シードゥエラーってなに?
シードゥエラーはロレックスの腕時計の一つで、もともとサブマリーナーの上位モデルとして開発されました。シードゥエラーとロレックスのディープシーは、深海遠征用のツールとしてロレックスが開発した、究極の防水機能を備えたダイバーズウォッチです。
1967年に発表されたロレックスのシードゥエラーは水深4,000フィート(1,220m)、2008年に発表されたロレックスのディープシーは水深12,800フィート(3,900m)までの防水機能を誇っており、これらはロレックスのダイバーズウォッチにおける牽引役としての究極の表明であり、何十年にもわたるプロダイバー達との協力関係の成果なのです。
1926年に世界初の完全防水時計として誕生したロレックスオイスターは、誕生間もなく、水中活動のためのツールウォッチとして非常に注目を浴び、その後、今日まで至るあくなき水圧との戦いに引っ張り出されることになるのです。そして1967年にサブマリーナから派生して誕生して以来、常にロレックスの、そして時計業界を代表する耐高圧ダイバーズウォッチとして、世界中から注目を集め続けるのがシードゥエラーです。
同じシードゥエラーという名前でもいくつかの種類に分かれており、ケースサイズは40mm、サイクロップレンズ無しのモデルを正統とであれば呼ぶのであれば、その製造期間は、初代Ref.1665で1967年~1980年頃・二代目Ref.16660で1978年~1990年頃・三代目Ref.16600で1990年頃~2008年となります。その後、ケースサイズが44mmにサイズアップされ、サイクロップレンズ無しで防水性能が3900mとなるディープシーが発売され、見方によっては正統はいったんは途切れたように思われました。しかし、突如として2014年に、もともとのシードゥエラーの正統を受け継ぐ四代目となるモデルが誕生しました。それがシードゥエラー4000、Ref.116600というモデルです。
(※1220m防水のシードゥエラーをフィート表記の4000と呼ぶようになったのは、このモデルからです)
ですが、製造期間は2014年から2017年と、わずか3年という事もあり、その存在すら知らないという人が意外と多いモデルでもあります。
なぜ3年で製造が終了してしまったの?
上記でシードゥエラーの最新モデルがわずか3年で製造を終了していると書きましたが、それによって「やっぱりロレックスのシードゥエラーは人気が無いんだ。」と思われた方も居ると思います。ではなぜ、シードゥエラーの最新モデルは3年で製造を終了してしまったのか?シードゥエラーに人気が無い理由は?についてお話しします。
●シードゥエラー人気が無いと言われる理由 ①
2014年に何故か突然の復活をして製造されたロレックスのシードゥエラー4000なのですが、実はこの時すでにシードゥエラーの上位モデルとも呼べるディープシーと呼ばれるモデルがラインナップされていた事がシードゥエラーは人気が無いと言われる理由の1つとして上げられます。
(※ディープシーは2008年発売)
●シードゥエラーは人気が無いと言われる理由 ②
そしてディープシーが存在しているにもかかわらず、ロレックス社が定めるシードゥエラーの定価が、ディープシー(上位モデル)とサブマリーナー(下位モデル・スタンダードモデル)の中間で、ロレックス愛好家の人たちから見てもシードゥエラーの位置づけがよく分からず、購入者が少なかった事から、ロレックスとしてはありえないほどの不人気モデルになってしまい、その結果わずか3年で製造終了してしまったのです。
●シードゥエラーは人気が無いと言われる理由 ③
ロレックスの腕時計の中でもプロ仕様のオーバースペックモデルを求める方はほとんどがディープシーを購入しますし、それ以外のロレックスのダイバーズウォッチという目線から購入を決める人はサブマリーナーを購入します。そうすると必然的にシードゥエラーを選ぶ人があまりいなくなってしまい、昨今の不名誉なシードゥエラーは人気が無いと言われるゆえんになってしまったのです。長いロレックスの歴史上でも3年で製造が中止になるというのは非常に珍しい事です。
●シードゥエラーは人気が無いと言われる理由 ④
またデザインの面でも現行のシードゥエラーが不人気とされる理由がありました。2017年に登場した最新の現行モデルであるシードゥエラー4000・Ref.126600は、50周年記念ということで、新世代ムーブメントを搭載し、ケースサイズも43mmにアップされ、更にはサイクロップレンズも採用された正統派デザインとは違うものだったのです。
人それぞれ好みはあると思いますが、「昔からのシードゥエラーが好きだ!」と思う人にとっては、40mmのケースサイズとサイクロップレンズ無しというのは、外せないポイントだったのでしょう。こう言ったデザイン的な面での違いによっても発売当時に購入者が少なく、シードゥエラーは人気が無いと言われてしまう原因の1つになりました。
シードゥエラーはそもそも何のために作られたのか
上記でシードゥエラーを始めとするモデル(ディープシー・サブマリーナ)はダイバーズウオッチとして開発されたとお話ししましたが、何故ロレックスはここまでの仕様にこだわったのか、その開発の歴史ももう少しお話しておきます。シードゥエラーはロレックス社が海でも安心して使える時計を作りたいと考え、さまざまなテストをして作り上げた時計です。ロレックス社は「とにかく使っているダイバーたちが安心して使えるもの」を意識し、1953年には深海潜水艇バチスカーフ・トリエステ号にも協力をしてもらい、完全防水になっているのかなど機能面などもチェックしていきます。
また、1960年にはシードゥエラーを身に着けたままでマリアナ海溝の最深部まで潜航するというテストも行っています。(フイリピン沖のマリアナ海溝にあるチャレンジャー海淵(かいえん)が世界で最も深く、約10,920mあります)マリアナ海溝の最深部まで行ってもシードゥエラーは正常通り動き、完全防水になっているということが確認されました。またロレックス社にとっても、超深海から何事もなく作動し続けて成功を収めたのはこの時計が初めてになります。
