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シードゥエラーとサブマリーナ 見た目は似ているけど違う!その違いとは?
ディープシーはシードゥエラーのハイエンドラインです。2014年が発売初年度ということもあり歴史は比較的浅いですが、もともとのシードゥエラーの発売は1917年と長い歴史を誇ります。そのため、シードゥエラーの歴史を知ることが、ディープシーを理解することに繋がるでしょう。
では、もともとのモデルであるシードゥエラーはどのようなモデルかと言うと、ロレックス サブマリーナの上位機種として1971年に誕生したものです。ベゼルの分刻みなど、デザイン面で異なる部分もありますが、一番の違いはさらに深い、深海の水圧に耐えられるようにするために開発された、ヘリウム・エスケープバルブが搭載されているか、の違いではないでしょうか。
水深100m以上の潜水には、普段の大気中に多く含まれている窒素ではなく、ヘリウムを主成分とした空気を使ってダイビングをします。ですが、このヘリウムの分子が窒素と異なり大変小さいため、潜水時に時計の中に入り込むことを防げません。入り込んだ場合、帰還時に大変危険なことになる可能性があります。
ヘリウムが時計の中に入り込んだ場合、水圧で圧縮されていたヘリウムの分子が浮上するにつれて圧縮が溶け、時計の中で膨らんで爆発する恐れがあるのです。これを回避する為に、ヘリウムを自動的に排出することができる仕組みがヘリウム・エスケープバルブです。もちろんこの機構は、シードゥエラーのハイエンドモデルであるディープシーにも搭載されています。ヘリウム・エスケープバブルこそが、ロレックスのダイバーズウォッチの潜水機能の集大成かもしれません。
ロレックス シードゥエラー ディープシーその名の由来とは
「ディープシー」という名は、1960年1月23日、オーガスト・ピカール博士が設計した深海潜水艇バチスカーフ、トリエステ号にて、息子である海洋学者のジャック・ピカールがアメリカ海軍ドン・ウォルシュ大尉の指揮のもとマリアナ海溝最深部、水深10,916mまで到達、その際に観測室外壁に取り付けられたロレックスの試作モデルが「ディープシー・スペシャル」となり、この名称に由来しています。
ディープシー 初代は2008年に発売。現在は何種類?
まだ発売から10年強と言うこともあり、何度かのマイナーチェンジはあったものの、ディープシーとしての型番、つまりリファレンスとしては二種類になります。初代ディープシーは116660です。ただ、発売時は黒文字盤のみのリリースでした。発売から6年遅れて、2014年にD-BLUE文字盤がラインナップに追加された形です。このD-BLUE文字盤ですが、当初はスペシャルエディション的な立ち位置でした。いつ発売されたのかというと、2012年に『タイタニック』や『アバター』で知られるジェームズ・キャメロン監督が、マリアナ海溝の世界初・単独有人潜水を成功させたのです。その偉業に敬意を表し、オマージュとしてD-BLUE文字盤をリリースしました。
黒だけの文字盤と異なる部分は、青とのグラデーションです。上から下に向かって、青が濃くなり、最後には黒に変わるようなデザインになっています。3900m先の、深い海の底を表すようなグラデーションがD-BLUE文字盤の特徴です。そして初代発売より10年後、2018年に発売されたリファレンスが126660です。デザインに大きな変化はありません。ブレスのコマが若干太くなったくらいでしょうか。それでも、普段使いにはオーバースペックなシードゥエラー ディープシーらしい、ロマン溢れるゴツさが増したように見えます。
ですが、116660と126660で異なる点はこれだけではありません。なんといっても、ムーブメントが一番の変更点ではないでしょうか。旧型であるRef,116660に搭載されていたムーブメントはCal.3135と呼ばれ、約48時間のパワーリザーブでした。主ゼンマイを一度限界まで巻いたとしても、二日後にはまた巻く、というのが当たり前でした。Cal.3135に対し、新型126660に搭載されているCal.3235はパワーリザーブが70時間まで延びています。約3日間のロングパワーリザーブとなっており、便利になりました。
ロレックスシードゥエラーディープシー。人気なのは?
