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GMTマスターの誕生
第二次世界大戦後、航空産業は大きな成長期にありました。長距離旅行が当たり前のように行われるようになり、パイロットは2国あるいはそれ以上の国の時間を把握する必要がでてきました。防水性や耐久性、精度に定評のあったロレックスはパン・アメリカン航空(パンナム航空)と共同でパイロットのための腕時計を開発します。そうして1952年に誕生したのがGMTマスターでした。GMTマスターの大きな特徴は、GMT機能とよばれる、“第四の針”と24時間表記の回転ベゼルによって、もう一つの時間を示すことができる機能でした。昼夜をわかりやすく表示する青と赤のツートーンカラーのベゼル、通称「ペプシベゼル」は、GMTマスターを象徴するディティールとなります。
ベゼルのデザインが光るGMTマスター
2つのタイムゾーンを示すために不可欠な24時間回転ベゼルはGMTマスターにおいてデザインと機能性の両面で重要な役割を演じています。GMTマスターはパイロットだけでなく、世界を飛び回るビジネスマンや実業家などからも大きな支持を得て現在に至るまで大きな人気を誇っています。そんなGMTマスターのベゼルについて注目してみます。
GMTマスター Ref.6542
GMTマスターのファーストモデルです。ベゼルディスクの素材は、プラスチック製で耐久性に欠けたため、後にアルミニウムへ変更されることになります。とくに初期のエナメルベゼルは希少と言われ、GMTマスターファン垂涎のディティールです。また、リューズガードがついてない、すっきりした輪郭もこのRefの特徴です。
GMTマスター Ref.1675
GMTマスターのセカンドモデルで、アルミニウム製のベゼルに変更されました。アルミニウム製ベゼルは褪色などの経年変化が楽しめる、数が減ってきて希少価値が上がっているということで、コアなファンに人気があります。
GMTマスター Ref.16760
GMTマスター ⅡはGMTマスターの後継モデルとして登場しました。サブタイムゾーンの設定方法が改良され、3つのタイムゾーンを示すことができるようになりました。ベゼルは青×赤ではなく黒×赤のツートーンが採用されます。
GMTマスターⅡ Ref.116718LN
2005年、ロレックス創業50周年記念のモデル、でロレックスのイメージカラーのグリーンダイヤルが特徴的です。他のスポーツモデルに先駆けて、ロレックスの独自素材セラクロムがベゼルに採用されています。
GMTマスターⅡ Ref.116710BLNR
このRef.116718LNではセラミック素材のベゼルディスクが採用されます。このモデルではGMTマスターⅡのもう一つの人気カラー青と黒の2トーン、通称バットマンベゼルが登場します。
GMTマスターⅡ Ref.16713RG
RGはルビーダイヤモンド文字盤仕様で、茶色×ゴールド、茶色、黒のベゼルカラーが選べます。
ベゼルは自分で交換できる⁉
このように多彩な表情を見せてくれるGMTマスターのベゼル。実は意外と簡単に着脱できちゃいます。しかも「こじあけ」とよばれる、太めのマイナスドライバーのような道具さえあればできます(1000円未満で購入可)。こじあけは、マイナスドライバーでも代用できます。
1:方法はいたってシンプルで、ベゼルとケースの境界部にこじあけの刃の部分を挿入し、てこの原理で外します。刃の部分はセロハンテープやビニールテープ、マスキングテープなどで養生しておくと時計に傷をつけにくくなります。
2:ベゼルが外れるとベゼルディスク・金属の枠・ばねの3つのパーツにばらけます。
3:金属の枠を嵌め、1時の上にある穴にばねを挿し、新しいベゼルディスクを嵌めて完了です。
このように簡単にベゼルを交換することができます。しかし簡単とは言え、時計を傷つけたり故障を引き起こす可能性はゼロではありません。また、ロレックスが認定している正規の修理店以外での修理による損傷を被ったロレックスウォッチは、ロレックスで修理を受け付けてもらえない可能性があります。確実なのは、正規店へ依頼することでしょう。
まとめ
航空業界からの需要により誕生したロレックスGMTマスターは2つのタイムゾーンを表示できるという画期的な機能に加え、「ペプシベゼル」や「バットマンベゼル」などその個性的なデザイン性からも人気が高いモデルです。モデルによって色や素材が異なるので、廃盤物は中古市場で依然として人気が高く、多数の色を展開しているモデルならベゼルを交換して楽しむという方法もあります。