目次
はじめに
ロレックスには、アメリカ俳優であるポール・ニューマンの俗称が付けられた腕時計があります。
その時計は「ポール・ニューマン・モデル」と呼ばれ、ニューマンの影響で、コレクターズアイテムとして非常に人気があり、高い価値がついています。
2017年10月のオークションにて史上最高額の腕時計となったポール・ニューマン・モデルは、伝説の腕時計だとといえるでしょう。
ポール・ニューマンの栄光
ポール・ニューマン(Paul Newman)は、アメリカの俳優、映画監督、慈善家、レーシングドライバーとして知られた人物です。
1925年1月26日に、オハイオ州クリーブランドに生まれました。歴代のハリウッドスターの中でも、彼ほど長きにわたって活躍し、多くの栄冠を手にした役者はそう多くはないでしょう。
映画『ハスラー』で知られ、3度のアカデミー賞と6度のゴールデングローブ賞を受賞しています。
また、役者以外にもレーサーとして、ル・マンで2位、デイトナ24時間レースで5位という輝かしい成績を残しました。
さらに、自ら立ち上げた食品会社「ニューマンズ・オウン」でも国際的知名度を獲得したほか、政治活動家としても数々の功績を挙げています。
ロレックス デイトナ「ポール・ニューマン・モデル」とは
ポール・ニューマンが実際に使用していたロレックスは「コスモグラフ デイトナ Ref.6239」です。
彼の名前が俗称された「ポール・ニューマン・モデル」としても知られ、現在では非常に高い価値がついています。
ニューマンの影響で、この時計はコレクターズアイテムとして非常に人気があります。
コスモグラフ デイトナ Ref.6239
[モデル名]コスモグラフ デイトナ(Cosmograph Daytona)
[リファレンス番号]6239
[製造年代]1960年代
[ケース]ステンレススチール
[ダイヤル]3つのサブダイヤル、クロノグラフ機能搭載
[デザイン]文字盤に「ポール・ニューマンダイヤル」と呼ばれる特殊なデザインが施されており、アラビア数字が特徴
[ムーブメント]手巻きキャリバーである「Cal. 722」と「Cal. 723」を搭載
伝説のアンティークウォッチ
デイトナ ポール・ニューマンは、ロレックスの人気モデルとして知られるデイトナのアンティークウォッチです。
数百万円を超える資産価値を持つ個体が多いアンティーク デイトナですが、ポール・ニューマンはまさに別格です。その価格は今や1,000万円を軽く超えています。
なぜこれ程までにデイトナ ポール・ニューマンは評価されるのでしょうか。
手巻き式腕時計「デイトナ」
デイトナ ポール・ニューマンモデルは1960年代〜70年代に製造された手巻き式デイトナに見受けられるモデルです。
3世代に渡って製造された手巻き式デイトナには素材や文字盤デザインまで様々な仕様がありますが、ポール・ニューマンモデルはその中でも特に存在感のあるデザインを持ちます。
ファーストモデルはRef.6239とRef.6241です。ただしプレデイトナとしてRef.6238/6234が存在します。
Ref.6239はスチールベゼルを備え、Ref.6241は黒のアルミベゼルを備えます。いずれも名機バルジュー Cal.72をベースとしてチューンアップしたCal.727を搭載しています。
また主張の強いタキメーターを採用したスポーティーな雰囲気から一躍注目を浴びるようになりました。
大きく特徴が異なるエキゾチックダイヤル
Ref.6239は65年ごろ、Ref.6241は60年代後半まで製造されます。
その短い製造期間の間には同じリファレンスでありながらも大きく特徴が異なるモデルが展開されました。
俳優として、レーサーとして、社会に大きな影響を与え続けたポール・ニューマン。そんな彼が身につけていた時計こそが「 Ref.6239(エキゾチックダイヤル) 」です。
自らレースに参戦したデイトナ24時間レースから名称を得た「ロレックス デイトナ」は、彼が活躍した舞台のコンセプトを忠実に表現したモデルでした。
本人の人気に加え、時計自体の品質も優れていたことから、このモデルは次第に神格化されていくことになります。
ポール・ニューマン本人が付けていたRef.6239
ポール・ニューマンが愛用したRef.6239は、映画レーサーの撮影中に妻である女優ジョアンウッドワードからプレゼントされた時計です。
