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ブランド腕時計の耐用年数
ブランド腕時計に多い、クォーツや機械式のムーブメントを持つ時計であれば、オーバーホール無しで最大でも10年が寿命と言われています。ソーラー腕時計であれば、オーバーホール無しで7年ほどです。こちらについて、ムーブメント別に紹介します。
機械式腕時計
巻き上げたゼンマイを動力としている機械式時計は、比較的寿命が長いと言われています。それでもオーバーホール無しでは最大でも10年と言われている理由は、正確な時を刻むために用いられている数多く精密なパーツにあります。それらの機構の中には、パッキンや歯車といった消耗品も含まれています。
そのため、それらのパーツを定期的に交換してあげないと、サビが出たり、パーツが摩耗してしまいます。人気が高い機械式腕時計は、他の時計よりも繊細なため、オーバーホールをして、メンテナンスをしっかりしていくと20~30年に寿命が延びると言われています。
クォーツ腕時計
一般的な腕時計に広く使われているクォーツ腕時計は、電池と電子回路によって動きます。安価な腕時計にも採用されていますが、高級ラインの腕時計にもよく見られます。クウォーツ時計も、メンテナンス無しでは10年ほどしか持ちません。
しかし、クォーツ腕時計のムーブメントは歴史が浅く、1970年代に作られたばかりです。丁寧にメンテナンスしても本来の寿命はまだまだ未知数なのです。丁寧にお手入れをしていけば、30年ほどもつものもあるようですが、10年以内に動かなくなってしまうものも珍しくないため、機械式腕時計よりは耐久性に劣ると言われています。
ソーラー腕時計
太陽光を使って動力を発電するシステムを持っているソーラー腕時計。クォーツ腕時計のように電池交換が必要ないことがメリットの時計です。このソーラー腕時計に使われている蓄電池は、7年ほどの寿命といわれています。その他に故障がなく、蓄電池だけを交換するのであれば、7年以上に寿命が伸ばすことができますが、機械部分の寿命は10年ほどです。
しかし、こちらもクォーツ時計と同様に、作られてからの歴史が浅いものです。毎回ソーラー発電するということは、使用環境によっても充電効率や蓄電量にばらつきが生まれます。これらのことを考えると、まだまだ未熟なムーブメントでもあります。一方で長寿命の蓄電池の開発や、それに合わせた機械部分のメンテナンスがうまくできれば、寿命が大きく伸びる可能性もあります。
腕時計の故障の原因は?
それでは、それぞれの時計をオーバーホールをしないまま放っておくと、どのような故障が起きるのか見ていきましょう。故障の原因となる、普段やってしまいがちなダメな行動についてもご紹介します。
磁気帯び
先ず注意したいのが、機械式腕時計や、アナログクオーツ時計を使用する上で、強い磁気に近づけてしまうことです。日常生活に強い磁気なんてあるの?という疑問もあるでしょうが、私たちは電子機器に囲まれて生活しています。スマートフォンやPC、スピーカー、家電も"強い磁気"を持っています。そのほかにも、マグネットも磁気が強いので、カバンや家具には要注意です。
磁気に近づくと、精密パーツが寄り集まってできている機構部分に影響が出ます。磁気によって狂ってしまう故障を「磁気帯び」と呼びます。磁気帯びをしてしまっているか、コンパスを近づけて針がグルグル回るかを見ます。回ってしまったら、磁化してしまっている状態なので、修理が必要です。磁気を持つものからは、最低でも5cm以上離すようにしましょう。ちなみに、磁気による故障はデジタルクオーツ時計には、起こりません。
日付・時間合わせの注意点
カレンダー機能がついている機械式腕時計には、時間変更をしてはいけない時間帯が存在します。これを禁止時間帯と呼び、歯車が日付を変えるため動き出す時間を指します。具体的には、夜8時~朝の4時まで。この時間にリューズを回してしまうと、歯車が欠ける原因になります。
また、時刻合わせの針を逆走させてしまうミスもパーツを欠けさせたり、摩耗させる原因になります。少しくらいと思わず、日付や時間を合わせる時は、丁寧に説明書通りに調節しましょう。
潤滑油の凝固
腕時計の内部、機構の歯車には潤滑油が使われており、滑りやすく欠けや摩耗から歯を守っています。しかし、オーバーホールをせず、機構内を掃除しないと、油が固まってしまい歯車を止めてしまう原因になります。
この問題は、定期的に分解、掃除することで解決・予防することができます。しかし、凝固したまま放置しておくと、必要以上に負荷がかかり、歯が欠ける可能性もあります。そのほかにも、ほこりや摩耗した微量の金属片、サビなどが歯車に挟まると、歯車が止まる・歯が欠ける原因になります。
