目次
パテックフィリップというブランドの魅力
パテックフィリップの時計は、優れた機能や性能に完成された美しいデザイン、そして高い技術力で製造された精巧で複雑なムーブメントを備えています。超高級の名に恥じない完成度を誇る時計であることに加え、製造から何十年経過しようとも、「永久修理」のもとで製造当時に限りなく近い完璧な状態まで修復してもらえるのも魅力的ですね。
このような点から、パテックフィリップはリセールバリューが高い時計ブランドの代表格とも言われ、中古市場に出回ってもその価格が大きく下がることはありません。「ノーチラス」や「アクアノート」などのスポーツコレクションの中には、購入価格より高く売れるといった現象まで起きているほどです。
パテックフィリップの歴史
世界有数のマニュファクチュールであるパテックフィリップは、創業から180年以上もの長い歴史を誇っています。そんな長い歴史を誇るパテックフィリップについて、誕生から現在までの変遷をたどっていこうと思います。
●1839年
パテックフィリップは、アントワーヌ・ノルベール・ド・パテックとフランソワ・チャペックというふたりのポーランド人創業者により1839年に創設された「パテック チャペック社」が前身です。1844年のパリ産業博覧会を機にフランス人時計師ジャン・アドリアン・フィリップと知り合い、フィリップは翌年、正式に入社します。その一方で、チャペックは退社することになります。
●1851年
パテックフィリップを創設、1851年には社名をパテックフィリップ社へと変更します。同年、ロンドン万国博覧会に出品した世界初の鍵なし時計が称賛を集め、1868年にはスイス初の腕時計を製作するなど、彼らの名はヨーロッパ中に広まっていきました。
●1854年
本社が現在地Quai General Guisanに移りました。
●1867年6月26日
ローマ教皇ピウス9世が18金懐中クォーターリピーターを購入、裏蓋には教皇の紋章と両側に月桂樹が七宝で描かれています。
●1877年5月1日
創業者であるパテック氏が死去します。
●1878年
ティファニーがアメリカ製工作機械を備えた自社のジュネーブの時計ムーブメント製造工場をパテックフィリップに売却します(この影響で、この年代近辺では全く同じムーブメントでありながら、Tiffany製の物とPatek製の物が市場に流通しています)。
●1891年1月
ジャン・フィリップが経営を息子のジョセフ・エミール・フィリップに譲渡します。
●1894年1月5日
ジャン・フィリップ氏が死去します。
●1895年頃
マリ・キュリーがジュネーヴ芸術協会からペンダントウォッチを授与されました。
●1907年
ジョセフ・エミール・フィリップ氏死去、その息子アドリアン・フィリップが会社の経営を引き継いでいます。
●1908年
現在の本社ビルが完成します。
●1915年
アルベルト・アインシュタインが懐中時計を購入します。
●1927年4月6日
パッカードの創業者の一人ジェームズ・ウォード・パッカード(James Ward Packard)に「パッカードウォッチ」を12,815スイスフランで売却します。しかし、1929年の世界大恐慌により業績が悪化し、文字盤製造会社を経営していたジャン・スターンとシャルル・スターンの兄弟が1932年にパテックフィリップ社の経営権を取得し現在へと至っています。
●体制変更、そして地位の確立
経営体制の変更後、挽回を図るため1932年に発表したモデルが「クンロク」として有名な「カラトラバ96」です。ドレスウォッチの傑作と称され、日本の皇族にも愛用された歴史を持ちます。その後も、「ノーチラス」「アクアノート」などの名コレクションや、多くの特許を取得した数々の複雑機構を発表し続けた結果、時計界における最高峰の確固たる地位を確立するに至るのです。パテックフィリップは現在もスターン一族が経営権を握っていますが、創業者の遺志を継ぐ意味を込め、創業者ふたりの名前を社名から残しています。
代表コレクションとその歴史について
パテックフィリップは現在、8つの現行コレクションを展開していますが、その中から代表的なコレクションと歴史をいくつかご紹介いたします。
●究極のエレガンス、「カラトラバ」
前述でご紹介したように、「カラトラバ」は1932年に初代モデルが発表された、ロングセラーのドレスウォッチシリーズです。これまで多くの派生モデルが生まれ、現行モデルだけでも13種類が展開されています。
参考価格:394万9千円
