カシオ創業から一つ目の電卓誕生まで
カシオの創業は1946年、樫尾忠雄さんが東京都三鷹市に樫尾製作所を設立。設立当初は顕微鏡などを作る下請けの工場として始まり、その頃は戦後ということもありなかなか軌道に乗らず、くすぶっていたそうです。ですが、そこで諦めずに「こんなのあったらいいな」を形にする発明家気質だった忠雄さんは、電卓とは縁のない「タバコを根元まで据えるパイプ」を開発。これがヒットし、後の電卓の開発費用に充てられました。そして来たる1954年に電卓の開発を行い、小型純電気式(ソレノイド式)の計算機を完成させ、1957年に世界初の商用機として「14-A」を発表しました。
そしてこの14-Aに採用されている数字の配置が今では皆さん使っているパソコンのテンキーの配置にも使われるほどです。そしてこの14-Aは従来の電卓とは違い、答えだけを表示する今では当たり前の電卓の機能を搭載していることでも一躍有名になりました。
そして、兄弟と共に「カシオ計算機株式会社」を設立し、電卓のカシオと呼ばれるほど大成長を遂げます。また、カシオはなぜ英語表記なのか?ローマ字だとKASIOになりますが、世界に目を向けていたカシオは、世界中で親しまれる企業を目指し「CASIO」という英語表記にしたそうです。
カシオ初の腕時計「カシオトロン」
電卓業界でトップに躍り出たカシオが次に目を付けたのが腕時計。当時は機械式と電池式の改変期真っ只中。そこでカシオから第一発明として発表されたデジタル腕時計が「カシオトロン」当時はアナログがメインでしたが、電卓での技術を生かし、デジタル表記ならば特化できるとふんだカシオ。時・分・秒だけでなく、カレンダー機能を搭載した万能品として世に送り出されます。また、カレンダーの自動調整機能を備えていたため手作業で調整する手間が無く、使用者から高い評価を得ることに成功しました。
その後、現在の大人気モデル「G-SHOCK」第一号が1983年に登場。海外からも逆輸入される人気ぶりは、日本の時計業界を牽引し続ける存在に♪
カシオから楽器も誕生
電卓や時計だけではなく、カシオは楽器の生産も行っています。音楽が好きだった創設者は「演奏の難しいバイオリンやギター、尺八の音を自分の手で美しく奏でてみたい」という思いから従来にない発音システムである「子音・母音システム」を開発します。これは音が“子音”と“母音”で構成されていることに着目ました。
これにより、ピアノ・チェンバロ・オルガンなどの鍵盤楽器はもちろん、ハーブ・琴などの弦楽器、トランペット・トロンボーンなどの管楽器など29の音色を創り出すことに成功。そこでカシオ初の電子楽器「カシオトーン201」が誕生しました。一見見た目は電子ピアノですが、鍵盤を演奏するだけ、という身近な方法で、自然で味わいのある演奏を可能にしました。「誰でも手軽に音楽を楽しめるようにしたい」というカシオの電子楽器の原点が詰まったものが誕生しました。
今では老若男女に人気なG-SHOCK
カシオの腕時計といえば大人気モデル「G-SHOCK(ジーショック)」1983年に発売され「落としても壊れない」がキャッチコピーとなり、その当時では到底不可能とされていた強い耐久性と豊富な機能を有する時計としてヒット商品となりました。1990年代には女性をターゲットに発売された「BABY-G」や、ペアモデルの「ラバーズコレクション」が大ブームとなりました。今でさえ、どこの時計も耐久性などは優れていますが、当時の技術から考えると耐久性だけでなく耐水性も備えたG-SHOCKは時計業界にも驚きをもたらしました。
まとめ
いかがでしたか?カシオは今となっては世界中にたくさんの商品を送り出していますが、それまでには並々ならぬ努力と経緯があったことが伺えます。G-SHOCKの始まりはおよそ40年前にさかのぼり、当時ではありえないと思われていた技術を開発したことで、今でも魅力的なものがたくさん作られていますよね。テンキーの配置の始まりがカシオの計算機であることやデジタルの腕時計の開発など、今の生活の一部に多くのカシオの技術が組み込まれていることを実感します。
カシオは現在、時計をはじめ、電卓や電子辞書、電子楽器など様々な電気機器を生産する日本を代表する電子機器メーカーとしての確固たる地位を築いていると言えますね。カシオの製品を手に取る際には、こういった歴史を知ることで品物への理解も深まるかもしれませんので、是非ご参考ください。