ロレックススポーツモデルの元祖
回転ベゼルは、ロレックスのスポーツウォッチにとって、非常に重要な特徴のひとつです。ロレックスで初めてその回転ベゼルを搭載したモデルは、1937年初出のRef.3346「ゼログラフ」とされていますが、より直接的に現代にまでつながる系譜の元祖として語られているのが、1953年初出のターノグラフです。1953年にはサブマリーナのファーストモデル、Ref.6204も登場していますが、Ref.6202はこれに先行しており、Ref.6202をプレ・サブマリーナと呼ぶコレクターも存在します。ロレックスはその後も1954年にRef.6542 GMTマスター、1956年にRef.6541 ミルガウスと、回転ベゼル付きの歴史的に重要なモデルを立て続けに発表しますが、ロレックスは回転ベゼルが作り出す付加機能の価値にターノグラフの製作を通して改めて気付いたのかも知れません。
Ref,6202を代表するのはサブマリーナのファーストモデルと同様の、ペンシル型長短針とロリポップと呼ばれる先端に丸い夜光が付いた秒針、そして12時にトライアングル、3時、6時、9時にバー、その他をドットで埋めた個性的なインデックス配置を持つブラックのギルトダイヤルからなるデザインですが、ハニカムダイヤルを採用したものやメルセデスハンドを採用したモデル、そしてアルファ型長短針とホワイトダイヤルを持つものなど、多彩なバリエーションが確認されています。特にホワイトのダイヤルを持つモデルや、ブラックのハニカムダイヤルで文字盤の左右に、”OYSTER”と”PERPETUAL”が分離して配置されているデザインを採用したモデルは、コレクターの注目度が高いものとされています。
かつてはRef.6204やRef.6205のサブマリーナと比較して数が多いとされ、1990年代には50万円を切る価格でアンティーク店などに並んでいたRef.6202ですが、2000年前後から急激な高騰と希少化が進んで、現在ではその存在自体が大変に貴重なものとなっています。ほどほどの状態の個体が店頭に並ぶとすれば、特別な個体でなくても300万円以上はつくものと思われます。
希少性の高さから市場価値の高騰も十分に予想される
ターノグラフの情報についてご案内しました。新作のリーク・予想などはなく、現在は中古市場に出回っている流通数のみといえるでしょう。市場価値はそこまで高くありませんが、買えないケースが多いモデルです。その先鋭的なデザインは今の時代にこそマッチしています。再度、ブームが来ることも予想されますので、ターノグラフをお持ちであれば実際の価値について知っておいてはいかがでしょうか。
そして再び、ターノグラフ復活
2004年にデイトジャストが外装を全面刷新しますが、これとともに再び突然変異が発生します。日付表示の偶数が赤、奇数が黒という、1950年代の逆の仕様でよみがえったルーレットデイトは他のモデルと共通ながら、円すい状に傾斜を付けられた回転ベゼル、赤い秒針、そして何よりも半世紀もの時を越えて、”TURN-O-GRAPH”のロゴが文字盤の6時位置に復活したのです。しかもこの新しいターノグラフのロゴのみ赤でプリントされており、赤い秒針とともにロレックスの方向性の変化を感じさせるものでした。
また、このターノグラフにはステンレスとイエローゴールドのコンビで、ターノグラフのロゴと秒針、そしてデイト表示をブランドカラーであるグリーンに改めた日本限定も登場しました。このターノグラフは2013年頃さりげなくカタログから姿を消し、現在その後継機らしきものは存在しない状況となっています。今のところ日本限定も含めてサンダーバード、ターノグラフともに際立った価格の変動はありませんが、オーナーにとっては今後が大いに楽しみなコレクションであることに違いはないでしょう。
まとめ
短い9年間で生産終了となったターノグラフは、機能性やデザインの良さで見直されて人気になっています。現在は生産されていませんので中古市場などで購入することになりますが、それでも今後もっとニーズが高まる可能性があります。それだけ高品質なモデルですので、気になったら行動を起こして手に入れましょう。ロレックスのこだわりを感じながら、希少性のある時計を楽しむことができるのがターノグラフです。流通量が少ないので、出会ったときの感動もひときわ素晴らしいでしょう。