プロのレーサーでもあったポール・ニューマンはこの時計を非常に気に入っており、その後もデイトナ Ref.6239をオンオフ問わず身に着けているシーンがしばしば目撃されるようになりました。
なぜ幻のロレックスと呼ばれるのか
1984年を境に、ポール・ニューマンはデイトナ Ref.6239を身に着けなくなります。彼のファンや時計愛好家はその変化にすぐに気づき、デイトナ Ref.6239を紛失もしくは壊してしまったのではないかと推測されました。
結局その後もデイトナ Ref.6239を装着している姿は見ることは出来ず、ニューマンは2008年にガンで亡くなってしまいます。
そのため、デイトナ Ref.6239はファンから消えた伝説のロレックスといわれ、幻の一品と呼ばれるようになりました。
娘のボーイフレンドへ譲っていた
しかし、幻の一品デイトナ ポール・ニューマンは、ニューマンの娘であるネル・ニューマンのボーイフレンドあった、ジェームズ・コックスへ譲っていたことが判明します。譲渡されたのは1984年といわれています。
デイトナのゼンマイを巻き忘れたポール・ニューマンがジェームズに時間を尋ねたところ、ジェームズは腕時計を持っていないと答えたそうです。
そこでニューマンはデイトナをジェームズに手渡し、「毎日巻き上げるのを覚えておけば、きちんと時間を教えてくれるよ」と言いました。
その後ジェームズ・コックスはニューマンから譲り受けたデイトナ Ref.6239を現在に至るまで所有・保管していました。
しかし、ニューマンの娘ネルが「ネル・ニューマン財団」を立ち上げることをキッカケに、この時計をオークションで競売にかけることを決めました。
腕時計における史上最高額の1780万ドルで落札された
その結果は当初の予想を遥かに超える超高額入札となり、最終的に腕時計史上最高額となる1780万ドル(約20億3100万円)にて落札されました。
現在、LAのアカデミー映画博物館の小さなガラスケースに展示されており、そこにはこう書かれています。
ロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.6239
ステンレススティール、クロコダイルブレスレット
プライベートコレクション - ロレックスの協力により実現
この時計がヴィンテージウォッチ・コレクションにとって、どれほど重要なものであるかを正確に評価するのは難しいでしょう。
ニューマンの名声による圧倒的なプレミア
1968年から69年にかけてニューマンの妻ジョアン・ウッドワードが購入した際には、他のロレックスウォッチよりも価値が低いとされていました。
ロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.6239は、エキゾチックダイヤルのロレックス デイトナへの熱狂的な関心を呼び起こしました。
この約20億3100万円という価格は、それまでロレックスの最高金額だった約5億8000万円を遥かに上回り、デイトナ ポール・ニューマンが伝説の一本であることを証明しました。
ポール・ニューマン・モデルの購入時の注意
もしもウェブサイトで購入をするなら注意が必要です。ポール・ニューマンデイトナで多いのは「偽物の流通」だからです。
フリマアプリやオークションサイトで明らかに偽物ではないかと考えられる物から、価格帯から完全に偽物ではないかと思われる商品が売られています。また、偽物ではなくても、アンティークの品物だとメンテナンス状態によって価格が大きく変わってきます。
ウェブ上の写真ではクリアに見えても偽物だったり、メンテナンスで内部の部品が交換されている可能性が高いでしょう。
今後、デイトナ Ref.6329以外で値上がりする可能性があるロレックス
ここでは、今後値上がりされると思われるロレックスをご案内致します。
デイトナ Ref.16520
生産終了モデルであること。デザイン性に優れていること。稀少価値がきわめて高いでです。時計ファンの永遠の憧れであるRef.16520は、歴代デイトナの中でもトップクラスに人気のあるモデルです。ここ数年爆発的に相場を伸ばしてきました。
2020年最新の平均買取価格は200万円と、ほとんどの現行ロレックスを凌ぐ勢いです。