コレクション名は、スペインのカラトラバ騎士団を由来としているそうです。剣と百合の花を組み合わせた「カラトラバ十字」が、パテックフィリップの伝統的なエンブレムとなっていることからも、このコレクションが同社の象徴的なモデルであることが分かりますね。優美さや気品高さを備えたシンプルなラウンドデザインで、立体的なインデックスや、ドフィーヌ針に象徴される上品な時分針が全体の美しさをさらに引き立てています。
●「船の舷窓から着想を得たというモデル、「ノーチラス」
当時の薄型時計としては例外的な12気圧の防水性能を持つスポーティーウォッチとして1976年に発表された「ノーチラス」は、船の舷窓からインスピレーションを得てデザインされたモデルとのことです。
参考価格:640万2千円
ケースデザインは、オーデマ ピゲの「ロイヤ ルオーク」など数々の名作を手掛けたジェラルド・ジェンタが担当しています。デザインの特徴は、オクタゴン型のフォルムと、「耳」と呼ばれる左右の突起部分です。耳はノーチラスのシンボルであると同時に、噛み合わせてビスで固定する構造になっているため、防水性を高めるための役割を担っています。スポーティーさと薄さの共存を追求し、かつ防水性の向上にもチャレンジしたモデルとなります。
●丸みのある8角形ケースが特徴の、「アクアノート」
ノーチラスに次ぐスポーティーウォッチとして1997年に発表された、比較的新しいコレクションが「アクアノート」です。現行モデルでは「5167」を代表とする10モデルが展開されています。
参考価格:262万9千円
8角形のケースはノーチラスを継承していますが、アクアノートのほうがより丸みを帯びていることが特徴です。文字盤の夜光アラビア数字インデックスも特徴的ですね。モデル名にふさわしい120mの防水性を備えており、加えて牽引耐性や紫外線耐性に優れたハイテク・コンポジット素材の「トロピカル」バンドの実用性も世界から高く評価されています。
以上、いくつかのモデルをご紹介させていただきました。パテックフィリップは、長い歴史の中で数多くの名作を世に送り出し、高い評価を得続けた結果、現在の地位を築いています。代表モデルそれぞれの歴史にも触れることで、特徴やブランドの魅力に対する理解もより深まることでしょう。
パテックフィリップが特別とされる5つの理由について
さて、ここまでは簡単な歴史とアイテムをご紹介させていただきましたが、それらをもう一度おさらいし、なぜパテックフィリップがここまで特別として高い評価を受けているのかご説明させていただきたいと思います。
①ジュネーブの風土が育んだ、長い歴史とその伝統技術
冒頭のおさらいとなりますが、理由の1つはやはりその偉大なる歴史でしょう。1839年、ひとつの時計工房が、ふたりの亡命ポーランド人によってジュネーブに創設されたことは先ほどご紹介させていただきましたね。そのふたりとは、アントワーヌ・ノルベール・ド・パテックと時計師フランソワ・チャペックです。やがてチャペックは工房を離れますが、ほどなくしてパテックは、リューズで巻き上げと針合わせを行う機構を考案した有能な時計師ジャン・アドリアン・フィリップと出会い、彼を新たなパートナーとして迎え入れます。そして1851年、時計工房はふたりの名をとり「パテックフィリップ」と名乗ることとなりました。
このパテックフィリップが、その後、時計史に残る傑作を次々に生み出していったことはご紹介させていただいた通りです。その背景には彼らの優秀さに加え、創業の地であり、現在もパテックフィリップが拠点を構えるスイスのジュネーブという土地柄もありました。16世紀末、フランスの宗教弾圧から逃れ、ジュネーブへ移り住んだユグノー派の人々が伝えたのは、当時、世界でもっとも進んだ時計と宝飾、七宝(エナメル)の技術でした。
やがて彼らがもたらした技術をベースに、ジュネーブに時計産業が興りますが、現代のパテックフィリップには、この史実を伝えるモデルがあるのです。たとえば懐中時計、現代の有名ウォッチ・メゾンにおいて、ここまで充実した懐中時計のコレクションを保有するメーカーはパテックフィリップ以外に類を見ません。そして、ユグノー派の人々が伝えた七宝細密画(エナメル・ミニアチュール)の技術を駆使し、文字盤に古(いにしえ)のジュネーブの風景を描いた特別コレクションがあるのです。まさにジュネーブに生まれたパテックフィリップの歴史と伝統の象徴とも言うべき希少なモデルであり、これがパテックフィリップが特別である第1の理由ですね。
●ポケットウォッチ
パワーリザーブ表示とスモールセコンドを備えたオープンフェイスの懐中時計ですが、ラック・ホワイトの文字盤には時刻が読み取りやすいアラビア数字のインデックスを配置しており、パテック フィリップ・シールを取得しています。また、イエローゴールドのチェーンが付属しています。
