建築家に似合う時計って?
建築家は与えられた土地に対して「どのような建物を建てるか」と、造形や構造を検討しながらデザインし、図面を描いていく仕事です。 また法律に従って、安全な建物を設計することも求められます。
まだ形にないものを頭に描きながら、豊富な知識と発想力が求められるかと思います。そんな建築家の腕元には、アーティスティックな腕時計が似合うのではないでしょうか。
そこで、デザイン性だけではなく価格も考慮したうえで、建築家に似合う腕時計をセレクトしました。
ブランド名:IWC
最初にご紹介する時計は、IWC ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 42です。IWCといえば、伝統的な時計作りを重んじるスイスメーカーでありながら、アメリカ人により創業され、工房はドイツ語圏であるシャフハウゼンに置くという特異なプロフィールを持っているブランドです。
そして、ポルトギーゼといえば「マリン・クロノメーターに匹敵する精度の腕時計を」というポルトガルの時計商人の要望に応えて生まれ、1939年当時としては例外的に大ぶりなケース径42mmの腕時計であり、英国空軍の戦闘機パイロット向けに開発されたパイロット・ウォッチは、堅牢性や耐磁性が高いタフな腕時計となっています。
特徴
パイロット・ウォッチはミリタリーウォッチとして比類なき性能と知名度を誇りますが、着用者を選ばない腕時計としてIWCの看板コレクションとなっています。
デザイン面
クロノグラフや永久カレンダーなど複雑機構搭載モデルを基本とするコレクションですが、ダイアルは情報量の多さを感じさせず、すっきりとまとまっている印象があります。
この視認性の高さは、スリムなリーフ型針と、クセのないアラビアインデックスの絶妙なバランスによるところが大きいのではないでしょうか。さらに、IWCでは針とインデックスを青か金、またはシルバーに統一しています。
現行コレクションではクロノグラフ秒針のみ青を採用し、印象を際立たせているモデとなっています。
また、ダイアルのレイアウトを調整することで、メカニカルな印象になりがちなクロノグラフをスマートに仕上げている点も特徴的です。通常のクロノグラフは3時・6時・9時位置か、6時・9時・12時にインダイアルを配することが多いです。
ポルトギーゼ・クロノグラフ等では6時位置にスモールセコンド、12時位置に30分積算計のふたつだけとし、12時間積算計を持ちません。
さらに、インデックスの半分を削る程度にまで拡大したインダイアルを上下対称に配置しており、こう言ったほかの時計とは違う言ってみれば創造性の光る時計となっています。
ブランド名:ブレゲ
2番目にご紹介するのは ブレゲの「クラシック」です。ブレゲは、天才時計師アブラアン-ルイ・ブレゲが創設したスイスの老舗時計ブランドです。数々の時計造形技術を生み出してきたことで知られる時計の歴史を語る上で外せない存在です。
特徴
ブレゲのクラシックの魅力は、極限までに磨き上げられた、シンプルな美しさではないでしょうか。無駄な機能やデザインを排除することで、ブレゲが培ってきたデザイン性と時計の機構としての美しさが引き立っているといった印象があります。
特にギョーシェ彫を施した文字盤は、他のブランドでも多数採用していますが、ブレゲのこだわりは群を抜いています。一般的にギョーシェ装飾は機械で加工することが多いのですが、ブレゲは伝統的なギョーシェ彫機を使い、職人による手作業で製作されています。
ギョーシェ彫機は100年以上も前に設計製造されたものであり、10分の1mm単位という細かなモチーフをダイアル上に刻むことができます。
余談ですが、ギョーシェには「パリの爪」という意味のクル・ド・パリ、石畳のようなパヴェ・ド・パリ、太陽光線のようなソレイユ、麦の穂を思わせるバーリーコーンなど様々な種類がありますが、いずれもブレゲ製品はどれを見ても息をのむほど美しい仕上がりとなっています。
デザイン面
まだ、発売から新しいモデルでご紹介させていただきます。Ref.7137というモデルは、2020年にリリースされた最新作ですが、アブラアン・ルイ・ブレゲが1794年に製作した「ペルペチュエルNo.5」を源流としています。こちらのモデルも注目すべきポイントは、やはり文字盤です。
オフセンターダイアルは2時位置にムーンフェイズ、6時位置にポインターデイト、10~11時位置にパワーリザーブインジケーターという絶妙なバランスを保っています。さらに前述したブレゲの伝統的ギョーシェ彫が施されています。
クル・ド・パリ、ダミエ、パニエ、バーリーコーンと複数種類のギョーシェ彫が一つの文字盤で楽しむことができます。
このように現行のクラシックは、創業者のアブラアン・ルイ・ブレゲの作り出した技術や意匠を引き継ぎ、シンプルながらも唯一無二の美しさを誇っています。建築家の皆様もこういった創造性のあるお品物には大変興味をそそられるのではないでしょうか。
ブランド名:ヴァシュロン・コンスタンタン
3番目にご紹介する時計は、フィフティーシックス・コンプリートカレンダーです。創業260年という途方もなく長い歴史を持つ時計ブランド、ヴァシュロン・コンスタンタン。
マルタ十字をシンボルに持つ腕時計には、あらゆる時代をくぐり抜けてきたこのブランドにしか出せない高貴な雰囲気があふれ出る、世界三大時計ブランドのひとつです。
特徴
1956年のモデルの後継であるこの18Kピンクゴールド製の時計には、122年間という人類の一生ともいえる長い時間を、正確に動作し続ける高精度のムーンフェイズが備わっています。
デザイン面
コンプリケーションの仕上げとして、曜日、日付、月の表示が取り付けられています。
日付表示と針には、ムーンフェイズ・ディスクに最高なまでにマッチしたブルーが採用されており、シースルーケースバックからは、マルタ十字からインスピレーションを得た22Kゴールド製のローターがあしらわれています。
また、ヴァシュロン・コンスタンタンの象徴であるマルタ十字が、ラグのデザインに控えめに反映されており、リューズをケースに絶妙に統合しています。すっきりとした外観を維持する一方で、湾曲したサファイアクリスタルをあしらい、レトロなスタイルを引き立てます。
そして、カレンダーは、時計が日常生活にもたらす最も便利な機能のひとつと言える尾ではないでしょうか。
天文学的なコンプリケーションの組み合わせにより、曜日、日付、月、そしてなんと月相など、あらゆるカレンダー機能が腕時計ひとつに集約されます。 情報を示すディスプレイの配色は、読み取りやすいように工夫をしています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。時計というアイテムは、時間を確認するだけの便利なツールというだけではなく、ビジネスシーンにおいても欠かせない必須アイテムです。
腕に装着しているお気に入りの一本を眺めるだけで、今日も頑張ろう!と気が引き締り、やる気があふれてくるような気持にさせてくれます。
また、その時計の歴史をたどっていくことで、はるか昔の職人が何を想像して、何を目指してこの一本を作成していたのかを考えるきっかけになり、建築家である皆様のお仕事に生かしていただければ幸いです。