ロレックスの歴史
ロレックスは、20世紀初めに時計商社としてイギリスで創業しました。当時は、時計関税が高額だったため以後漸次スイスに拠点を移し、その過程でメーカー化しました。懐中時計が主流であった当時、早くから腕時計の利便性に着目していました。格段に高い防水性を誇る「オイスターケース」を開発したオイスター社を買収して実用時計に採用する事で腕時計の使われ方に大きな影響を与え、自動巻き機構「パーペチュアル機構」や日付が午前零時頃に一瞬で切り替わる「デイトジャスト機構」の開発、腕時計で初めてクロノメーターの認定を受けました。防水性と防塵性を備える世界初の完全密閉ケース腕時計「オイスター」を開発しました。ロレックスの腕時計は、時計史に刻まれる偉業を達成したのです。ロンドンの記者であったメルセデス・グライツが「ロレックス・オイスター」をつけたままドーバー海峡を泳ぎきりました。所要時間15時間15分。人々は彼女の完泳とともに、その腕につけられていたロレックスが動いていたことに驚嘆しました。
そして、ロレックスの完全防水という発想と性能は、世界中に広まったのです。この防水腕時計など、ロレックスは実用性にこだわることで、人々の絶大な信頼を獲得しました。1950年代に時刻を刻む以上の機能を備えたツールであるプロフェッショナルウォッチを開発しました。これは、深海探検、飛行、登山、科学調査など、プロフェッショナルな活動のための時計です。この年、「そこに山があるから」で有名なエドモント・ヒラリー卿とテンジン・ノルゲイが、「ロレックス・オイスター・パーペチュアル」を携行し、エベレスト登頂に成功しました。
彼が「オイスター・パーペチュアル」を選んだ理由は、その多くの登山経験から、登山に必要な時計の最優先条件が『機密性』だったからです。超高度登山の場合、外とシュラフ内とでは、大きな寒暖差が発生します。機密性が低いと結露などの原因となり、外気温が”氷点下”の場合、結露した水滴が凍結し、ムーブメントを破壊してしまう可能性もあります。しかしオイスターケースの機密性は、結露を発生させません。またオイスターケースは、インゴットをくり抜いてつくられているため、他の金属ケースに比べて温度による変形が少ないのです。エベレスト登頂という過酷なチャレンジのために選ばれる資質。それがロレックスの潜在能力であり、他の時計にはない競合優位性です。
2010年代には、水深12,000メートルまでの防水性能を備えるダイバーズウォッチ「オイスターパーぺチュアルロレックスディープシーチャレンジ」を開発しました。世界最深部の巨大な水圧にも耐えられるようロレックスが一貫して開発・製造を手掛けたこの時計は、世界最深部への潜水記録を塗り替えたのです。これだけの実績を積み重ね、今もなお進化し続けている老舗ブランドの腕時計なので、リセールバリューが高いのは納得してしまいますね。
ロレックスは一生使える
ロレックスは、ハイブランド時計の中でも圧倒的なネームバリューで資産価値も大きく上昇しています。世界中で認知され、人気の高い時計ブランドであるロレックスは、世界的な市場が確立しており、機械式腕時計のなかでもモデルごとに中古相場が確立しているほど流通量が多いですね。よって中古市場も国をまたいだ取引がよく行われており、国際的なオークションもよく開催されています。もちろん、国ごとのファッション性によって人気モデルの違いや、為替相場の変動によって国によって相場が若干異なるということもあるが、他の高級ブランドの時計ほど大きな価格差が生じることはありません。これは特にレアなアンティークモデルほど顕著で、探している人が多いうえにもともとの商品数が少ないので、日本で高価なレアモデルは海外でも同様に高価な物となります。
ロレックスは、ブランド創設が1908年と、時計ブランドとしては比較的遅めですが、時計業界において革新的な機構をいち早く生み出してきました。その中でもロレックスの3大発明といえば、防水性の高いオイスターケース機構、手巻きの手間を省略した自動巻きのパーペチュアル機構、日付が0時付近で瞬時に切り替わるデイトジャスト機構です。
一方で、トゥールビヨンやミニッツリピーターなどの複雑な機構は取り入れられておらず、唯一デイトナとヨットマスターⅡ、そしてスカイドゥエラーにクロノグラフ機能が搭載されているぐらいです。多くのモデルがシンプルに時を表示することに特化しています。機能がシンプルな分壊れにくかったり高い精度を誇っているため、ムーブメントの正確さや毎日使える丈夫な設計になっています。ロレックスは、時計の基本である「時を知るための道具」という目的を、最も重要視しているブランドとも言えますね。機能がシンプルなだけにデザインも飽きがこないモデルが多く、それでいてきちんと個性を感じさせる点も世界中の人々に支持される理由です。
話題の時計は?
世界一の知名度を誇る腕時計ブランドのロレックス。オメガやタグホイヤーといった強豪を凌いで、人気腕時計不動の1位に君臨しています。そんな中、気になるのがどのモデルがナンバー1でそのランキング。デイトジャスト・デイトナ・サブマリーナ・エクスプローラー・GMTマスター・・・たくさんの人気シリーズを抱えるロレックスの中で1位に輝いたモデルとは?