・972/1
・44mm
・18Kイエローゴールドケース
・手巻き
・非防水(湿気・埃にのみ対処)
・価格要お問い合わせ
●レア・ハンドクラフト
七宝細密画で文字盤にかつてのジュネーブの風景を描いたミニット・リピーター・トゥールビヨン装備の腕時計、白い七宝のベースに青い酸化金属を含む釉薬で景色を描き、800~820°Cという高温で10回から15回も炉で焼成されます。この七宝文字盤の製作工程には合計で100時間もの作業が必要だったといわれています。サファイヤクリスタルとホワイトゴールド仕様の通常のケースバックが付属しています。
・5538
・37mm
・18Kホワイトゴールドケース
・手巻き
・非防水(湿気・埃にのみ対処)
・参考商品
②叡智を積み上げ、直面した難題を解決してゆく高度な技術力
パテックフィリップというウォッチ・メゾンが特別である第2の理由、それはスイスの時計業界をリードする高度な技術力です。これを示すのが、グランド・コンプリケーションと呼ばれる超複雑時計を自社で開発・製造できるという点です。その中でも、シンボル的存在なのが永久カレンダーです。永久カレンダーとは、時、分、日、曜、月などを自動的に表示し、4年に一度の閏年も2月29日から3月1日に自動でジャンプして表示する機構を指します。
これを最初に製作したのは、1853年、スイス・ジュウ渓谷の時計師ルイ・エリゼ・ピゲだったとは、名著「スイス時計の技術と歴史」(1953年刊)に記されていますが、その腕時計化に成功したのが、他ならぬパテックフィリップだったのです。1925年、パテックフィリップは婦人用ペンダントウォッチ(小型懐中時計)のムーブメントを用いて世界初の永久カレンダー腕時計「No. 97 975」を製作します。
そして1941年からは永久カレンダー腕時計の本格的な生産を開始し、1985年には初の自動巻き永久カレンダー・ムーブメントCal.240 Qを実現しています。現在、パテックフィリップでは永久カレンダーとクロノグラフを融合したRef.5270/1など、いくつもの永久カレンダーがあります。このように永久カレンダーひとつとっても豊富なバリエーションを展開し、それらを自社で開発・製造できるという高度な技術力が、パテックフィリップが特別である第2の理由です。
●永久カレンダー搭載クロノグラフ
曜日、月、閏年、昼夜を窓で表示し、日付を指針で表示すると共にクロノグラフ機構をも統合したCal.CH 29-535 PS Qを搭載しています。文字盤外周部には1キロメートルの走行時間を計測することで平均速度を瞬時に割り出すタキメーター目盛が刻まれています。サファイヤクリスタル・バックと通常のケースバックが共に付属しています。
・5270/1
・41mm
・18Kローズゴールドケース&ブレスレット
・手巻き
・3気圧防水
・価格要お問い合わせ
③機能と審美性を見事に両立させた、卓越したデザイン性
「デザイン」という言葉を、多くの日本人は誤解しているのかもしれません。そもそも「デザイン」とは「設計」であり、単に色や形だけでなく、機構と外装のすべてを「設計」することが、すなわち「デザイン」なのです。したがって、「デザインは良いが使いにくい」ということはあり得ず、使い勝手が悪ければ「デザイン」が悪いということになります。これを大前提として、「腕時計の歴史上、もっとも完成されたデザイン」と呼ばれるパテックフィリップの名作「カラトラバ」を改めて考察します。
この「カラトラバ」に奇をてらった部分はひとつもありません。“ラウンド型の腕時計”という言葉から想起されるイメージを、そのまま素直に具現化したのが「カラトラバ」なのです。そして、このシンプルで普遍的な形にこそ、腕時計の「デザイン」の本質が宿っているといえるでしょう。この完璧な造型、そしてそこに封じ込められた“時刻を示す”という時計本来の責務を忠実にこなす機能性、この究極のベーシックとも言うべきスタイルを当然のように作り続けるパテックフィリップ、それらすべてが、パテックフィリップが特別であることの第3の理由です。
●カラトラバ
カラトラバは、ラウンド型腕時計の古典であり、洗練とエレガンスを極めたパテックフィリップを象徴するモデルとして永遠の命を宿した究極のタイムピースとなっています。ムーブメントには、スモールセコンド搭載の手巻きムーブメント「Cal.215 PS」を搭載しています。バトン型の植字インデックスとシャープなドフィーヌ針によって優れた視認性を発揮しており、パテック フィリップ・シールを取得しています。
・5196
・37mm
・18Kローズゴールドケース
・アリゲーターストラップ
