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ブレスレットにみるロレックスの職人魂

ブレスレットにみるロレックスの職人魂

ロレックスの腕時計にはさまざまな種類のブレスレットがあります。そんなブレスレット、腕時計としてみれば脇役ですが、ロレックスのブレスレットはそれぞれに個性があり、明確な意思によってデザインされています。そのためブレスレットによって製造年代がわかったり、その時代の雰囲気を今に伝えるディティールでヴィンテージウォッチの愛好家を歓喜させることがあります。この記事ではそんなブレスレットのちょっとマニアックな世界を紹介します。

オイスターブレスレット

オイスターブレスレットはロレックスを象徴するブレスレットです。「オイスター」という言葉はロレックス製品のいたるところで耳にする言葉ですが、オイスターというのは、ロレックスの生み出した世界初の防水腕時計の名前です。金属の塊からミドルケースを削り出し、ベゼルと裏蓋を“ねじ込む”ことで防水性と防塵性を持たせた「オイスターケース」は、ロレックスウォッチの真髄であり、「オイスターパーペチュアル」はそのDNAを受け継ぐ直系モデルです。

オイスターブレスレットはロレックス製品の最もベーシックながら、おそらく最もロレックスが心血を注いでいるブレスレットです。ロレックスは現在は金属素材から部品までほぼすべてを自社で製造していますが、初期にはブレスレットを外注している時代もありました。その外注時代にGay Frères(ゲイ・フレアー/ゲー・フレール)社がロレックス専用のブレスレットとして生み出したのが、「オイスターブレスレット」です。同社は錚々たる時計ブランドにブレスレットを供給してきた実績のあるメーカーで、オーデマ・ピゲのロイヤルオークのブレスレットや、ショパールのライスグレインブレスレットなどでもその名を知られています。Gay Frères製のオイスターブレスレットは1960年代まで見られました。

ロレックス自社でブレスレットまで製造を行うようになると、細部から少しずつ、絶え間なくアップデートをつづけます。例えばブレスレットを構成するステンレスプレート一つとっても多大な試行錯誤が見られ、リベット(プレートを繋ぐための小さなビス)が外に出ていたものから、リベットが中に内蔵されるようになったり、薄い金属板を折りたたんでプレートをつくっていた時代から金属塊から削り出す方法に進化したりとロレックスの研究精神を感じます。

ちなみにオイスターブレスレットの素材となっているのは「オイスタースチール」と呼ばれるステンレススティールですが、このステンレススティールは904Lという特に耐久性・耐蝕性に優れるステンレススティール素材で、他のステンレススティールよりも金属アレルギーを起こしにくいと言われています。また、輸入コスト削減のため、ブレスレットを現地で製造していた期間があり、この時期にそれぞれの国で作られたブレスレットはアメリカブレス(USAブレス)、ジャパンブレス、メキシコブレスなどがあり、ヴィンテージロレックスマニアの心をくすぐるディティールとなっています。

ジュビリーブレスレット

1945年デイトジャストに採用されたジュビリーブレスレットは、ロレックスが自社で生み出した最初のブレスレットです。5列リンクのブレスレットで、3列リンクのオイスターブレスレットよりもより、ゴージャスな印象を与えるとともに、細かいコマで構成されているため、しなやかな連動性を実現しており着用感も快適です。

プレジデントブレスレット

1956年に発表されたデイデイトに採用され、当時のアメリカ大統領であったアイゼンハワー大統領に贈られたことから「プレジデントブレスレット」の名称で親しまれるようになった、かまぼこ状のコマを持つ3列リンクのブレスレットです。現在はレディースデイトジャストにも採用されており、エレガントで堂々たる風格が漂います。

オイスターフレックス

2015年のバーゼルフェアで発表の「ヨットマスター」Ref.116655とRef.268655に搭載されたロレックス初のラバー系素材のブレスレットです。1980年代にウブロによって貴金属素材ケース×ラバー素材というコンビネーションが高級時計業界に持ち込まれて以来、「スポーティーでラグジュアリー」なスタイルを形作る要素として、ラバー素材は独自の地位を確立しています。そんなラバー素材においてもロレックスは独自の素材を開発しています。「オイスターフレックス」と名付けられたこの素材は独自の合成素材で、金属に引けを取らない強度とラバーのような靭性を兼ね備えたブレスレットです。

ポールブレス

1967年から1968年にかけて製造されたコスモグラフ デイトナ、特にポールニューマンモデルと呼ばれるエキゾチックダイアルを備えたモデルに採用されたブレスレットです。これはケースとブレスレットをつなぐ「フラッシュフィット」とよばれるパーツがブレスレットと一体になっている、一体型フラッシュフィットのブレスレットです。ポールニューマンデイトナ自体の価値も非常に高いことで有名ですが、ポールブレス単体でも高い市場価値を誇ります。

パールマスターブレスレット

ツールウォッチとして機能性を追求する腕時計に心血を注ぐロレックスが、本気でジュエリーウォッチをつくったら。。。そんな時計が「パールマスター」です。ロレックスの職人技の粋を集結した、ロレックスが芸術品と自負する神話的なモデルといえるでしょう。そんなパールマスターのブレスレットは丸みを帯びたピースで構成された5列リンクで、とくにエバーローズゴールド・ホワイトゴールド・イエローゴールドを組み合わせた「トリドール」のブレスレットはラグジュアリーに極みです。

クラスプは年代を告げる

2010年頃までのロレックスウォッチはブレスレットを固定するクラスプに刻印されているアルファベットによって製造年代を知ることができました。各年代は下記の通りアルファベットと呼応しています。

1993 : R

1994 : S

1995 : W or T

1996 : V

1997 : Z

1998 : U

1999 : X

2000 : AB

2001 : DE

2002 : DT

2003 : AD

2004 : CL

2005 : MA

2006 : OP

2007 : EO

2008 : PJ

2009 : LT

2010 : RS

まとめ

ロレックスのブレスレットについて紹介しました。絶え間なく進化し続けるロレックスの腕時計はブレスレット一つとっても時計愛好家をうなされる壮大な物語を秘めています。ロレックスのブレスレットには「美は細部に宿る」という言葉を体現するようなロレックスのこだわりが詰まっています。

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