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現在の銀価格とこれまでの価格推移
銀価格が上昇する兆しを見せる中、その動きにはどのような背景があるのでしょうか。これまでの推移と現在の状況を振り返り、注目される理由を探ります。
銀の現在の価格や価値
近年、銀の価格は上昇傾向を示しています。2024年12月の平均価格は1トロイオンス(約31グラム)あたり30.76米ドル、1グラムに換算すると約150.85円となっていました。
2024年全体の平均価格が約146円で推移している点を踏まえると、銀の価格は上昇傾向にあると判断できます。そして、2025年1月時点では、買取価格が1グラムあたり162円を記録しています。
このような価格上昇の背景には、産業需要の増加や投資対象として銀への関心の高まりが挙げられます。再生可能エネルギー分野での需要拡大などが、銀価格を押し上げる大きな要因でしょう。
【グラフ付】銀の過去10年の価格推移
過去10年間における銀の価格推移を、9月を起点にしたグラフで示しました。これにより、各年の月間最高値と最安値の変動を確認することができます。
銀の価格は、2014年から2024年にかけて変動を繰り返してきました。とりわけ、2014年から2018年までは、細かな上昇と下降が続きましたが、2020年から急激に上昇しています。
それまでは1グラム70円前後で推移していたものの、2020年には100円を超え、それまでの水準から倍近くまで価格を伸ばしました。新型コロナウイルスの影響で一時的に価格は下落したものの、2024年には再び急騰し、150円台に達しています。
【価格予想】銀の価格はこれからどうなる?
銀価格の予測は難しく、将来の動向を正確に予測することはできませんが、短期的な上昇を予想する声もあります。その背景には、インフレにより通貨の価値が下がり、実物資産である銀の価値が上昇する可能性が挙げられます。
二酸化炭素を削減するための取り組みとして、太陽光パネルや電気自動車の製造で銀の需要が急増しました。また、銀は優れた導電性、抗菌性を持ち、工業や医療分野にも活用されています。
その上、銀の生産量は限られているため、供給が需要に追いつかない状況も価格に影響することが考えられます。
今後の銀価格が高騰する理由
今後、銀価格が高騰する可能性がある背景には、インフレの影響や新技術の進化による工業需要の増加が挙げられます。供給も限られる中、銀への関心がさらに高まると予測されています。
工業需要が増加するから
2011年のシルバーショックは、銀価格が急激に高騰した後、急落した出来事として知られています。この事例を考慮すると、工業需要の増加がその価格を大きく押し上げる要因になることがわかります。
銀は主に工業用に使われているため、需要が高まると価格に影響を与える可能性があります。銀に投資する際は、工業需要の増加が見込まれるタイミングで購入するのも一つの戦略だといえるでしょう。
金の価格と連動するから
銀はしばしば金と価格が連動する傾向があり、金の投資に注目が集まるタイミングでは、銀も価格が上昇することが考えられます。しかし、すべての貴金属が金と同様に動くわけではなく、たとえばプラチナは株式市場と連動しやすい特徴を持っています。
そのため、金価格の上昇時には、銀も同じように買われるケースがよく見られます。
長期的なインフレ懸念があるから
インフレが進むと、貨幣価値が下がることが懸念されます。このような状況では、銀をはじめとする実物資産への投資が活発化しやすくなります。
実物資産はその対策として効果的であり、長期的にインフレ懸念が続けば、銀価格は上昇する傾向にあります。投資家による銀を購入する動きが広がれば、市場全体に影響を与え、価格が急騰する可能性もあるでしょう。
供給量が少なくなるから
2016年以降、銀の鉱山生産量は減少傾向にあります。今後も生産量の増加は見込まれず、供給不足が進行する可能性が高いと考えられます。
その一方で、ハイテク機器をはじめとする工業需要は増加しており、これが銀価格を押し上げる要因となると予測されています。
生産の過半数を占めているメキシコ・ペルー・中国の3カ国など、これらの国々の政治・経済状況にも注視すると良いでしょう。
これまでの銀の価格変動
銀の価格は、さまざまな歴史的な経済危機に影響を受けて変動してきました。そこで、主要な出来事とともに、過去の価格変動を振り返り、その背景を見ていきましょう。
【2001~2006年】個人投資家の参入で高騰
21世紀に入ると、銀市場は個人投資家の参入によって活発化しました。ITバブル崩壊や中国政府の銀放出により、銀価格は4〜5ドル台の低水準が続いていましたが、2004年から急激に上昇を始め、4月には8ドル台を突破しています。