・手巻き
・3気圧防水
・参考価格:394万9千円
④多彩な機能を用いて生活を豊かに彩る、比類なき実用性
技術力の高さを示すグランド・コンプリケーションですが、そこまでの高度な機能ではなくても日常生活に役立つ実用的な機構があります。それが世界主要都市の時刻を示す「ワールドタイム」や第2タイムゾーンの時刻を表示する「GMT」などです。中でも、実用性の高さで人気を集めているのが、パテックフィリップが1996年に特許を取得した「年次カレンダー」機構です。
「年次カレンダー」とは、1年に1度、2月末から3月1日に切り替わるときだけ手動で日付を修正すれば、他の月は自動的に正しい月と曜日と日付を表示する機構のことです。この発明により、カレンダー表示時計が身近な存在となったことは言うまでもないでしょう。
現在、パテックフィリップのコレクションには、この極めて実用的な「年次カレンダー」機構を搭載するモデルが多数存在していますが、2019年に発表されたRef.5235/50は、かつて時計師が標準時計として用いた「レギュレーター」と呼ばれる高精度な置時計に見られた時・分・秒をそれぞれ別軸に取り付けた針で表示するスタイルを採用しています。この一見、地味ですが、極めて実用性に富んだ機構を開発し、やがてそれを普遍的なものへと昇華させるのがパテックフィリップです。これこそが彼らが特別である第4の理由です。
●年次カレンダー
グラファイト(濃いグレー)とエボニーブラックのツートーンによって構成された魅力的な文字盤を備える人気のモデルです。ベースのグラファイトの部分は縦のヘアライン仕上げです。ブラックのインダイアルや月・曜日・日の表示窓、外周部の分目盛が美しく浮き出します。パテック フィリップ・アドバンストリサーチ部門が開発したSilinvar®素材のPulsomax®脱進機(ガンギ車とアンクル)とSpiromax®髭ぜんまいを搭載しています。
・5235/50
・40.5mm
・18Kローズゴールドケース
・アリゲーターストラップ
・自動巻き
・3気圧防水
・価格要お問い合わせ
⑤その大胆な発想で、時計界を牽引する創造力と革新性
いくら長い歴史と高い技術力があっても、現状に固執していては価値がありません。しかし、そこが違うのがパテックフィリップです。例えば、1976年にパテックフィリップ初のステンレススチール製スポーツコレクションとして誕生した「ノーチラス」ですが、この時「ノーチラス」のオリジナル・モデルRef.3700/1Aは、当時の常識を打ち破る薄型ケースながら、12気圧という高い防水性を確保していました。その秘密はケースバックとミドルケースが一体となり、これに左右のヒンジでベゼルを固定するという2ピース構造だったのです。
このヒンジのため、左右には独特の張り出しができますが、このスタイルは船の船体に設けられ、蝶番とネジ止めで気密性を高めた「舷窓(げんそう)」にインスパイアされたものです。この「舷窓」を思わせるフォルムがフランスの小説家ジュール・ヴェルヌが小説『海底二万里』に登場させた潜水艦ノーチラス号へと繋がり、ネーミングの由来となったに違いないでしょう。ちなみに「ノーチラス」とはラテン語でオウムガイの意味で、このオウムガイは約5億年前から形態が変わっていない“生きている化石”です。
しかしパテックフィリップの「ノーチラス」は、決して“生きている化石”ではありませんでした。誕生当時、“世界一高額なステンレススチール製腕時計”として“ウェットスーツにもディナースーツにも似合う時計”としてラグジュアリースポーツ・ウォッチの分野を牽引する存在となった「ノーチラス」は、2006年に登場したRef.5711でネジ込み式の3ピース構造へ進化します。12気圧防水を確保しつつ、ケース構造の改革で搭載ムーブメントに広がりが生まれ、クロノグラフや年次カレンダー、さらに永久カレンダーなどの豊富なバリエーションが生まれました。
絶大な人気を得ながらも、その地位に甘んじることなく進化し、さらに新たな領域を切り開いていく「ノーチラス」と、これを生み出したパテックフィリップ、この革新への飽くなき探究心こそ、パテックフィリップが特別である第5の理由にほかなりません。
●ノーチラス
現在、活況を呈するラグジュアリースポーツというジャンルを確立し牽引してきた「ノーチラス」のベーシック・モデルです。「舷窓」から着想されたケースと水平エンボス加工が施された文字盤によって絶大な人気を獲得したパテックフィリップの革命児ですね。3時位置に日付窓を設置しています。サファイヤクリスタル・バックながら12気圧防水を確保しています。
・5711/1A
・40mm