エクスプローラーⅡ Ref.16570
エクスプローラーIIの一世代前のモデルです。製造期間が1991年~2011年頃までと、非常に息の長い世代でした。数あるスポーツロレックスのラインナップの中では、あまり目立たない存在だったかもしれません。実際、「洞窟探検家に向けて」という、ニッチなターゲティングが行われていました。
確実な人気を誇ってきて手堅いモデルでもあり、「初めてロレックスを購入する」方から「定番外しのロレックスが欲しい」といった方まで、あらゆるファン層から支えられてきました。
サブマリーナ ノンデイト Ref.114060
今ではデイト付きのRef.116610LNやRef.116610LVがメインどころになっています。しかし、もともとサブマリーナとして長年親しまれてきたのは、ノンデイトサブでした。
日付表示を持たないことでスッキリとフラットな印象が強まり、使用シーンでオンオフ問わない汎用性の高さを有すため人気が高い為、今後上がる可能性はございます。
サブマリーナ ノンデイト Ref.14060M
ノンデイトサブマリーナの第六世代、Ref.14060Mです。Ref.114060の、一つ前の世代に当たります。Ref.14060Mは、現行品にも使われているCal.3130を始めて搭載させたノンデイト サブマリーナとして知られています。
また、ケースサイズは現行と同じ40mmとなりますが、リューズガードやラグが小ぶりで、かつアルミベゼルが採用されていることから、よりヴィンテージらしさを味わえる一品です。
GMTマスター Ref.16700
GMTマスターは1983年にIIをラインナップすることとなりますが、それまではローカルタイムと第二時間帯表示を行うGMTマスターが主流でした。
しばらく併売されていましたが、1989年頃~1999年まで製造されたこちらの16700を最後に、GMTマスター自体が生産終了となりました。
GMTマスターIIはGMT針を単独稼働させることで、ホームタイム等の時刻を設定することが可能ですが、GMTマスターは短針とGMT針が連動しており、回転ベゼルを用いることで第二時間帯を示します。
一方で、デイトがクイックチェンジできるので、Ref.16700の方に利便性を見出している方も多いでしょう。
ミルガウス Ref.116400
現行のRef.116400は2007年に誕生しましたが、ラインナップに残っているのはサファイアクリスタルガラスがグリーンを帯びた、Ref.116900GVのみです。
2015年に生産終了となった、無印ミルガウス 116900の相場が上昇しているのです。
ちなみに、白・黒文字盤が存在しますが、白文字盤の方がより顕著に上がっています。
GMTマスターⅡ Ref.16710
GMTマスターII Ref.16710は、デザインバリエーションもそうなのですが、細かな仕様によって買取額が変わる可能性があります。
たとえば2005年~2007年頃の製造個体にみられるスティックダイアル(GMTマスターIIのIIが、上下横棒のないレア仕様)は、GMTマスターII相場の倍以上の価格で売買されています。
また、2005年より前に製造されていた「跳ね文字(ベゼルの数字の書き始めと下記終わりが小さく跳ねたもの)」なども存在します。さらに、2007年、Ref.116710への過渡期に製造されたと思しきモデルは、116710系で採用されてきたCal.3186が搭載されており、性能面が向上していることから、高い人気となります。
もしかしたら、手元にあるGMTマスターII Ref.16710には、レアな仕様が用いられているかもしれません。
まとめ
ポール・ニューマンモデルは、その独自のエキゾチックダイヤルで知られ、アンティークロレックスの中でも屈指の人気を誇ります。年式によって文字盤のデザインが異なるため、コレクターズアイテムとしても非常に価値が高いです。
さらに、ポール・ニューマン自身が着用していたオリジナルモデルは、真の伝説的な腕時計として評価されています。その価格は約20億3100万円という驚異的な額に達し、今後も語り継がれることでしょう。
しかし、これは世界で最も高額な時計の一つであるものの、偉大な俳優が残した数々の遺産の中で、ほんの一片に過ぎないのです。