この変動は、ヘッジファンドが貴金属や原油市場に本格的に資金を投じたことが要因でした。
2006年には銀ETFが上場し、個人投資家が増加したことで、銀価格は15ドル台に迫る高騰を記録します。この動きが、現在の銀市場に影響を与えたことは明らかです。
【2007~2009年】リーマンショックでの急落
2007年にはサブプライムローン問題が表面化し、アメリカの住宅ローン会社の経営危機が影響を及ぼしました。これを受けて市場はリスク回避の動きが強まり、銀価格も急上昇し、2008年3月には20ドル台に達しています。
しかし、リーマン・ブラザーズの破綻により、世界的な金融危機が発生します。銀価格は急落し、10ドル台にまで下落しました。
とはいえ、底を打った後の銀価格は徐々に回復し、2009年末にはリーマン・ショック前の水準に戻りました。この動きから、銀は依然として安全資産の特性を発揮したことが分かります。
【2010~2015年】新興国バブルと崩壊
2010年の銀価格は18ドル前後で安定していましたが、8月末に突然急上昇します。この背景には、JPモルガンやHSBC(香港上海銀行)が銀先物市場操作で提訴されたことがあり、大量の売りポジションが決済された結果です。
さらに中国の銀需要増加や新興国の需要拡大を受け、ヘッジファンドが大量に買い入れたことが影響します。
2011年4月、銀価格は48.453ドルで史上最高値を記録しますが、期待先行のバブルは急速に崩壊してしまいます。その後の数ヶ月で価格は急落、2015年末には13ドル台まで下落しました。
【2016~2019年】アメリカの金利政策
2016年、銀価格は年初の13ドル台から急上昇し、7月には20ドル台を回復しました。これは、スマートフォンの普及など工業需要の拡大と、銀鉱山生産量の減少が影響しています。
また、アメリカの利上げペースの抑制も価格上昇の要因となりました。しかし、2017年から利上げが進むと銀価格は下落し、2018年末には14ドル台に戻ります。2019年7月には利下げが決定し、銀価格は再び上昇を見せました。
【2020~2021年】コロナショックからの急騰
2020年初め、銀価格は17〜19ドル台で推移していましたが、2月に新型コロナウイルスが世界的に拡大すると急落します。わずか1ヶ月で11ドル台にまで下がりました。
しかし、その後価格は下げ止まり、5月には17ドル台を回復します。アメリカの景気回復も後押しし、7月には28ドル台まで急上昇しました。コロナショックからわずか半年足らずで3倍近くに跳ね上がり、2021年初めまで高水準を維持しています。
【2021~2022年】ウクライナ侵攻で急騰
2021年9月には21ドルの安値を記録しましたが、2022年2月には27ドル近くに回復しました。
この価格上昇の背景には、ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵攻が影響しています。ウクライナ国内では、2025年に入っても戦火が収まる様子がありません。
世界情勢の不安定化により、銀は安全資産としての認識が強まり、多くの投資家が資金を銀に移す動きが見られました。その結果、価格は急激に上昇しています。
【2023~2024年】金融市場の不安定さが銀価格を押し上げる
2023年は、銀価格が19〜25ドルの範囲で推移し、大きな変動はありませんでした。しかし、2024年に入ると状況が一変します。世界的な高金利政策が続き、経済悪化への懸念が広がりました。
その結果、安全資産として銀に対する需要が高まり、価格は急上昇しています。加えて、中東情勢の悪化も影響を与えました。2024年10月には、銀価格は31ドル付近で安定します。
したがって2025年の銀価格は、1オンスあたり48ドルから50ドルに達するのではないかと予想されています。
銀を買取してもらう方法
金より手が届きやすい価格帯であるため、投資には推移を予想し慎重な判断が必要です。そして、2025年現在の銀価格は高騰しており、売却を検討するには良いタイミングだといえます。
銀など貴金属の買取専門店に査定に出す
銀の価格は、金と連動する傾向がある一方で、需要や景気の影響を受けやすいという特徴があります。銀製品の買取を検討するなら、貴金属専門の買取店に依頼することが賢明です。
専門家がさまざまな視点から評価し、適正な価格を提示してくれます。「売却を迷っているが、まずは価値を知りたい」という場合には、査定だけでも利用してみるのも一つの方法です。
プロの目で正確に評価してもらい、本当に納得できる価格で売却を進めることができるでしょう。