・ステンレススチールケース&ブレスレット
・自動巻き
・12気圧防水
・現在製造を中止
パテックフィリップの腕時計は、身につける資産といわれる
パテックフィリップは「世界最高の腕時計ブランド」と称され、その凄まじいまでのステータス性から他の追随を許しません。ROLEX(ロレックス)も資産価値の高いブランドですが、やはりパテックフィリップは随一とされています。随一とされる要因のひとつに、高い需要に供給が全く追い付いていないことがあげられており、相場が上昇傾向にあるのです。
パテックフィリップは決して生産量が多くはなく、年間製造数は6万本ほどと言われています。それに対し、ここ数年で中国を中心に人気が加速しました。そのため、莫大な需要に全く供給が追い付いていない状態が続いていました。さらに、2020年から2021年は、疫病の影響でさらに流通量が減ってしまっています。入手困難になるのは、残念ではありますが、中古市場での価値という面から見ると、相場を上昇させる可能性があり、資産価値はこれから更に上がると予想できます。
2020年に、パテックフィリップは新工場の増設を竣工していますが、これは製造量を増やすというよりも、パテックフィリップの生産に関わる行程を統合すること・歴史を重ねるにつれ増えたパーツやノウハウを収めることが目的となっているので、工場が増設されたからと言って、市場に出回る本数が多くなり、資産が下がるということはないのではないでしょうか。パテックフィリップの資産価値というものは凄まじく、投資目的で購入される方もかなりの数がいらっしゃいます。様々な社会情勢が絡み合う中でも、異常なまでの各モデルの人気を見れば、今後も価格高騰を続ける可能性は十分にあり、この傾向が投資対象としての注目度をますます上げていくでしょう。
このように、パテックフィリップの腕時計は、数年前に購入された方はもちろん、今購入された方も数年後には、購入時より高い金額で買い取りをしてもらえる可能性が高い、資産価値のとても高い腕時計なのです。
気になるパテックフィリップの腕時計、現在の買い取り相場は
ここまでご紹介させて頂いたパテックフィリップ、およびその腕時計について、いよいよ買い取り相場はどうなっているのか気になるのではないでしょうか。ここからは、超高級時計、パテックフィリップの現在の買い取り相場をいくつかご紹介したいと思います。
●ノーチラス
・5712/1A-001
・参考価格…¥4,039,200
・現在の価格…¥9,680,000
・値上がり額…¥5,640,800
・上昇率…139.65%
・買取金額…¥6,000,000
・リセール率…148.54%
ノーチラスは、ご紹介させて頂いた通りパテックフィリップのメインとなる商品で、もっとも人気のあるモデルです。上記モデルの定価は約400万円で、現在の中古品はおよそ968万円と中古販売価格が大きく上昇しています。この上昇は、人気が高く需要が多いため起こっていることです。需要に対して供給が追い付いていないため、中古で高い金額でも購入される方が増えているのでしょう。買取金額は~600万円で、定価から比べてかなり高い金額となっています。また、2010年9月頃は中古販売価格200万でしたので、そのころに購入されている方は400万円以上の利益を手にした事になります。
【価格推移】
2019年1月、600万円~最大1100万円まで上がっておりました。そこから現在では約970万円と、130万円以上価格が低下している状態です。現在では高い位置で推移しているパテックフィリップですが、急激に上がった相場は下がることも予想されるので注意が必要といえます。
●アクアノート
・5167A
・参考価格…¥2,277,000
・現在の価格…¥4,380,000
・値上がり額…¥2,103,000
・上昇率…92.36%
・買取金額…¥3,500,000
・リセール率…153.71%
アクアノートは、ノーチラスに次ぐパテックフィリップのスポーツタイプのモデルとして発表されました。先ほどご紹介したカラトラバとノーチラスを合わせたようなデザインをしており、シンプルな中に高級感があるデザインをしています。このモデルの機能は、ノーチラスの中でも最もシンプルで日付機能のみとなります。買取価格は350万円前後となっており、中古相場は430万円とその差は80万円しかありません。中古価格と買取額の差が少ないモデルなので、中古相場と見比べてもリセール率は高い商品といえますね。
【価格推移】
ノーチラスと異なり、一度相場が上がってから高騰していることが無く、高い位置で安定しているモデルとなります。最高値と現在の価格を比べても、落ちている金額は70万円ほどで推移は落ち着いております。今後も相場は落ち着いているかと思うので、金額の上下を気にして購入を急ぐ必要はないでしょう。