ロレックス社はさらに、シードゥエラーをより良い時計にしようと、ダイバーウォッチをコメックス社と協力をしながら開発していきます。そして1967年にはこれまでの努力と工夫が凝らされたシードゥエラーができあがり、正式に販売が開始されたのです。ロレックスの中でも比較的、歴史の長い時計である事が伺えますね。
シードゥエラーの機能
ここからはシードゥエラーの機能性についても解説していきます。
●防水性
「ダイバーたちが海で問題なく使えるように」と考えて作られた時計ということだけあり圧倒的な防水力があります。どんなに海の奥深くまでダイバー達が潜っても故障を気にせずに使えるようにと考えられており、耐えられる水深もどんどん進化しています。
ロレックス社が行った最初の実験では610mまで行っても故障せず正常に動くのを確認していましたが、なんと、そこで終わらず、1,220m(シードゥエラー)、ついには最高で3,900m(ディープシー)とその性能を伸ばしています。シードゥエラーやディープシーのおかげで、ダイバー達はどこまで潜っていっても、正常な状態で時刻を確認できるのです。
●完全防水
海の中で身に着けるという事で完全防水である事は必須条件なのですが、完全な防水機能となると、そう簡単には実現できません。特に時計は小さいですし、中にはさまざまな細かい部品が入っています。少しでも水が浸透してしまうと、誤作動を起こしてしまったり動かなくなってしまったり故障してしまうのが一般的です。隙間が少しでもあると完全防水にするのは難しいのですが、シードゥエラーでは特殊な作りを施しています。
そのため、簡単には隙間が開かず、海の深いところまで潜っても安心して使える構造になっているのです。2008年にはリングロックシステムという構造が採用されて、専用の工具がなければ開かないようになりました。素人が開けてみたいと思っても、専用の工具がないと簡単には開けられないのです。だからこそ、水やホコリなども入らない設計になっています。さらに、ミドルケースも耐蝕性に優れているため、沢山ある時計の中でも特に水に強い作りで完全な防水を実現しました。
●ヘリウムエスケープバルブ
深海は水深の浅いところと違い、呼吸ガス内の窒素が高圧となります。そのため、潜水士は体に負担をかけないように、浮上する時に減圧チャンバーの中にいなければなりません。普段陸で過ごしている環境とは違って非常に特殊です。減圧チャンバーという容器の中にいると、ヘリウムガスが時計の中に入り込む危険があります。もし入ってきてしまったら、すぐでも時計は壊れてしまい使い物になりません。
それを考慮して、シードゥエラーにはヘリウムエスケープバルブを付けていて、ヘリウムを上手に排出する作りになっています。時計の中に入り込んでしまわないように、しっかりと工夫しているのです。そのため、100m以上の深海に入る潜水士たちも安心して身に着けられます。
シードゥエラーとサブマリーナの違い
海で使うことを目的としているという点では、どちらを購入しても同じようなものではないかと考えている方も多いかもしれません。サブマリーナも海での使用を考えられて作られた時計にはなりますが、機能性に違いがあり、シードゥエラーのほうが上位のモデルになります。デザインなども似ているのでどちらでも良いかもと思ってしまうかもしれませんが、どの程度海で使用するかによって購入は考えたほうが良いでしょう。防水性で見ると、サブマリーナも300mまでは耐えられます。
しかし、シードゥエラーは3,900mとその差はかなり違ってきてしまいますので、奥深く潜る場合は機能は比べたほうが良いでしょう。ケースの厚さにも違いがあり、シードゥエラーのほうが水に強いということもあり厚みがあります。サブマリーナをはじめ、ロレックスのほとんどの時計にはサイクロップレンズが付いていますが、シードゥエラーには付いていないという違いもあります。
(※2017年に登場した最新の現行モデルであるシードゥエラー4000・Ref.126600にのみサイクロップレンズが搭載されています)
シードゥエラーの販売価格
ここまでの項目を読んで、シードゥエラーに興味がわいたり欲しくなった方もいらっしゃるのではないでしょうか?この項目ではシードゥエラーの参考価格を一部ご紹介します。
※価格はあくまでも目安です。その時の相場や在庫の流通量によって変動します。
※定価はロレックス社の販売価格、新品・中古価格はロレックス正規店以外の二次流通価格です。
●ロレックス シードゥエラー4000・116600
新品価格:3,300,000円~
中古価格:1,988,000円~
●ロレックス シードゥエラー126603
定価:1,754,500円
新品価格:2,369,850円~
中古価格:2,180,000円~
●ロレックス シードゥエラー126660
定価:1,365,100円
新品価格:2,365,000円~
中古価格:2,290,000円~
●ロレックス シードゥエラー・126600
定価:1,239,000円
新品価格:2,348,500円~2,080,000円
中古価格:2,028,000円~1,978,000円
●ロレックス シードゥエラー1665(初代モデル)
定価:1,869,600円
希少な赤文字盤の物も存在します。(赤文字盤希少価値が高いため、価格不明)
●ロレックス シードゥエラー16600
定価・新品価格―円・中古価格が1,198,000円~
因みに上位モデルでもあるディープシー・126660モデルは定価1,574,100円(税込み)で販売されており、新品価格が2,039,850円~、中古価格が1,858,000円~となっています。
最後に
シードゥエラーは人気が無い、と言われがちですがこのように優れた機能性から根強い愛好家の方も沢山いますし、購入時よりも高い値段で新品・中古ともに取引されているのが分かります。ダイバーズウオッチの傑作と呼べるロレックス・シードゥエラーをあなたも是非手に取ってみてはいかがでしょうか?
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