銀の買取業者を選ぶ時のポイント
銀を売却する際は、専門知識を持つスタッフが在籍し、豊富な実績と適正な査定を行う業者を選びましょう。査定価格が明確で、店頭だけでなく複数の買取方法に対応しているかも重要なポイントです。
銀の知識があるプロ査定士がいる店を選ぶ
銀には、純銀のSV999またはSV1000や、SV925のスターリングシルバーなど、さまざまな種類があります。さらに、ブランド品としての価値が加わる場合はより専門的な知識が必要です。
銀製品を売却するなら、専門知識を備えたプロ査定士が在籍する業者を選ぶことが大切です。経験豊富な目利きが、銀の特性や価値を正確に見極めて査定してくれます。
買取実績のある店を選ぶ
銀の取引を安心して進めるためには、買取実績が豊富な業者を選びましょう。多くの利用者がいる業者は、それだけ信頼されている証ともいえます。
公式ウェブサイトをチェックすると、シルバーアクセサリーなどの買取実績が掲載されていることもあります。どのような銀製品が買取されているのか、実績の有無を確認し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
買取方法が豊富な店を選ぶ
買取方法には、店頭や出張、宅配など、さまざまな方法があります。最近では、スーパーなどにある催事スペースを利用し、イベント形式で買取を行う業者も見られるようになりました。
複数の買取方法を提供している業者を選ぶと、自分の状況に合った方法でスムーズに売却できます。
「近くに店舗がない」「大量の銀製品を持ち運ぶのが難しい」「梱包作業が手間」といった悩みがある場合は、自宅に訪問してくれる出張買取や催事買取を検討してみるのがおすすめです。
銀を高価買取してもらうためのコツ
銀を高価買取してもらうには、複数の業者で査定を依頼し、なるべく早く見積もりを出すことが大切です。また、付属品を揃えた状態で持ち込むほか、定期的なメンテナンスを心がけることをお勧めします。
まとめて査定に出す
銀の買取価格は、純度と重さによって決まります。そのため、できるだけ多くの銀を持ち込めば、より高い金額で買取される可能性があります。
また、銀以外の貴金属やブランド品を一緒に査定している業者もあります。このような「一括査定」を利用すれば、買取金額のさらに上乗せが期待できるでしょう。
銀を売る際には、できれば自宅を整理して、売れるものがないかを確認してください。
定期的にメンテナンスを行う
シルバーアクセサリーは、日常的に使っていると気づかないうちに汚れが付着することがあります。軽い汚れなら、柔らかい布で皮脂や指紋を拭き取るだけで簡単にきれいになります。
定期的なメンテナンスを心掛けることで、常に良い状態を保つことができるでしょう。こうしたお手入れが、買取査定時にポジティブな印象を与えるので、少しの手間でも怠らずに行ってください。
付属品と一緒に査定する
銀製品は、そのものだけでも買取可能ですが、付属品があることで買取価格が上がる場合があります。高級ブランド品の場合は、保証書や鑑定書、鑑別書などが購入時に付属しています。
これらの書類は、その品質や真贋を証明する重要な資料となり、買取時に有利に働くことがあります。銀製品をできるだけ高く売りたい場合は、すべての付属品を一緒に査定してもらいましょう。
査定はなるべく早く出す
高価買取を狙うには、なるべく早く査定を依頼することが重要です。銀の相場は市場の動向に影響されるため、価格が上がっている時期に査定を受けることで、より高い金額で売れる可能性があります。
また、時間が経つほど状態が悪くなることもあるため、早期の査定を心がけることが、満足度の高い結果につながります。相場が安定しているうちに動くことをお勧めします。
複数の買取業者を比較する
銀製品の買取価格は、査定のポイントが多いため、業者によって差が生じることがあります。最初に訪れた業者だけで決めてしまうと、後で後悔する可能性もあります。
そのため、複数の業者で査定を受け、見積もりを比較することが大切です。査定額を比較することで、最も高く買取してくれる業者を見つけることができるでしょう。
まとめ
2025年から10年後、銀の価格は工業需要の拡大やインフレ対策資産としての需要増加により、上昇基調が続く可能性があります。しかし、供給状況や世界経済の動向によって変動するリスクもあるため、慎重な市場分析が求められるでしょう。
また、経済不安定な状況下で、金に次ぐ安全資産としての役割を果たしている点も注目すべきポイントです。これまでの価格推移を振り返ると、銀は投資商品としても重要なポジションを占める存在であり、今後の動向にも目が離せません。