●カラトラバ
・5227J-001
・参考価格…¥3,949,000
・現在の価格…¥3,338,000
・値上がり額…-¥611,000
・上昇率…-15.47%
・買取金額…¥2,100,000
・リセール率…53.18%
パテックフィリップの中でもシンプルなモデルであるカラトラバですが、ノーチラスと比べて“THE・時計”というようなシンプルさが特徴です。素材はイエローゴールドを使用しております。パテックフィリップはスポーツタイプがメイン商材であり、ノーチラス、アクアノートと比べて人気が高くないため、定価よりも価格は下がり気味な点が気がかりです。買取価格は210万円前後とリセール率は53%となり、パテックフィリップの中でも安価なモデルではあります。
このモデルはリセール率を気にして購入される方は少なく、パテックフィリップというブランドが好きか、このデザイン自体が好きということで購入されている方が多いと思うので、リセール率はあまり気にしなくても良いモデルでしょう。買取価格は今が高く狙い時なので、もしもお買い替えを検討されている場合には、今のうちに売却すると損をしないでしょう。
【価格推移】
相場の上がり幅は50万円と、他のモデルと比べて若干緩やかな動きです。相場の流れからは今後上がってくる可能性が高いので、購入するとしたら今のうちに購入すると良いといえます。
以上、代表的なモデルの買い取り相場をご紹介させていただきました。
最高級時計であるパテックフィリップ、購入後のお手入れについて
高級時計を手に入れたら、長く美しく使い続けるために日々のお手入れが欠かせないことでしょう。そんな高級時計の状態をベストにキープするためには、具体的にどのようなお手入れやメンテナンスを行うべきなのでしょうか。毎日行いたいお手入れ、ときどき行いたいお手入れ、そして数年に一度は施したいメンテナンスの情報についてをご紹介いたします。パテックフィリップはもちろん、高級時計を手にしたら、ぜひ参考にしてみてください。
①毎日行うお手入れとして、まずは磨く
高級時計を手に入れたら、毎日のお手入れを習慣にしていきましょう。このときの「お手入れ」とは、ずばり「時計を磨く」ということになります。どのようなアイテムを使い、どんな風にお手入れするのが正解なのか、詳しくご紹介いたします。高級時計の購入と共に準備しておきたいのが、日常的に使うお手入れグッズです。せっかくの大事な時計に思わぬ傷をつけないために、ぜひ以下のアイテムを用意してみてください。
・セーム皮
・毛先の柔らかい歯ブラシ
・つまようじ
セーム皮がなければ、マイクロファイバーのクロスでも代用が可能です。普通のハンドタオルなどでの代用は避けましょう。ほこりや傷によるトラブルの原因になってしまいます。毛先が柔らかい歯ブラシやつまようじは、細かいところに入り込んだ汚れを除去するときに役立ちます。日々のお手入れ方法は、「セーム皮で優しく磨く」というのが基本となります。メタル製の時計にとって、汗や皮脂は劣化の原因になる代表格ですが、毎日拭き取ることで影響を軽減できます。毎日磨けば、汚れが定着することもありませんので、優しくふき取るだけで汚れを除去できるでしょう。
風防やケースの汚れをきれいに除去し、輝きを増したら、エンドピースやブレスレットのお手入れも忘れないようにしましょう。ケースなどと比較しますと、細かな部品も多く汚れを完璧に除去するのも難しいものです。このような場面で歯ブラシやつまようじを使いますと、効率よくお手入れができます。次は、「毎日チェックする必要はありませんが、数か月に一度はチェックしてお手入れをしたいポイント」についてご説明いたします。
・リューズとケースの間の汚れ
・回転ベゼルとケースの間の汚れ
どちらも非常に細かい部分ですが、放置してしまうと汚れがたまってしまい、故障等トラブルの原因になってしまいます。動きが鈍くなったり、普段しないような異音がするようになったりするケースも多いので、定期的にチェックするようにしましょう。こちらでも、歯ブラシやつまようじが活躍してくれます。間に入れて汚れをかきだすように動かすことで、清潔さをキープできると共に、トラブルを未然に防げます。
最後に忘れてはいけないのが、数年単位で行うメンテナンスであるオーバーホールです。オーバーホールは専用の道具や知識が無いかぎりは自分で行うことはできませんので、メーカーや時計修理業者など、専門家に依頼をすることになります。オーバーホールとは、時計を一度分解して、清掃や部品交換などのメンテナンスを行い、再度組み立てる作業のことを言います。オーバーホールの目的は以下の通りです。