1位:デイトナDAYTONA
2016年に発表されたセラミックベゼル仕様の新型デイトナは前モデル「Ref.116520」をさらに上回る支持を得て、時計界人気NO1の座をさらに不動のものにしています。現行品の新品のみならず、過去に発売されていた手巻きのアンティークモデルまでが世界中の時計愛好家から支持を得て、近年ではポール・ニューマンが着用していた正真正銘の「ポール・ニューマンダイヤル(エキゾチックダイヤル)」がオークションに出品され、約20億円という記録的な高値で落札されたことも記憶に新しいところです。
前モデルからは待望の完全自社開発ムーブメント「Cal.4130」を搭載。これは針飛びを防ぐ垂直クラッチのクロノグラフ機構を搭載した最新型ムーブです。精度の面ではCOSC公認認定はもちろんの事、ケーシング後自社内で更なる精度の検査を行った証である高精度クロノメーターの認定を付与。デイトナは実用時計ブランドの実力を惜しみなく注がれ、常にロレックスのアイコンとして君臨しています。
2位:エクスプローラー
英国ヒマラヤ遠征隊が1953年に達成した、世界初のエベレスト登頂の偉業の際に装備していたオイスターウォッチを元に、同年発表された、冒険家のための屈強なプロフェッショナル時計「エクスプローラーI」。1971年には、過酷な環境下でも昼夜を判別するための24時間針を搭載した「エクスプローラーII」が登場しました。
3位:サブマリーナー
潜水時間の計測が可能な回転ベゼルを装備し、100m防水性能を実現して1953年に”世界初のダイバーズウォッチ”として誕生した『サブマリーナー』。高い性能と力強いスポーティーなデザインで”キングオブダイバーズウォッチ”と称賛され世界中で愛されています。アイコニックな外見は、キズや劣化に強くて光沢が美しいセラミック素材のベゼルに、しなやかにフィットする形状のブレスレットが組み合わされ高級感が高められています。300mの防水性能を実現したオイスターケースには、70時間ものパワーリザーブ性能を実現した新世代の高精度ムーブメント「3235」を搭載。パラクロム・ヘアスプリングとパラフレックスショック・アブソーバの採用で耐磁性と耐衝撃性がアップして、クロノメーター認定を取得しています。
どの様な種類がある?
上記ランキング以外にもロレックスには魅力あるモデルが数多く存在します。
■デイトジャスト
その名の通り、0時ジャストに日付が変わる、1945年にロレックスが開発した「デイトジャスト」機構が搭載された定番シリーズです。ロレックスが発明した、時計三大機構の残り2つ、防水性と防塵性に優れた堅牢な「オイスターケース」と、高精度な自動巻き「パーペチュアル」機構も当然ながら採用され、いかにもロレックスらしい信頼性に優れたシリーズです。デザインにおいても、初期モデルからのスタイルを長年に渡って保ち、流行に左右されない美しさと機能を兼ね備えたクラシカルなタイムピースです。
■GMTマスター
航空技術の発展に伴って路線の拡大が進んだ1950年代に世界各地へフライトする航空会社のパイロットに向けて作られたプロフェッショナルスポーツモデルが「GMTマスター」です。24時間表示ベゼルと24時間針を搭載し、ローカルタイムとホームタイムの2つのタイムゾーンが同時に一瞬で読み取れます。
■ミルガウス
目に見えない磁気から時計を守る、世界初の耐磁性に特化した時計として1956年に誕生した「ミルガウス」。フランス語で1000を表す”mille=ミル”と、磁気量の単位”gauss=ガウス”からネーミングされたスポーツモデルです。市場での広い支持が得られず一度は生産が終了しますが、初代の人気ディテールだった、磁気からデザインされたインパクトのあるイナズマ型の秒針を備え、さらなる耐磁性能と精度を実現したミルガウス「116400」として約20年ぶりに復活を果たします。
進化したミルガウスは、ブラック文字盤とホワイト文字盤の「116400」と、緑色のグリーンサファイヤ風防を採用したブラック文字盤の「116400GV」の3モデルで展開。2014年には、美麗な深いブルーで彩られた文字盤の「116400GVZブルー」がカラー追加されました。現在は「116400GV」の2モデルのみのラインナップとなっています。
■デイデイト
数あるロレックスの時計ラインナップ中で、最上位に位置するプレステージライン「デイデイト」。華やかでラグジュアリー感のあるイエローゴールド、高貴なエレガントさを持つホワイトゴールド、ロレックス独自の劣化しないピンクゴールドのエバーローズゴールド、圧倒的な気品と存在感を放つプラチナ、4つの厳選された貴金属でのみ展開される、究極のコレクションです。モデル名のとおり、3時位置に日にちのデイト表示窓、12時位置にフルスペルの曜日デイ表示窓を備え、ケースサイズが日本人に適した少し小ぶりな36mmの「デイデイト36」と、2015年に加わったケースサイズ40mmの「デイデイト40」の2つのサイズで展開されています。
まとめ
高級時計の王ロレックスといっても過言ではないほど世界中の方々から絶大な支持を得ている理由には、時計自体の精度もさることながら丈夫さにもあります。10~20年程度では故障が起きる事は稀で、中にはメンテナンス無しで50年稼働なども存在します。防水・密閉性にも優れ、何より中古市場でもニーズが安定しており高いリセール性です。
数十年後、現行モデルがいまのアンティークロレックスのように、破格の相場につり上がるかと言えば、当時よりも断然流通量は多いため可能性は低い。とはいえスポーツモデルの多くが製造本数の少なさから正規価格を並行輸入価格が上回るプレミア状態が続いているし、長く使っていても価格が落ちにくいでしょう。数年先の短中期的に見れば、いまの価値をある程度持続していることは考えられるため、もし買い替えをするにしても損は無いでしょう。