衝撃を与えたことによるダメージ
繊細な時計なので、落としたりぶつけたりといった衝撃によって、故障してしまう可能性があります。見た目としては、故障しているように見えなくても、時計の繊細さは機構の中にあります。特に、機械式時計には注意が必要です。
衝撃を与えたことによるトラブルの具体例を見てみましょう。機構内の歯車が外れる、天真という極細のパーツが折れるなどがあります。外から見てわかる故障は、外装の傷はもちろん、文字盤の針が引っかかって止まったり、針が外れているなどです。スポーツウォッチ以外を付けたまま、運動をするのはおすすめしません。
ブランド腕時計を長持ちさせるには
大切なブランド時計を長持ちさせる方法は1つ、「オーバーホールに出す」です。もちろん、落としたり、浸水させないなど、トラブル回避は必須ですが、丁寧に扱っているだけでは、不十分です。
時計は繊細なパーツが多いため、定期的なメンテナンスを必要としています。普段時計のオーバーホールを気にしない人も多いでしょうが、特に高級なブランド時計は長く使いたいですよね。少しでも良い状態を保つことが長持ちさせる秘訣です。
機械式時計は3~5年に1度、クォーツ時計は5年ごと、ソーラー腕時計は6~7年に1度ぐらいを目安にオーバーホールに出しましょう。見えない部分で消耗していることが多いため、「壊れてから出す」よりは、「壊れる前にメンテナンス」を心がけてください。
腕時計の寿命サインはこれ!タイプ別の見極め方
どんなにいい時計であっても、機械である以上寿命はあります。腕時計の寿命はある日突然やってくるものではありますが、ある程度見極めることも可能。ここでは、寿命のサインともしも手放す際について知っておきたい事についてご紹介していきます。
すぐに電池が切れてしまう
電池が切れてしまうのであれば、電池交換すれば問題は解決します。ですが、交換の間隔が徐々に短くなっていきますと寿命が近いといえます。この場合、劣化してしまった部品の交換を行うことで状況は解消しますが、年数を重ねたものは思った以上にいろんなところに摩耗が生じている可能性があります。修理を頼もうにも、新しい腕時計を買ったほうが安く済んでしまうなんてこともザラにあります。電池の寿命が2年以下となるようであれば、新しい腕時計の購入を検討するべきでしょう
すぐに時間がズレる
短針や長針がズレてしまう場合も、寿命のサイン。この部分のズレに関しては、針の取り付け部分が緩んでいるなど時計内部に不具合が生じていることが考えられます。内部部品の経年劣化もその一つだとは思いますが、歯車の部品そのものが不具合を起こしている可能性もあります。その場合はオーバーホールで原因究明を行うことをおすすめしますが、腕時計の年式によっては部品の取り置きがなくなってしまっている場合も。時間のズレが頻繁に起きてしまうようであれば、買い替えを視野に入れておくべきでしょう。
寿命を迎える前に買取に出す
ご紹介した上記の症状は出ていなくても、時計を変えたいと考える方もいらっしゃるかと思います。その場合、ただ捨てるだけではもったいないです。買い取ってもらえるのであればそれに越したことはありません。ですが、売りに出せばすべての腕時計に値段がつくというわけではありません。
買取に強い時計は、メーカ品として有名なものや人気の高いブランドの高級時計となります。ロレックスやオメガのようなブランドであれば、人気も安定しているため買取の可能性は非常に高いと言えます。ここで気を付けなければならないのが、故障や傷がないなどの状態の良さのほかに、購入時の箱や保証書、余りゴマが揃っているか。そのため、条件が揃わないと思った以上の値段がつかない可能性もあります。
その場合も考慮し、買取業者は腕時計の専任の鑑定士がいることをおすすめします。
動かなくなっても売れる可能性はある
寿命を迎え動かなくなってしまった時計でも売れる可能性があります。腕時計によっては「ロレックス」や「オメガ」「カルティエ」などの世界的に名前が知れ渡っており、安定して需要がある時計メーカーであれば、修理できないくらいのジャンク品だったとしても買取が可能となっています。ものによっては、修理部品確保のための部品取りだったり、趣味で時計を分解、修理する方の需要なども関係しています。
まとめ
腕時計は身近な存在であるがゆえに、精密機械だという事を忘れて雑な扱いをしてしまうこともあります。実際には他の精密機械と同じく、水や湿気、磁気などの弱点があることを再認識していきましょう。寿命がある機械だからこそ、日々のお手入れをしっかりとして大切に使っていきましょう。