなくてはならない存在となったGMTマスターは、パンナム航空の公式腕時計にも採用されました。
GMTマスターの中でも特にアンティーク / ヴィンテージとして人気が高いのが初期モデルのRef.6542です。ホーム時間を示す24時間回転ベゼルは夜の時間帯が青く、日中の時間帯は赤い配色をされており、この特徴的な色合いから「ペプシベゼル」と言われました。この初期のペプシベゼルはプラスチック製でいい状態で残っていることが非常に珍しいため、良品のRef.6542は中古市場においてとても価値が高いです。
ロレックス チェリーニ キングマイダス
前述のデイトナはレーサーのための腕時計で、GMTマスターはパイロットのための腕時計であり、ロレックスでは、こういった特定のプロフェッショナルがツールとして使用することを想定して生み出された、「プロフェッショナルウォッチ」が特に幅広く展開されています。一方、そんなプロフェッショナルウォッチとは一線を画した、ロレックスにおいてクラシックウォッチのエレガンスを体現するのが「チェリーニ」コレクションです。その中でも異彩を放ち、希少性の高さゆえあまり知られていない唯一無二のモデルがこの、「キングマイダス」です。
キングマイダスは、ギリシア神話の中に登場するミダス王から名を拝したモデルで、ミダス王は自身の触れたものを、黄金に変える能力で知られています。そんなミダス王の名に因んでいるように、キングマイダスはケースからブレスレットまで贅沢に金無垢が使われた腕時計です。ケースは独特な5角形で無機質なデザインに造形美を感じます。デザイナーはパテック・フィリップの「ノーチラス」やオーデマ・ピゲの「ロイヤルオーク」などをデザインした伝説的なウォッチデザイナーの、ジェラルド・ジェンタです。全体的にイエローゴールドを使われており、素材からしてすでの高級なこと、その希少性(一説では生産数は1000本未満とも)が相まって、なかなかお目にかかれない代物です。
まとめ
昨今人気が高まっている、ヴィンテージやアンティークと言われるロレックスについて紹介させていただきました。創業当時から精度の高い腕時計をつくることに全身全霊を傾けてきたロレックスの時計は、永い時を越えて正確な時を刻み続けることができます。そんなロレックスの強みが真に発揮されるのがヴィンテージロレックスやアンティークロレックスなのかもしれません。なお、中古市場にはロレックスの偽物や粗悪品を高額で販売しようとする悪徳業者も存在するので購入時には、注意が必要です。