・経年劣化した部品の交換
・内部に入り込んだ汚れの除去
・部品に油をさして、サビや摩耗を防ぐ
ひとくちに高級時計と言っても、時計の内部に使われている部品は徐々に経年劣化していってしまいます。定期的に時計の中をチェックして、不具合が生じ始めている部品を交換することで、長くベストな状態で使い続けることが可能となります。オーバーホールの理想の頻度については諸説ありますが、おおよそ3年、長くても5年に1度はオーバーホールをするようにしておきましょう。正規店でオーバーホールをすると、店舗からの証明書が発行されます。「買取大吉」へ買取査定にお越しの際は、オーバーホール時に発行された証明書も一緒にお持ちいただくと、査定金額がアップするかもしれません。
自宅で行うメンテナンスにおいて、やってはいけないこと
高級時計は、きちんとお手入れすることで、いつまでも美しく使い続けることができます。しかし、お手入れを頑張ろうと張り切り過ぎますと、思わぬトラブルを引き起こす可能性もあるため注意しましょう。自分で行うメンテナンスにおいて、やってはいけないことは以下のとおりです。
①自分でケースを開けて、分解してしまう
時計にたまってしまった汚れを除去するために、「自分で取り外せる場所はすべて外してお手入れをする」という方法は間違ってはいません。とはいえ、ケースに手を出して、時計の内部機構を露出させるのは極力やめてください。時計の内部を露出させても素人にできることはありませんし、蓋を開けてしまうことで内部にほこりが侵入してしまうからです。内部に何らかの異常を感じたときには、自分自身のメンテナンスで何とかしようと考えることはやめましょう。メーカーや時計修理店に修理を依頼するのがもっとも安心です。
②小傷を強く研磨して消そうとする
時計に付いてしまった傷が気になるとき、「ホームセンターで販売されているコンパウンドなどの磨き粉を使えば、自分でもすぐキレイにできるのでは」と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし残念ながら、こちらのお手入れもあまりオススメできません。研磨剤できれいな状態に仕上げるためには、経験や技術が必要です。また、研磨に向いていない素材の時計もあれば、より一層傷が目立ってしまうこともあります。こちらもメーカーや時計修理店に依頼して、素材に合った対応をしてもらうのがベストですね。
③サビを自分で落とそうとする
上記の傷と同じく、サビに対するメンテナンスにも注意しましょう。細かな場所のサビを落とせるようなアイテムもホームセンターなどで市販されていますが、やはり時計本体へのダメージが気になってしまいます。サビが気になる場合は専門家の意見を聞き、適切なメンテナンスを施すようにしてください。
以上、注意点についてご説明させていただきました。パテックフィリップのように、高級時計とはいえ、「毎日お手入れする」という行動に対して、「正直ちょっと面倒だし手間がかかりすぎる」と感じる方もいるかもしれません。しかし、日々のお手入れは、慣れてしまえば5分から10分程度で完了するものがほとんどです。お持ちの時計の状態を見極め、自分好みの「世界に一つだけの時計」へと成長させる時間だと考えていただければ、自然と愛着もわくものです。自分で手をかけた高級時計には、より一層の愛着がわきます。いつまでも愛用できることともに、手放すことになった際も驚きの値段が付くことでしょう。
パテックフィリップの超高額腕時計をご紹介
さて、ここまでパテックフィリップの歴史や代表的なモデル、その価格とお手入れ方法についてご紹介させていただきました。しかし、超高級時計という名が付く理由としてだれもが納得するようなとんでもない価格の時計も存在するのです。そんな高額のモデルをいくつかご紹介いたします。
●Grandmaster Chime6300A-010
スイス・ジュネーブで11月9日に開催されたチャリティオークション「The Only Watch」で、パテックフィリップの腕時計が3,100万スイスフラン(日本円にして約34億円)で落札され、腕時計の史上最高額を更新したのです。「世界で最も高い腕時計」と銘打たれたモデルのGrandmaster Chime6300A-010は、今回のオークションのために作られたということです。文字盤は表面にローズゴールド、裏面にブラックエボニーを採用したリバーシブル仕様になっており、表面の12時位置のサブダイヤルには「The Only One」と記されています。