「生産終了したモデルの相場が上がる」これは、ロレックス特有の現象です。供給がストップすれば市場に出回る数が減少することとなり、かつロレックスの人気モデルは生産終了後も根強い需要を維持し続けます。その結果、生産終了したモデルの中古相場は上がる傾向にあるのです。最近では、生産終了を見越して、投資目的で買う方や、手に入らなくなる前に…といった消費者マインドもあいまって、ロレックスの新作発表シーズンは、大きくロレックス相場が動くものです。
ただ、全てのモデルでこの図式が当てはまるかと言うと、そうではありません。特に、ディープシーのように、外観が大きく変わらなかったモデルについては、生産終了モデルだけが顕著に値上がりする、といったケースは少なくなります。
ディープシーの場合ですと116660よりも、リファレンスチェンジした126660の方が現在では価値があるようです。新モデルと旧モデルではムーブメントが異なるので、その違いも新モデルの人気を後押ししているのかもしれません。新モデルの方は、D-BLUE文字盤の方が値上がりが顕著ですが、2020年5月現在ですと、どちらも定価は超える相場感です。
一方の116660・黒文字盤の方は、2020年5月現在ですと、定価は割る相場感となります。中古は状態にもよりますが、旧型ディープシーの方がお得感があると言えるでしょう。ただ、旧型116660のD-BLUE文字盤の方は注意が必要です。こちらは発売当初からある黒文字盤モデルとは異なり、2014年に発売されました。そこから2018年にリファレンスチェンジが行われたため、4年の間でしか製造されていません。そのあいだもD-BLUE文字盤に限り、青と黒のグラデーションの割合が、5;5から6;4に変更されています。新リファレンスである126660でも6:4のままであるため、マイナーチェンジ前の5;5の相場感が上がっていくのでは、とも言われています。
もっとも、ディープシーはどこに出しても恥ずかしくない人気モデルです。そのため新旧問わず、ディープシーは安定した需要を誇っています。2022年5月現在、旧リファレンスの黒文字盤を除き、旧リファレンスのD-BLUE文字盤、新リファレンスの黒文字盤・D-BLUE文字盤も定価は超えていました。また、堅牢な造りゆえに経年変化に強く、中古市場で探しやすいことから、「デイトナ並みののプレミア相場!」とは言わないまでも、安定的な価値を維持していくと考えられます。
さて、どんな有名人が持っているのでしょうか~日本人編~
●哀川翔さん(俳優)
リファレンスは116660と思われます。黒文字盤ですね。オーバースペックでゴツいシードゥエラーが似合うのは哀川さんのもつ男らしさによるものでしょうか。
●有吉弘行さん(お笑い芸人)
有吉さんはテレビ番組『とんねるずのみなさんのおかげでした。時計買うシリーズ1億円突破企画!とんねるずと時計を買った男達アフターケアSP!』でRef.116660を購入していました。
●京本政樹さん(俳優)
エレガントな印象の京本さんですが、男性的で大型ケースのデカ厚モデルの筆頭といえるシードゥエラーも問題なく着こなしています。
シードゥエラーは海外でも人気です!~海外編~
●ジェームズ・キャメロンさん(映画監督)
リファレンスは126660と思われます。もともとディープシーはジェームズ・キャメロン氏がマリアナ海溝への潜行を単独で成功させた記念につくられたモデルです。なので、この人がいなければこの美しい文字盤は生まれなかったというわけですね。
●ルカ・ワードさん(俳優)
映画「The African game」で着用していました。アフリカを舞台に進むストーリーで、過酷な環境に耐える堅牢なモデルのイメージにぴったりです。
●ベン・アフレックさん(俳優)
Dブルーの文字盤が美しいモデルです。カジュアルにもフォーマルにも使いやすい時計です。
●シルベスター・スタローンさん(俳優)
ポロシャツにサングラスのシンプルな装いに合わせていました。
●タイガーウッズさん(プロゴルファー)
防水性は3900mと高い性能をもつモデルです。ハイスペックだけあって、ケースサイズは44mmと大きめ、重量も約220gと比較的重いモデルです。プロアスリートだけあってスペックの高いモデルを選んだのかもしれません。
まとめ
44mm径に18mmケース厚という無骨なフォルムに、オーバースペックの3900m防水、ディープシーはオーバースペックを極めたロレックスのダイバーウォッチのなかでも、防水技術を全て詰め込んだハイエンドモデルです。発売から約10年が経過した現在においては、そのデザイン・スペック共に世界中の男性から熱い支持を受けています。ラインナップは4種類ですが、年代によって細かな違いがあるので、購入を検討される際にはよく細部までチェックしてみてください。