なお、海外の報道によりますとこれまでの時計の最高落札額は同じくパテックフィリップの懐中時計で、落札額は約26億円だったそうです。途方もない金額ですね。
●ノーチラスRef.5711/1A-018
名前だけパッと見ますと、「え?ノーチラス?」と疑問に思われる方もいるかもしれませんね。こちらのモデルは、パテックフィリップとTiffany & Co.(ティファニー)のパートナーシップ170周年を記念した、ノーチラスの限定モデルなのです。当時の時計業界最大のトピックといっても過言ではないこの限定モデルが、12月11日(現地時間)に開催された『Phillips(フィリップス)』主催のオークションに出品され、当初の落札予想価格をはるかに上回る650万3,500ドル(日本円にして約7億3,800万円)で落札されたのです。
この時計は170本のみ生産され、ニューヨーク、ビバリーヒルズ、サンフランシスコの〈Tiffany & Co.〉の旗艦店で販売される予定なのですが、店舗での販売に先行してそのうちの1本が今回のオークションに出品されました。開始前の落札予想価格は5万ドルが見込まれていたものの、2万ドルの価格からオークションがスタートすると瞬く間に価格は跳ね上がり、最終的に先述の650万3,500ドルで落札されたのです。
ちなみに、この時計の落札者はニューヨークの時計バイヤーとのことです。なお、本オークションの収益は全て国際的な環境保護団体「The Nature Conservancy」に寄付されるとのことで、とてもスケールの大きなイベントとなりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。世界が認める町高級時計メーカー、パテックフィリップについて、長々とご紹介させていただきました。ここではその内容の要点をおさらいいたします。パテックフィリップの時計は、優れた機能や性能に完成された美しいデザイン、そして高い技術力で製造された精巧で複雑なムーブメントを備えており、超高級の名に恥じない完成度を誇る時計であることに加え、製造から何十年経過しようとも、「永久修理」のもとで製造当時に限りなく近い完璧な状態まで修復してもらえます。その高い技術力や機能、デザインが評価され、今もなお超高級時計メーカーとして君臨し続けています。
●パテックフィリップの腕時計は、身につける資産といわれる
高い需要に供給が全く追い付いていないことがあげられており、相場が上昇傾向にあります。莫大な需要に全く供給が追い付いていない状態が続いており、2020年から2021年は、疫病の影響でさらに流通量が減っています。中古市場での価値という面から見ると、相場を上昇させる可能性があり、資産価値はこれからさらに上がると予想できます。
●気になるパテックフィリップの腕時計、現在の買い取り相場は
モデルによって買い取り価格の相場は差額があり、また投資目的で購入する場合は購入モデルの人気度に注意する必要があります。疫病等世界情勢が不安定な今、物流が滞ることにより下落していくことも予想されるため、景気回復の目途が立ちづらい今が売るチャンスともいえます。
●最高級時計であるパテックフィリップ、購入後のお手入れについて
通常の自宅でできるメンテナンスはもちろんのこと、素材や部位によっては素人が行うと時計を傷めてしまったり、不具合をおこしてしまいます。そのため、簡易的に行えるメンテナンスを除き、専門店に依頼することを強くオススメします。また、オーバーホールは時計の寿命を延ばすもっとも有効な手段であるため、推奨期間内に専門店または修理店へオーバーホールに出すようにしましょう。
長々としたご紹介となってしまいましたが、「買取大吉」では、そんなパテックフィリップの時計をどこにも負けない買取額にてお買取りさせていただいています。新しいパテックフィリップの時計を購入する手助けになれれば幸いですので、お悩みの方は是非お近くの店舗までお気軽にご相談ください。この記事が、パテックフィリップについてさらに深く知るきっかけとなっていただけたら幸いです。
「買取大吉」では、ご紹介させて頂いた上記のアイテムはもちろん、他の様々なブランドアイテムも無料で査定させて頂いております。査定だけでも料金はかかりませんし、出張買取時の交通費等含む出張費、キャンセル料なども一切頂いておりません。ですので、お気軽にお近くの店舗やお問い合わせ窓口までご相談いただき、ご自宅に眠っていたブランド品がいったいどれほどの買い取り額となるのか、ぜひ一度試してみてください。きっとご満足いただけると共に、ご利用いただいたお客様の手助けとなれるはずです。2022年現在も、ブランド時計の買い取り相場は上昇を見せています。